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第17話 テイク・ア・D・トレイン
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ジュダの襲撃から1日が経った
ミネルバとアルマは
骨折はしているものの
命に別状はなかった
二人とも防弾の服を着ていたし
ミネルバの施設には
人間も見れる優秀な医師が大勢いた
ただ
二人が死ななかったのは
ジュダも命を奪う気がなかったらしい
その気ならば間違いなく殺されていた
ミネルバの病室に行くとベットはもぬけのから
近くのナースに聞いてみると
頭を抱えてナース長の方へ走って行った
俺も着いて行って話を聞くと
おそらく戻っていつもの仕事をしているだろうとの事
ミネルバの事務室に向かうと
案の定
何ごともなかったかのように
いつも通り仕事をしていた
担当した医師ではなく
看護婦長が前に出てミネルバを怒鳴りつけた
すげぇ
姐さんを怒鳴りつけれる人がいたんだ
ナインは驚く
「私がやらなきゃ
一体どれだけの作業が止まると思ってんだい
たかだか肋骨の1本や2本折れたくらいが
なんだってんだよ!」
「まったく
定期の検診だけは受けてもらいますからね」
ミネルバの迫力に医師も看護婦長も
すごすごと戻らざるを得なかった
ナインもそっと一緒に部屋を出ようと思っていたところ
ミネルバに呼びめられる
「まちなナイン」
タバコを吸いながらミネルバが話し始める
「奴の狙いは何なんだ?」
「俺にもわかりませんよ
ただ」
「ただ?」
「護衛の竜騎兵3人
素性を隠してたみたいですけど
戦い方が知ってる奴に似ていたんで
そいつから話しを聞こうかと」
「誰だい?」
「ちょっと前
あるイベントの時に知り合った奴ですよ」
ナインはアルマを見舞った後
近くの傭兵ギルドに向かった
獅子竜乗りのディジャーンの居場所を知るためだ
ジュダの護衛を務めていた3騎
素性が分かる物を一切身につけていなかったが
乗っていた竜は獅子竜
戦い方はディジャーンにどことなく似ていた
間違いなくつながりがあるはずだ
この時代の通信は
ミニ竜メールで行われる
ミニ竜とはハトくらいの大きさの小型竜だが
最高速度は時速900km程にも上る
ナインたちのいるエウロパ大陸の縦断も
1時間ほどで可能な速さだ
ミニ竜は決めたルートを間違わず確実に進める上
この速度を捕捉できる捕食者もいないため
史上最も安全な通信手段となっている
各ギルド間でそれぞれ専用のミニ竜ラインを持っているため
大体の傭兵仲間とは意思疎通はとれるのである
ナインはギルドでティジャーンに会って話したい旨を
ミニ竜メールのラインで近隣の主要ギルドに送った
居場所が分からない時は
こういった回りくどいやり方を使う
正直あまり安い値段ではないが
そんな事は今は関係ない
2時間ほどギルドで待っていると
リグレスの南の島にいるから
会ってもいいよ
と返答が来た
ナインは急ぎホームに戻り
サイとクロンを連れてリグレスに向かった
リグレス真竜国は
古代にローマ帝国がその地を治めていた土地で
半島はブーツの様な形をしている
ナインたちは
イリアスからランサースの海峡を
翼竜クロンにつかまり飛び渡り
そこから竜列車に乗って移動した
サイはナインとの二人旅にワクワクしており
ちょっとした遠足気分だった
「師匠
ミネルバさんとアルマさんに会ってみたいです」
「情報が得られればどのみち一度戻るんだ
その時に見舞いもかねて連れてってやるよ」
「お見舞いのお土産は何がいいですかね」
「そんなの決まってる」
「なんですか?」
「ジュダにつながる情報だよ」
竜列車に揺られながらナインとサイは
それぞれのドラゴンと共に貨物車両に乗っていた
「俺
少し眠るから
着いたら起せ」
ナインはイザナミの横で眠りに入った
「あー
もっと話がしたかったのに」
「おい
起きろ」
ナインはサイの頭を殴って起こす
「いったー
もう着いたんですか?」
「起こせって言ったのに
お前が寝てどーすんだよ」
「いやでも
する事無かったし」
「見張りって大事な仕事があんだろうが」
ナインは銃を両手に取り腰を落とす
「敵襲ですが?」
「分からない
ただ
何かが起きてる」
イザナミも辺りを警戒している
「お前も銃を出しておけ」
サイは言われて自分の銃を出す
「なんで何か起こるってわかるんですか?」
「銃声で目が覚めたんだよ
音の大きさからだと
先頭車両の方だろう」
「全然聞こえなかった」
「寝てたからだろうが
たとえ寝てても銃声が聞こえたら
起きなければ死ぬ
これは今度訓練しなきゃだな」
「えー
なんですかその無茶な訓練は」
「生き残るためだよ」
「でも
一体何者なんでしょうかね」
「大方
列車強盗だろうな」
ナインにはわかっている
これはジュダ関係の襲撃ではない
仮にジュダ関係の襲撃ならば
直接ここを狙っているだろうし
かすかに乗客の騒ぎ声も聞こえるあたり
現場を制する事が出来ない
素人さんの仕業だと分かる
「お前はここに隠れてろ
お前の翼竜にくるまって
相手がギリギリまで迫ってきたら
急所に数発落ち着いて見舞ってやれ
あといざとなったら
コレで刺せ」
ナインは自分のナイフをサイに渡した
「マイヤーズナイフですね」
「なんでその呼び方知ってる」
「サッソさんが教えてくれました」
「サッソが?……」
「卒業の証なんですよね」
「いいから
いいなおとなしくしておけよ」
「はい師匠」
返事を聞き終わらないうちに
ナインは車両の側面のドアを開けた
凄い速さで風景が流れている
ナインはイザナミに乗り込り
その開けたドアから車両の上へと
器用に登っていた
サイは言われた通り
クロンを藁で隠し
そこにそっと自分も包まって
ゆっくりと息をひそめた
凄いスピードで進む竜列車の上をイザナミは
ひょいひょいと前に進んで行く
先頭車両の一つ前の車両の上で
ナインはイザナミから降り
様子をうかがった
案の定
銃を持った男たちが
乗客を威圧して何か喚き散らしている
時折マシンガンを上に向け乱射し
そのたびに観客たちは悲鳴を上げる
敵の位置と数は分かった
ナインは再びイザナミの上に乗った
「行くぞ
さっさと始末しよう」
その声でイザナミが一瞬で加速し
先頭車両に向かう
ナインは両手の銃を地面に向けており
計6発
イザナミが先頭にたどりつくまでにナインが撃った弾数だ
乗客は静まり帰っている
何が起こっているのかが分からないのだろう
ナインはイザナミに乗り
先頭車両の中に入った
列車強盗かテロリストかは分からないが
銃を持った連中は6人床に倒れていた
乗客たちはあっけに取られている
「俺の名前はナイン・スペード
元トランプ傭兵団で★5の傭兵だ」
こういったとき★5という名乗りは大いに役に立つ
乗客たちもやっとこの強盗たちが
目の前の傭兵に撃たれた事を理解できた
一人の紳士がナインの元へ歩み寄る
「助かったよ君
あのトランプ傭兵団の生き残りなのかね」
「ああ
ところで何があったんだい?」
ガタンと列車が大きく揺れる
「強盗だ
皆から有り金を巻き上げようとしていた」
「やはり
そんなところか」
「ところで
あの
スペードさん?」
「なんだい」
「一つ問題があるんだが」
ガタンと再び列車が大きく揺れる
「だから何?」
「さっきの強盗たちなんだが
運転手を殺してしまったらしくてね
この竜列車暴走をしているんだが」
「は?
早く言えよ」
慌ててナインは列車の先頭の大型竜の元へ走った
大型竜は血走った目で暴走をしている
(興奮剤か何かか
厄介な)
大型竜と車両を切り離してもいいが
それでは列車の足が無くなるし
何よりこの暴走竜を突っ込ませるのは
この先々の街で被害を出す恐れがある
ナインは再び先頭車両に戻り
撃ち殺した強盗の一人一人のポケットを確認した
こういった場合
脅した後自分たちが助かるために
抑制剤を持っているのが定石
見つけた!
と思ったが
そのカプセルは割れていた
ナインが撃ち殺した時に
運悪く弾が当たって砕けたらしい
ナインは急ぎ次のプランに移る
イザナミに乗り後方車両のサイの元に戻った
「師匠
片付いたんですね」
「賊はな
だがもっと厄介な問題がある
ところでお前の翼竜は
どれくらいの物まで持ち上げられる
家ほどの大型竜は行けるか?」
「持ち上げるは難しいかもしれませんね」
「一部分を引っかけて引っ張るくらいは?」
「それならできると思います」
ナインはサイとクロンもつれて先頭車両に戻った
運転手の席から地図を見つけた
「サイお前算術が得意だって言ってたな」
「はい家の家計もつけていましたし」
「今の場所を地図に示せ
1分以内だ」
「え
あ
はい!
えーとこの列車の平均速度はこれくらいだって話で
発車時刻は何時だったから
でもここ何分かは速度が上がっていたようだから」
地図の余白を使って必死に計算をしている
「分かりました師匠
今この辺りです」
「よし
なら翼竜と上空に上がって
地図と地形が合っているか
確認してこい!
特にこの川があるどうかだ」
「了解です
師匠!
行くよクロン!」
サイとクロンは地図を受け取り
大空に羽ばたいた
数分後にサイたちが戻ってきた
「間違いありません」
「よし
こっちも準備はできている」
ナインは列車に備えていたロープを用意していた
「こいつを使ってあのデカブツを川に落とすぞ」
「ええ!?
どうやってですか!」
今から説明するから
説明を聞きサイがこぼす
「そんな簡単にできますか」
「できますかじゃねー
やるんだよ
お前は俺の弟子なだろうが」
「分かりました!
師匠!!」
数分後
目標の川に近づいてきた
サイとクロンは大型竜の眉間のあたりにつかまり
スタンバイをしている
ナインは車両と竜を切り離し
そのまま走り出した
大型竜も速いとはいえ
イザナミにすれば余裕の速さだ
右側で並走している
ナインはロープの投げ縄を
器用に走行中の竜の右前足に引っかけた
木々が切れて
川が見えた
「行くぞ!」
ナインはサイに合図して
イザナミが加速し
大型竜の前を横切って反対側に移動した
ロープに足が絡まり
前につんのめる
直ぐにサイとクロンは飛び
首に引っかけていたロープを左へ引っ張った
そのまま
巨体が
ゆっくと川へと落ちて行った
数時間後
正気を取り戻した大型竜を川から引き揚げ
再び竜と車両をつなぎ
到着時刻を大幅に遅れて
竜列車はリグレスの最南端の駅に着いた
「師匠といると
退屈しないですね!」
サイはにこやかに言った
ミネルバとアルマは
骨折はしているものの
命に別状はなかった
二人とも防弾の服を着ていたし
ミネルバの施設には
人間も見れる優秀な医師が大勢いた
ただ
二人が死ななかったのは
ジュダも命を奪う気がなかったらしい
その気ならば間違いなく殺されていた
ミネルバの病室に行くとベットはもぬけのから
近くのナースに聞いてみると
頭を抱えてナース長の方へ走って行った
俺も着いて行って話を聞くと
おそらく戻っていつもの仕事をしているだろうとの事
ミネルバの事務室に向かうと
案の定
何ごともなかったかのように
いつも通り仕事をしていた
担当した医師ではなく
看護婦長が前に出てミネルバを怒鳴りつけた
すげぇ
姐さんを怒鳴りつけれる人がいたんだ
ナインは驚く
「私がやらなきゃ
一体どれだけの作業が止まると思ってんだい
たかだか肋骨の1本や2本折れたくらいが
なんだってんだよ!」
「まったく
定期の検診だけは受けてもらいますからね」
ミネルバの迫力に医師も看護婦長も
すごすごと戻らざるを得なかった
ナインもそっと一緒に部屋を出ようと思っていたところ
ミネルバに呼びめられる
「まちなナイン」
タバコを吸いながらミネルバが話し始める
「奴の狙いは何なんだ?」
「俺にもわかりませんよ
ただ」
「ただ?」
「護衛の竜騎兵3人
素性を隠してたみたいですけど
戦い方が知ってる奴に似ていたんで
そいつから話しを聞こうかと」
「誰だい?」
「ちょっと前
あるイベントの時に知り合った奴ですよ」
ナインはアルマを見舞った後
近くの傭兵ギルドに向かった
獅子竜乗りのディジャーンの居場所を知るためだ
ジュダの護衛を務めていた3騎
素性が分かる物を一切身につけていなかったが
乗っていた竜は獅子竜
戦い方はディジャーンにどことなく似ていた
間違いなくつながりがあるはずだ
この時代の通信は
ミニ竜メールで行われる
ミニ竜とはハトくらいの大きさの小型竜だが
最高速度は時速900km程にも上る
ナインたちのいるエウロパ大陸の縦断も
1時間ほどで可能な速さだ
ミニ竜は決めたルートを間違わず確実に進める上
この速度を捕捉できる捕食者もいないため
史上最も安全な通信手段となっている
各ギルド間でそれぞれ専用のミニ竜ラインを持っているため
大体の傭兵仲間とは意思疎通はとれるのである
ナインはギルドでティジャーンに会って話したい旨を
ミニ竜メールのラインで近隣の主要ギルドに送った
居場所が分からない時は
こういった回りくどいやり方を使う
正直あまり安い値段ではないが
そんな事は今は関係ない
2時間ほどギルドで待っていると
リグレスの南の島にいるから
会ってもいいよ
と返答が来た
ナインは急ぎホームに戻り
サイとクロンを連れてリグレスに向かった
リグレス真竜国は
古代にローマ帝国がその地を治めていた土地で
半島はブーツの様な形をしている
ナインたちは
イリアスからランサースの海峡を
翼竜クロンにつかまり飛び渡り
そこから竜列車に乗って移動した
サイはナインとの二人旅にワクワクしており
ちょっとした遠足気分だった
「師匠
ミネルバさんとアルマさんに会ってみたいです」
「情報が得られればどのみち一度戻るんだ
その時に見舞いもかねて連れてってやるよ」
「お見舞いのお土産は何がいいですかね」
「そんなの決まってる」
「なんですか?」
「ジュダにつながる情報だよ」
竜列車に揺られながらナインとサイは
それぞれのドラゴンと共に貨物車両に乗っていた
「俺
少し眠るから
着いたら起せ」
ナインはイザナミの横で眠りに入った
「あー
もっと話がしたかったのに」
「おい
起きろ」
ナインはサイの頭を殴って起こす
「いったー
もう着いたんですか?」
「起こせって言ったのに
お前が寝てどーすんだよ」
「いやでも
する事無かったし」
「見張りって大事な仕事があんだろうが」
ナインは銃を両手に取り腰を落とす
「敵襲ですが?」
「分からない
ただ
何かが起きてる」
イザナミも辺りを警戒している
「お前も銃を出しておけ」
サイは言われて自分の銃を出す
「なんで何か起こるってわかるんですか?」
「銃声で目が覚めたんだよ
音の大きさからだと
先頭車両の方だろう」
「全然聞こえなかった」
「寝てたからだろうが
たとえ寝てても銃声が聞こえたら
起きなければ死ぬ
これは今度訓練しなきゃだな」
「えー
なんですかその無茶な訓練は」
「生き残るためだよ」
「でも
一体何者なんでしょうかね」
「大方
列車強盗だろうな」
ナインにはわかっている
これはジュダ関係の襲撃ではない
仮にジュダ関係の襲撃ならば
直接ここを狙っているだろうし
かすかに乗客の騒ぎ声も聞こえるあたり
現場を制する事が出来ない
素人さんの仕業だと分かる
「お前はここに隠れてろ
お前の翼竜にくるまって
相手がギリギリまで迫ってきたら
急所に数発落ち着いて見舞ってやれ
あといざとなったら
コレで刺せ」
ナインは自分のナイフをサイに渡した
「マイヤーズナイフですね」
「なんでその呼び方知ってる」
「サッソさんが教えてくれました」
「サッソが?……」
「卒業の証なんですよね」
「いいから
いいなおとなしくしておけよ」
「はい師匠」
返事を聞き終わらないうちに
ナインは車両の側面のドアを開けた
凄い速さで風景が流れている
ナインはイザナミに乗り込り
その開けたドアから車両の上へと
器用に登っていた
サイは言われた通り
クロンを藁で隠し
そこにそっと自分も包まって
ゆっくりと息をひそめた
凄いスピードで進む竜列車の上をイザナミは
ひょいひょいと前に進んで行く
先頭車両の一つ前の車両の上で
ナインはイザナミから降り
様子をうかがった
案の定
銃を持った男たちが
乗客を威圧して何か喚き散らしている
時折マシンガンを上に向け乱射し
そのたびに観客たちは悲鳴を上げる
敵の位置と数は分かった
ナインは再びイザナミの上に乗った
「行くぞ
さっさと始末しよう」
その声でイザナミが一瞬で加速し
先頭車両に向かう
ナインは両手の銃を地面に向けており
計6発
イザナミが先頭にたどりつくまでにナインが撃った弾数だ
乗客は静まり帰っている
何が起こっているのかが分からないのだろう
ナインはイザナミに乗り
先頭車両の中に入った
列車強盗かテロリストかは分からないが
銃を持った連中は6人床に倒れていた
乗客たちはあっけに取られている
「俺の名前はナイン・スペード
元トランプ傭兵団で★5の傭兵だ」
こういったとき★5という名乗りは大いに役に立つ
乗客たちもやっとこの強盗たちが
目の前の傭兵に撃たれた事を理解できた
一人の紳士がナインの元へ歩み寄る
「助かったよ君
あのトランプ傭兵団の生き残りなのかね」
「ああ
ところで何があったんだい?」
ガタンと列車が大きく揺れる
「強盗だ
皆から有り金を巻き上げようとしていた」
「やはり
そんなところか」
「ところで
あの
スペードさん?」
「なんだい」
「一つ問題があるんだが」
ガタンと再び列車が大きく揺れる
「だから何?」
「さっきの強盗たちなんだが
運転手を殺してしまったらしくてね
この竜列車暴走をしているんだが」
「は?
早く言えよ」
慌ててナインは列車の先頭の大型竜の元へ走った
大型竜は血走った目で暴走をしている
(興奮剤か何かか
厄介な)
大型竜と車両を切り離してもいいが
それでは列車の足が無くなるし
何よりこの暴走竜を突っ込ませるのは
この先々の街で被害を出す恐れがある
ナインは再び先頭車両に戻り
撃ち殺した強盗の一人一人のポケットを確認した
こういった場合
脅した後自分たちが助かるために
抑制剤を持っているのが定石
見つけた!
と思ったが
そのカプセルは割れていた
ナインが撃ち殺した時に
運悪く弾が当たって砕けたらしい
ナインは急ぎ次のプランに移る
イザナミに乗り後方車両のサイの元に戻った
「師匠
片付いたんですね」
「賊はな
だがもっと厄介な問題がある
ところでお前の翼竜は
どれくらいの物まで持ち上げられる
家ほどの大型竜は行けるか?」
「持ち上げるは難しいかもしれませんね」
「一部分を引っかけて引っ張るくらいは?」
「それならできると思います」
ナインはサイとクロンもつれて先頭車両に戻った
運転手の席から地図を見つけた
「サイお前算術が得意だって言ってたな」
「はい家の家計もつけていましたし」
「今の場所を地図に示せ
1分以内だ」
「え
あ
はい!
えーとこの列車の平均速度はこれくらいだって話で
発車時刻は何時だったから
でもここ何分かは速度が上がっていたようだから」
地図の余白を使って必死に計算をしている
「分かりました師匠
今この辺りです」
「よし
なら翼竜と上空に上がって
地図と地形が合っているか
確認してこい!
特にこの川があるどうかだ」
「了解です
師匠!
行くよクロン!」
サイとクロンは地図を受け取り
大空に羽ばたいた
数分後にサイたちが戻ってきた
「間違いありません」
「よし
こっちも準備はできている」
ナインは列車に備えていたロープを用意していた
「こいつを使ってあのデカブツを川に落とすぞ」
「ええ!?
どうやってですか!」
今から説明するから
説明を聞きサイがこぼす
「そんな簡単にできますか」
「できますかじゃねー
やるんだよ
お前は俺の弟子なだろうが」
「分かりました!
師匠!!」
数分後
目標の川に近づいてきた
サイとクロンは大型竜の眉間のあたりにつかまり
スタンバイをしている
ナインは車両と竜を切り離し
そのまま走り出した
大型竜も速いとはいえ
イザナミにすれば余裕の速さだ
右側で並走している
ナインはロープの投げ縄を
器用に走行中の竜の右前足に引っかけた
木々が切れて
川が見えた
「行くぞ!」
ナインはサイに合図して
イザナミが加速し
大型竜の前を横切って反対側に移動した
ロープに足が絡まり
前につんのめる
直ぐにサイとクロンは飛び
首に引っかけていたロープを左へ引っ張った
そのまま
巨体が
ゆっくと川へと落ちて行った
数時間後
正気を取り戻した大型竜を川から引き揚げ
再び竜と車両をつなぎ
到着時刻を大幅に遅れて
竜列車はリグレスの最南端の駅に着いた
「師匠といると
退屈しないですね!」
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