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子犬の秘密3
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「規約の前にこちらをご覧下さい。」
ソビトはテーブルに1枚の紙を置いた。
なになに?
・入会金1000万ミンス
・年会費100万ミンス
・犬1匹1000万~5000万ミンス
・予防接種100万ミンス/月
・規約読見料10万ミンス
(※ 1ミンス=1円)
「・・・・・」
なんじゃこりゃ!!目ん玉飛び出るほど高えっ!
しかし表情に出す訳にはいかない。俺は金持ち・・・俺は金持ち・・・。
「なかなかいいお値段ですね。それに見合った商品、ということですか。」
俺は精一杯の余裕をかました。
「はい。ここで金額に臆される方もいらっしゃるので、先に提示させていただいてるのですよ。」
えーと、会員が100人なら入会金だけで10億ミンス、1000人なら100億ミンス・・・ボロ儲けだな!
まぁ経費はあるからな。えーと、入会金と年会費先払いと・・・規約読見料ってなんだ?合わせて1110万ミンス・・・足りるかな。
「なるほど、わかりました。ではまず10万ミンスをお支払い致しますね。」
俺は財布から10万ミンス分の金貨を取り出した。それを手渡すと、ソビトはじっくりと確認し、「確かに」と言って懐にしまいこんだ。
そして2枚目の紙がテーブルに置かれた。上からじっくり読んでいくが、大方おかしなところはない。気になった点は2つだ。
まず"月に1度の予防接種を受けさせないと犬が死ぬ"ということ。
もう1つは、"当ペットショップに関する秘密を流布しないこと"とある。
「あの・・・こことここに書いてあることってのは・・・」
俺は文言を指さしてソビトに聞いた。だがソビトはそっけない笑顔で「そのままでございます。」とだけ返してきた。
これだけの大金だ。この"秘密"ってのは暗黙の了解みたいなもんだろう。犬の秘密を知りえないとこんな金額で犬を買おうとは思わない。
しかし、ここまで秘密が流れ出ないのも不思議だ。富裕層ってのは大抵が見栄っ張りで噂好きだ。大金はたいて買った犬のことなんか、すぐに言いふらすと思うんだが・・・。
うーん、これだけじゃわからん。ここは払うしかないのか・・・あと1100万円。
金持ちっぽく「払います」と言おうとした時、店側の扉が勢いよく開いた。
「あなた!うちの子が外で大変なの!すぐ来て!」
シルバが部屋の中へと入ってきて俺の腕を掴んで店の外へと引きずり出した。
ソビトはそれをポカーンと見ていただけなのだった。
「あんた、払おうとしてたでしょ!バカっ!!」
店から離れ、人気のない路地裏でシルバは俺の胸ぐらを掴んで怒鳴り散らした。
ソビトはテーブルに1枚の紙を置いた。
なになに?
・入会金1000万ミンス
・年会費100万ミンス
・犬1匹1000万~5000万ミンス
・予防接種100万ミンス/月
・規約読見料10万ミンス
(※ 1ミンス=1円)
「・・・・・」
なんじゃこりゃ!!目ん玉飛び出るほど高えっ!
しかし表情に出す訳にはいかない。俺は金持ち・・・俺は金持ち・・・。
「なかなかいいお値段ですね。それに見合った商品、ということですか。」
俺は精一杯の余裕をかました。
「はい。ここで金額に臆される方もいらっしゃるので、先に提示させていただいてるのですよ。」
えーと、会員が100人なら入会金だけで10億ミンス、1000人なら100億ミンス・・・ボロ儲けだな!
まぁ経費はあるからな。えーと、入会金と年会費先払いと・・・規約読見料ってなんだ?合わせて1110万ミンス・・・足りるかな。
「なるほど、わかりました。ではまず10万ミンスをお支払い致しますね。」
俺は財布から10万ミンス分の金貨を取り出した。それを手渡すと、ソビトはじっくりと確認し、「確かに」と言って懐にしまいこんだ。
そして2枚目の紙がテーブルに置かれた。上からじっくり読んでいくが、大方おかしなところはない。気になった点は2つだ。
まず"月に1度の予防接種を受けさせないと犬が死ぬ"ということ。
もう1つは、"当ペットショップに関する秘密を流布しないこと"とある。
「あの・・・こことここに書いてあることってのは・・・」
俺は文言を指さしてソビトに聞いた。だがソビトはそっけない笑顔で「そのままでございます。」とだけ返してきた。
これだけの大金だ。この"秘密"ってのは暗黙の了解みたいなもんだろう。犬の秘密を知りえないとこんな金額で犬を買おうとは思わない。
しかし、ここまで秘密が流れ出ないのも不思議だ。富裕層ってのは大抵が見栄っ張りで噂好きだ。大金はたいて買った犬のことなんか、すぐに言いふらすと思うんだが・・・。
うーん、これだけじゃわからん。ここは払うしかないのか・・・あと1100万円。
金持ちっぽく「払います」と言おうとした時、店側の扉が勢いよく開いた。
「あなた!うちの子が外で大変なの!すぐ来て!」
シルバが部屋の中へと入ってきて俺の腕を掴んで店の外へと引きずり出した。
ソビトはそれをポカーンと見ていただけなのだった。
「あんた、払おうとしてたでしょ!バカっ!!」
店から離れ、人気のない路地裏でシルバは俺の胸ぐらを掴んで怒鳴り散らした。
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