7 / 10
第7話
しおりを挟む
ぼくはふたたびつかまれた腕の誘導にしたがい、立ち上がった。
彼のほうが少し背は高いけど、ほとんど同じ目線で向き合う。
薬師寺くんの左の二の腕の、日焼けの境界線。
例によって彼は途中でぼくの腕を離したけど、そこまでは自力で行けた。
境目を、右手の指で触る。
太ももと同じくスベスベで、気持ちいい。
「はは、恥ずかしいな」
彼の顔を見ると、やはり顔を赤らめて少し逸らし気味だったけれども、目はぼくの顔を見てくれていた。
そして視線を彼の体のほうに戻したときに気づいた。
腕だけではなく、どうやら肩から胸にかけても、うっすら日焼け跡があることに。
「ここにも日焼けの跡がある」
「そこはタンクトップ焼けだな」
なるほど、と腕を触っていた指を、肩の上まで滑らせていった。
いつのまにか、ぼくは彼にものすごく接近していた。
メガネを取られていたから、ピントが合うまで無意識に近づいてしまっていたのだと思う。
本当に十何センチくらいの距離になっていて、びっくりした。
自分から彼にこんなに近づいたことは、今までなかったと思う。
肌が本当にきめ細かい。この距離だとよくわかる。
もう手を引っ込める気にはならず、肩から胸に向けてタンクトップ焼けの跡を触っていく。
距離が近すぎるので、指ではなく手のひら全体も使って撫でるようなかたちになった。
ぼくの親指が、彼の右の乳首に当たった。
「はぁっ」
当たったのは、わざとなのかわざとでないのか。自分でもわからなかった。
でも彼のそのかすれた声で、ぼくの中で何かが取り除かれて、とどめておかれてたものがドバっと洪水のように流れ出す感じがした。
両手で、彼の左右の乳首を触った。
「ぁ……はぁ……」
漏れ続けるかすれ声を聞きながら、触って、そして裸眼でしっかりと見た。
色が濃くて、引き締まっている乳輪と小さな乳首を。
彼の両手が、ぼくの頭の上に置かれた。
撫でるようにだったので、重さは感じない。
でも上からの不思議な力を感じて。いや、感じたことにしたかっただけかもしれないけれども。
ぼくは膝をついた。
目の前のおへそがきれいだった。
やっていい? とは彼に聞かなかった。
人差し指をくぼみに入れてみた。指先にコリコリしたものを感じた。意外と深い。
「……っ」
また少し声の漏れを感じて見上げると、彼は少し歯を食いしばり気味にしていた。
でも、くすぐったい? とも聞かなかった。
もう頭がボーっとして、何がしてよくて何がしたら悪いのか、わからなくなっていたのだと思う。
だからぼくは、彼のハーフパンツにも手をかけてしまった。
さっき彼が自分でやったように裾のところを下から上に、ではなく……。
ウエストのところを、上から、下に――。
(続く)
彼のほうが少し背は高いけど、ほとんど同じ目線で向き合う。
薬師寺くんの左の二の腕の、日焼けの境界線。
例によって彼は途中でぼくの腕を離したけど、そこまでは自力で行けた。
境目を、右手の指で触る。
太ももと同じくスベスベで、気持ちいい。
「はは、恥ずかしいな」
彼の顔を見ると、やはり顔を赤らめて少し逸らし気味だったけれども、目はぼくの顔を見てくれていた。
そして視線を彼の体のほうに戻したときに気づいた。
腕だけではなく、どうやら肩から胸にかけても、うっすら日焼け跡があることに。
「ここにも日焼けの跡がある」
「そこはタンクトップ焼けだな」
なるほど、と腕を触っていた指を、肩の上まで滑らせていった。
いつのまにか、ぼくは彼にものすごく接近していた。
メガネを取られていたから、ピントが合うまで無意識に近づいてしまっていたのだと思う。
本当に十何センチくらいの距離になっていて、びっくりした。
自分から彼にこんなに近づいたことは、今までなかったと思う。
肌が本当にきめ細かい。この距離だとよくわかる。
もう手を引っ込める気にはならず、肩から胸に向けてタンクトップ焼けの跡を触っていく。
距離が近すぎるので、指ではなく手のひら全体も使って撫でるようなかたちになった。
ぼくの親指が、彼の右の乳首に当たった。
「はぁっ」
当たったのは、わざとなのかわざとでないのか。自分でもわからなかった。
でも彼のそのかすれた声で、ぼくの中で何かが取り除かれて、とどめておかれてたものがドバっと洪水のように流れ出す感じがした。
両手で、彼の左右の乳首を触った。
「ぁ……はぁ……」
漏れ続けるかすれ声を聞きながら、触って、そして裸眼でしっかりと見た。
色が濃くて、引き締まっている乳輪と小さな乳首を。
彼の両手が、ぼくの頭の上に置かれた。
撫でるようにだったので、重さは感じない。
でも上からの不思議な力を感じて。いや、感じたことにしたかっただけかもしれないけれども。
ぼくは膝をついた。
目の前のおへそがきれいだった。
やっていい? とは彼に聞かなかった。
人差し指をくぼみに入れてみた。指先にコリコリしたものを感じた。意外と深い。
「……っ」
また少し声の漏れを感じて見上げると、彼は少し歯を食いしばり気味にしていた。
でも、くすぐったい? とも聞かなかった。
もう頭がボーっとして、何がしてよくて何がしたら悪いのか、わからなくなっていたのだと思う。
だからぼくは、彼のハーフパンツにも手をかけてしまった。
さっき彼が自分でやったように裾のところを下から上に、ではなく……。
ウエストのところを、上から、下に――。
(続く)
1
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
ずっと女の子になりたかった 男の娘の私
ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。
ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。
そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。
小さい頃、近所のお兄さんに赤ちゃんみたいに甘えた事がきっかけで性癖が歪んでしまって困ってる
海野
BL
小さい頃、妹の誕生で赤ちゃん返りをした事のある雄介少年。少年も大人になり青年になった。しかし一般男性の性の興味とは外れ、幼児プレイにしかときめかなくなってしまった。あの時お世話になった「近所のお兄さん」は結婚してしまったし、彼ももう赤ちゃんになれる程可愛い背格好では無い。そんなある日、職場で「お兄さん」に似た雰囲気の人を見つける。いつしか目で追う様になった彼は次第にその人を妄想の材料に使うようになる。ある日の残業中、眠ってしまった雄介は、起こしに来た人物に寝ぼけてママと言って抱きついてしまい…?
目覚ましに先輩の声を使ってたらバレた話
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
サッカー部の先輩・ハヤトの声が密かに大好きなミノル。
彼を誘い家に泊まってもらった翌朝、目覚ましが鳴った。
……あ。
音声アラームを先輩の声にしているのがバレた。
しかもボイスレコーダーでこっそり録音していたことも白状することに。
やばい、どうしよう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる