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中学二年生、春と夏の頃7

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 たくさん悩んだけれど結局何も思いつかず、買えずに終わったハルくんへの誕生日プレゼント。
 来年、中学三年生の四月八日こそは絶対にあげようと心に誓った。

「ナツ、どこか旅行でも行ってたの?」

 夏休み明け、わたしのこんがり焼けた肌を見てハルくんが言った。

「俺の肌は野球焼けだけど、ナツの日焼けはなに、まさか海外とか?」

 あははと笑って、わたしは首を横に振る。

「海外って言いたいところだけど残念、思いっきり国内産。千葉県に親戚がいてね、そこへ遊びに行ってたんだ。海に近い家だから毎日塩水浸かってた。だからこの日焼けはその名残りだよ」
「へえ、そうなんだ。海いいなあ、よく行くの?」
「ん~、一年に二回くらいかなあ。夏休みは家族で毎年行くけど、あとの季節は行ったり行かなかったり。あ、でも来年の春は行くってもう決まってるんだ。わたしのいとこがあっちで結婚式を挙げるから」
「まだ九月なのに?結婚式の予定ってそんなに早く決まるもんなの?」
「なんか有名な建築デザイナーが設計した、超人気の結婚式場なんだって。一年半も前から予約して、やっとみたい」

 ふうん、と目を丸くさせたハルくんの隣、わたしはその日付けがふと気になって、スマートフォンを取り出した。
 まさか、と心の片隅で心配したけれど、カレンダーアプリの中に見えた「結婚式」という文字は、そのまさかの位置にあった。

「うげっ」

 思わず発する変な声。

「ん?どしたナツ」
「な、なんでもないっ」
「今『うげ』って言ったじゃん」
「言ってないっ!」

 ハルくんに背を向けて、こっそりガーンと項垂れた。なぜならいとこの結婚式は、ハルくんの誕生日と同じ四月八日だったから。

 来年の四月八日こそは、絶対にプレゼントをあげようと誓ったのに。

「はあ、当日に渡したかった……」

 そう嘆き、どうしようもないから諦めて。結婚式から帰ってきた次の月曜日には、必ず渡そうと誓いなおした。
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