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中学三年生、春の頃2

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 もし、千葉で購入したプレゼントをハルくんへ渡す時に好きだと伝えて、万が一オーケーをもらえたら、少し遅れた彼の誕生日会がふたりでできるだろうか、なんて考えれば今すぐにでも「好き」だと言ってしまいたくなった。

 けれど、まだ言えない。今日告白して断られてしまったら、きっと気まずくなって、プレゼントすらあげられなくなっちゃうもん。去年渡せなかった誕生日プレゼント。今年は必ずあげたいから。

「なにじっと見てんの、ナツ」

 気付けばハルくんの顔に穴があきそうなほどに眺めてしまった彼のこと。

「ご、ごめんっ!なんでもない!」
「いや、いいけどべつに。その代わり、俺も見ていい?」

 いたずらな笑みでそう言ったハルくんは頬杖をつくと、真っ直ぐわたしを見つめてきた。そんな彼を前に、視線を逸らすタイミングを見失い、わたしは金縛りにあったように動けなくなる。
 唯一動く唇で聞く。

「な、なにこの時間……」
「ナツを観察する時間」
「た、たのし?」
「うん。楽しいよ」

 ししっと笑ったハルくんは、ただおふざけを楽しんでいるだけ。わたしは彼へ対するこの気持ちを悟られまいと真顔を貼り付けるけれど、それでも勝手に熱くなるのはふたつの頬。

 照れくさいけど、まだこうしていたい。

 そう思ってしまえば、貼り付けた真顔はぺらりと剥がれ、愛しい目を向けてしまう。

「ちょ、なにそれ反則っ」

 ゲームのような見つめ合いから、先に脱却したのはハルくんだった。

「反則?」
「なに、今のナツの目っ。普段と全然違うじゃんっ」

 そっぽを向いたハルくんの、耳が真っ赤に染まっていく。

 どんな目で彼を見つめていたのか、自分ではもう確認できないけれど、好きな人を見つめていたら、相手が照れてくれた。それは嬉しいことだった。
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