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ちーちゃんの手紙と、ユーイチへの愛と

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 これ、と商品名が書かれているパッケージを見せると、ユーイチもわたしが初見した時と同じように、「まっずそ!」と叫んでいた。

 そりゃそうだ。こんなトリッキーな組み合わせ、不釣り合いだって感じる人の方が多いと思う。
 実際わたしだってそうだったし、舐めることすら拒んでいたわけだから。

 ユーイチの部屋へと入って、サンダルをぽいと外壁沿いに投げる。

 舐め始めてしばらくすると、とあることに気付いた。

「意外とイケるかも」

 それは、テメさんに教えてもらった通りの感想だった。

 チョコとバナナは合うけれど、ココアとサイダーのセットは絶対にまずいと決めつけていたわたしにとって、これは大発見。

 チャレンジしてみなければ、わからないこともあるんだ。

 舌の上でころころ転がし、満足そうなわたしを見て、ユーイチはぽかんとしていた。

 いつも通り、窓を網戸にして、ベッドに腰掛ける彼。

 と、そこでノックされる部屋の扉。

「ちょっとユーイチ?入るわよ?」

 カチャッと扉を開けたのは、ユーイチのお母さんだった。真っ黒なワンピースに真っ黒なストッキング。
 一目でわかるのは、これが喪服だってこと。

「お邪魔してます」
「ああ和子ちゃん、来てたのね。いらっしゃい」

 毎回泥棒の如く、わたしが息子の部屋の窓からこの家にお邪魔する無作法者だというのはもう、ユーイチのお母さんにとっては承知済みの事実。
 だから彼女は、わたしの存在には驚かなかったけれど、ユーイチの部屋着姿には喫驚していた。
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