63 / 120
中学二年生、春と夏の頃7
しおりを挟む
たくさん悩んだけれど結局何も思いつかず、買えずに終わったハルくんへの誕生日プレゼント。
来年、中学三年生の四月八日こそは絶対にあげようと心に誓った。
「ナツ、どこか旅行でも行ってたの?」
夏休み明け、わたしのこんがり焼けた肌を見てハルくんが言った。
「俺の肌は野球焼けだけど、ナツの日焼けはなに、まさか海外とか?」
あははと笑って、わたしは首を横に振る。
「海外って言いたいところだけど残念、思いっきり国内産。千葉県に親戚がいてね、そこへ遊びに行ってたんだ。海に近い家だから毎日塩水浸かってた。だからこの日焼けはその名残りだよ」
「へえ、そうなんだ。海いいなあ、よく行くの?」
「ん~、一年に二回くらいかなあ。夏休みは家族で毎年行くけど、あとの季節は行ったり行かなかったり。あ、でも来年の春は行くってもう決まってるんだ。わたしのいとこがあっちで結婚式を挙げるから」
「まだ九月なのに?結婚式の予定ってそんなに早く決まるもんなの?」
「なんか有名な建築デザイナーが設計した、超人気の結婚式場なんだって。一年半も前から予約して、やっとみたい」
ふうん、と目を丸くさせたハルくんの隣、わたしはその日付けがふと気になって、スマートフォンを取り出した。
まさか、と心の片隅で心配したけれど、カレンダーアプリの中に見えた「結婚式」という文字は、そのまさかの位置にあった。
「うげっ」
思わず発する変な声。
「ん?どしたナツ」
「な、なんでもないっ」
「今『うげ』って言ったじゃん」
「言ってないっ!」
ハルくんに背を向けて、こっそりガーンと項垂れた。なぜならいとこの結婚式は、ハルくんの誕生日と同じ四月八日だったから。
来年の四月八日こそは、絶対にプレゼントをあげようと誓ったのに。
「はあ、当日に渡したかった……」
そう嘆き、どうしようもないから諦めて。結婚式から帰ってきた次の月曜日には、必ず渡そうと誓いなおした。
来年、中学三年生の四月八日こそは絶対にあげようと心に誓った。
「ナツ、どこか旅行でも行ってたの?」
夏休み明け、わたしのこんがり焼けた肌を見てハルくんが言った。
「俺の肌は野球焼けだけど、ナツの日焼けはなに、まさか海外とか?」
あははと笑って、わたしは首を横に振る。
「海外って言いたいところだけど残念、思いっきり国内産。千葉県に親戚がいてね、そこへ遊びに行ってたんだ。海に近い家だから毎日塩水浸かってた。だからこの日焼けはその名残りだよ」
「へえ、そうなんだ。海いいなあ、よく行くの?」
「ん~、一年に二回くらいかなあ。夏休みは家族で毎年行くけど、あとの季節は行ったり行かなかったり。あ、でも来年の春は行くってもう決まってるんだ。わたしのいとこがあっちで結婚式を挙げるから」
「まだ九月なのに?結婚式の予定ってそんなに早く決まるもんなの?」
「なんか有名な建築デザイナーが設計した、超人気の結婚式場なんだって。一年半も前から予約して、やっとみたい」
ふうん、と目を丸くさせたハルくんの隣、わたしはその日付けがふと気になって、スマートフォンを取り出した。
まさか、と心の片隅で心配したけれど、カレンダーアプリの中に見えた「結婚式」という文字は、そのまさかの位置にあった。
「うげっ」
思わず発する変な声。
「ん?どしたナツ」
「な、なんでもないっ」
「今『うげ』って言ったじゃん」
「言ってないっ!」
ハルくんに背を向けて、こっそりガーンと項垂れた。なぜならいとこの結婚式は、ハルくんの誕生日と同じ四月八日だったから。
来年の四月八日こそは、絶対にプレゼントをあげようと誓ったのに。
「はあ、当日に渡したかった……」
そう嘆き、どうしようもないから諦めて。結婚式から帰ってきた次の月曜日には、必ず渡そうと誓いなおした。
0
お気に入りに追加
1
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる