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第3部 遺された漁港・銚子
第43話
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採光窓から光の差し込む、巨大な倉庫と思われる薄明るい空間。
変身した状態で仰向けで腕を挙上され拘束されたヒーローが、横でしゃがみこんだ子供に股間を揉まれているという異様な光景があった。
「……ぁっ……ぁ……ぐ……」
「クネクネとよく動くね」
苦しそうにあえぎ体をよじっているハヤテに、冷たい声が降る。
特殊戦闘ボディスーツでは加速する力が大幅に強化されるが、止まった状態から入れる力はさほどではない。今のところ鎖が簡単に外れそうな気配はなかった。
やや荒っぽいが、子供らしい柔らかな手で揉まれ続け、もはや完全に勃起した陰茎。
スーツには、形がくっきり浮き出ていた。
揉んでいた手がいったんとまり、離れる。
子供は、左腕のスマートウォッチをハヤテに向けた。
――シャッター音。
「っ!? 撮ったのか!」
「そうだよ」
「け、消してくれ!」
焦るハヤテが手を動かすが、鎖で縛られているので虚しい金属音を立てるだけだ。
「嫌だね。いろいろ使い道ありそうだしな」
ふたたび子供が股間に手を伸ばし、カリ首を確認するように爪で撫でる。
「はぁっ!」
スーツの密着度が高いため、刺激に対するハヤテの反応は、その鍛えられた筋肉の動きを見るとわかりやすい。
ここは敏感なんだ――そう言うと、子供の手はそこを重点的に責め出した。
「うぁあっ!」
一段とハヤテが苦しそうに体をよじった。
間違いなさそうだ、と、子供はスーツ越しにカリ首をつかみ、滑らかなスーツの生地を活かして上下に擦り始めた。
「あぁっ、うああっ、ぁあっああ」
錆びた鎖と棚の鉄柱がこすれる音はそのままに、それに交ざるハヤテの声は一段大きくなった。
さらに手は速くなる。
「うあっ! や、やめろっ! あうあっ!」
やがて限界が訪れた。
「ああっ! だ、だめだぁっ、もう……ぅああっ」
そして――。
「あ゛っっ、ああッ! あっあっ、ああっ! あ゛ッあッあアァッ――!!」
大きなあえぎ声とともに腰が浮き、ハヤテの体が何度も激しく痙攣する。
それがとまると、子供は擦るのをやめた。
急速にしぼんでいく陰茎の先っぽあたりを、手のひらで包む。
「少し生あったかくなったな。セーエキ出たろ?」
答える余裕などなく、四肢をぐったりと弛緩させ、胸だけ荒く上下させるハヤテ。
子供は手を外して冷たく見下ろすと、またスマートウォッチを向けた。
ふたたびシャッター音が広い空間に響く。
「はぁ……はぁ……と、撮るな……」
絞り出した声も、やはり無視された。
子供が立ち上がる。
固まってしまったと思われる体を軽くストレッチすると、電動スケートボードに飛び乗った。
「ま……待て……!」
子供は巧みな足さばきで、部屋の出入り口に向きを変えた……
……ときだった。
出入り口に、やや小さめな人影が見えた。
「この部屋ですかね」
そんな独り言をつぶやきながら入ってきたのは、見かけは中学生くらいの、子供。
緑のTシャツに黒のハーフパンツという姿。
健康そうなツヤのよい黒髪。
そして、きれいに日焼けした肌。
「お前は!」
ヘッドギアの中のハヤテの目が、見開かれた。
前に国立競技場での仕事でハヤテを苦しめた獣機の幹部・KCCだったのである。
(続く)
変身した状態で仰向けで腕を挙上され拘束されたヒーローが、横でしゃがみこんだ子供に股間を揉まれているという異様な光景があった。
「……ぁっ……ぁ……ぐ……」
「クネクネとよく動くね」
苦しそうにあえぎ体をよじっているハヤテに、冷たい声が降る。
特殊戦闘ボディスーツでは加速する力が大幅に強化されるが、止まった状態から入れる力はさほどではない。今のところ鎖が簡単に外れそうな気配はなかった。
やや荒っぽいが、子供らしい柔らかな手で揉まれ続け、もはや完全に勃起した陰茎。
スーツには、形がくっきり浮き出ていた。
揉んでいた手がいったんとまり、離れる。
子供は、左腕のスマートウォッチをハヤテに向けた。
――シャッター音。
「っ!? 撮ったのか!」
「そうだよ」
「け、消してくれ!」
焦るハヤテが手を動かすが、鎖で縛られているので虚しい金属音を立てるだけだ。
「嫌だね。いろいろ使い道ありそうだしな」
ふたたび子供が股間に手を伸ばし、カリ首を確認するように爪で撫でる。
「はぁっ!」
スーツの密着度が高いため、刺激に対するハヤテの反応は、その鍛えられた筋肉の動きを見るとわかりやすい。
ここは敏感なんだ――そう言うと、子供の手はそこを重点的に責め出した。
「うぁあっ!」
一段とハヤテが苦しそうに体をよじった。
間違いなさそうだ、と、子供はスーツ越しにカリ首をつかみ、滑らかなスーツの生地を活かして上下に擦り始めた。
「あぁっ、うああっ、ぁあっああ」
錆びた鎖と棚の鉄柱がこすれる音はそのままに、それに交ざるハヤテの声は一段大きくなった。
さらに手は速くなる。
「うあっ! や、やめろっ! あうあっ!」
やがて限界が訪れた。
「ああっ! だ、だめだぁっ、もう……ぅああっ」
そして――。
「あ゛っっ、ああッ! あっあっ、ああっ! あ゛ッあッあアァッ――!!」
大きなあえぎ声とともに腰が浮き、ハヤテの体が何度も激しく痙攣する。
それがとまると、子供は擦るのをやめた。
急速にしぼんでいく陰茎の先っぽあたりを、手のひらで包む。
「少し生あったかくなったな。セーエキ出たろ?」
答える余裕などなく、四肢をぐったりと弛緩させ、胸だけ荒く上下させるハヤテ。
子供は手を外して冷たく見下ろすと、またスマートウォッチを向けた。
ふたたびシャッター音が広い空間に響く。
「はぁ……はぁ……と、撮るな……」
絞り出した声も、やはり無視された。
子供が立ち上がる。
固まってしまったと思われる体を軽くストレッチすると、電動スケートボードに飛び乗った。
「ま……待て……!」
子供は巧みな足さばきで、部屋の出入り口に向きを変えた……
……ときだった。
出入り口に、やや小さめな人影が見えた。
「この部屋ですかね」
そんな独り言をつぶやきながら入ってきたのは、見かけは中学生くらいの、子供。
緑のTシャツに黒のハーフパンツという姿。
健康そうなツヤのよい黒髪。
そして、きれいに日焼けした肌。
「お前は!」
ヘッドギアの中のハヤテの目が、見開かれた。
前に国立競技場での仕事でハヤテを苦しめた獣機の幹部・KCCだったのである。
(続く)
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