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シルバを連れてこい7

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両脇の家は2階建てだが窓は板が全て打ち付けてある。泥棒よけのためだそうだ。
突き当たりも家の背面。つまり空でも飛ばないとここから脱出はできない。
「目を離した隙に逃げたんじゃないのか?」
ダンドンが横目で俺を見る。
「いや、よ~く思い出してもあんな派手な頭がここから出ていった記憶はない。」
「さっきまでここにいたみたいだけど?」
「はあ?」
オーリィがくんくんと臭いを嗅ぎながら不思議なことを言う。
「いやいや、俺たちがここを離れたのが2時間前。最後にここを確認した時もういなかったのに、ついさっきまでここにいたってのはどういうことだ?」
「俺、森で獣を追うのに臭いを辿るんだけど、シルバはかなり香水臭いからこの臭い町の中ならすぐわかるよ。どうやって隠れてたかはわからないけど、さっきまでここにいたよ、うん。」
俺とダンドンは驚きで顔を見合わせた。
とんでもない野生児だな。しかし今はその能力が役に立つ!
「じゃ、じゃあ臭いを辿って追いかけることはできるか?」
「今日は風もないし、たぶん大丈夫。こっちだよ。」
オーリィはヒクヒクと鼻を動かしながら、町中を移動し始めた。
路地を曲がり、しばらく歩いてまた曲がり・・・20分ほど歩いて、「ここだよ」と歩みを止めた。
そこは周りより一回り立派な建物だった。小さめな屋敷と言ってもいい。
「ここにシルバがいるのか。突入してもいいもんかな?」
もし全く関係ない家なら問題になる。俺はチラッとダンドンの顔を見た。
「ま、人身売買組織の関係者が身を潜めているかもしれんのだ。作戦中の小事だな。」
ダンドンはニヤリと笑って門を蹴り開けた。
その時だった。屋敷の裏から蹄と馬車の音が聞こえてきた。
「追うよ!」
オーリィが素早く反応して後を追う。
俺とダンドンは屋敷の中へと足を踏み入れた。
正面扉には鍵は掛かっていなかった。馬車に乗って逃げ出したと見るのが当たりか。
剣を構えながら、真っ暗な屋敷の中を忍び足で歩く。
「光が漏れてる部屋があるぞ。」
ダンドンも頷く。ゆっくりと近づく。そして気づく。
「・・・血の匂いだ!」
俺とダンドンは部屋の扉をバンッと開け、剣を構えた。そこには、血を流し倒れたシルバがいた。
「おい!大丈夫か!?」
ダンドンが駆け寄って容態を確認する。腹に短刀が突き刺さり、ドレスを赤く染めていた。
「・・・う・・・追って・・・馬車に・・・ムダックと・・・妹・・・」
「大丈夫だ!今仲間が馬車を追ってる!くそっ!血が止まらん!」
このままでは危ない。それは素人目に見ても明らかだ。
「ムダックってのは?」
「ん?ああ、人身売買組織の頭領で、奴隷オークションの胴元だ。」
ダンドンがシルバの腹を抑えながら教えてくれた。
状況的にシルバを刺したのはムダックか。オーリィが追っているが・・・さすがに馬車に追いつけるか?
そう思っていると、外から馬車の音が聞こえてきた。屋敷の前で停まったようだ。
「おーーい!グラン!捕まえてきたぞー!」
マジかよ!
俺はシルバとダンドンを置いて、外へ駆け出した。
外には馬車が1台停められていた。その前にオーリィと、手枷をつけられた女の子が1人。
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