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王都ゴルディア6

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「静粛に!ニエ団長、続けなさい。」
議長の制止でザワザワはヒソヒソになった。くそぅ、余計なこと言うんじゃねえぞ。
「はい。ウルグイヤ帝国が我が国への侵攻を着々と準備していることは明らかです。我が国の兵数も休戦宣言から倍増しております。しかし、一騎当千の騎士となるとウルグイヤに比べていかがでしょう。私が手に入れた情報によりますと、帝国にはそういった将が我が国と比べて頭一つ抜けているとのこと・・・」
「それは貴様ら武官の鍛錬不足であろう!御前会議に持ち出すとは甚だしい!」
文官の席から怒号にも似た声が挙がった。それに同調するように「そうだそうだ!」の声が響く。その様子を武官たちは憮然として見ている。そんな中、ニエ団長は話を進めた。
「そういった意見があるのは勿論承知です。が!今現在直面しているのは王国の危機です。王の前で誰の責任だどうだという話はやめて、建設的に話し合いたいものです。」
王という言葉を前に、文官たちは再び静まり返った。ニエ団長は続ける。
「話を戻しますが、兵数ではなく兵士そのものの戦闘能力を上げるのは時間と運が必要です。潜在能力の高い人物を騎士団に入れなければならないからです。そこで私が進めていた計画が・・・バーロック=マクドネルの復帰です。」
バーロックの名に三度ザワつく場内。
「彼は王国史上最高の騎士であり、カリスマを持った人物でした。彼が王国に戻ってくれば単純な戦力アップに加え、士気ある兵の募集にも一役買うでしょう。」
「い、異議あり!奴は・・・」
「しかし!!」
ニエ団長の怒鳴り声のような「しかし」に文官たちは怯んでしまった。
「バーロック氏は2年前に亡くなっていました。そして聖女アリア様は10年以上前に・・・」
何か言いたそうな文官たちを尻目に続く。
「ですが希望は残されておりました。ここにいるオーリィ氏がそうなのです!報告によると3メートル超えの熊を一撃必殺、23名の盗賊団を1人で殲滅・・・」
いや、一気に嘘くさいな!
「それらは全て人助けのための行動だったとのこと。つまりは正義!つまりは善!あなた方がバーロック氏に抱いている気持ちは、オーリィには全くの杞憂!そしてオーリィ氏に宿るものは・・・圧倒的な武とカリスマなのです。」
ニエ団長の熱の篭った演説に、水を打ったように静まり返る場内。だが本当の混乱はここからだった。
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