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恋慕と成就
恋慕と成就7
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校門を出たところで奪った通学帽を返すと、君は何故だか「ありがとう」と礼を言った。黙って俺の後をついて来てくれる君に後ろめたさを感じたが、それよりもそんな君がいつ走って逃げてしまうんじゃないかと不安になった俺は、許可も得ず、君の手をとった。
「えっ」
小さな驚きが聞こえたが、君は優しく握り返してくれた。ふたりの通学路の分かれ道まで、無言のまま辿り着いた俺に君は聞く。
「うっちゃん、なにか話があるんじゃなかったの?」
「うん。あるよ」
「じゃあ言ってよ。もうここでバイバイだよ」
告白の台詞も然りだが、話す場所すらも考えていなかった俺は、上原家方面の信号が赤に変わった事で、君の手を俺方面へと引っ張った。けれど君は、そんな引力にすかさず逆らう。
「ちょっと、私そっち行ったら寄り道になっちゃう!」
「いいじゃんちょっとくらい」
「バレたら先生に怒られるからいやだっ!」
俺は大きくひとつ溜め息を吐くと、君の抵抗を上回る力で、半ば強引に君を引く。
「じゃあ誰にも見えないとこにするから、来てっ」
「もーーーー!」
4年越しの想いを伝えるというのにもかかわらず、君の機嫌を損ねてばかりの自分。己に呆れるという感覚は、この時生まれて初めて知った。
「えっ」
小さな驚きが聞こえたが、君は優しく握り返してくれた。ふたりの通学路の分かれ道まで、無言のまま辿り着いた俺に君は聞く。
「うっちゃん、なにか話があるんじゃなかったの?」
「うん。あるよ」
「じゃあ言ってよ。もうここでバイバイだよ」
告白の台詞も然りだが、話す場所すらも考えていなかった俺は、上原家方面の信号が赤に変わった事で、君の手を俺方面へと引っ張った。けれど君は、そんな引力にすかさず逆らう。
「ちょっと、私そっち行ったら寄り道になっちゃう!」
「いいじゃんちょっとくらい」
「バレたら先生に怒られるからいやだっ!」
俺は大きくひとつ溜め息を吐くと、君の抵抗を上回る力で、半ば強引に君を引く。
「じゃあ誰にも見えないとこにするから、来てっ」
「もーーーー!」
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