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39 愛してる2 ※

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「真梨花、もっと。もっと印をつけてくれ」

「っく、あう……」

 背後から回り込んだ手が秘裂を掻き分け、ぬかるんだ蜜口に長い指が沈められた。鉤状に曲げられたそれは私の弱いところを容赦なくこすり、膝がガクガクと震えて今にも倒れてしまいそうだ。彼の胸板に痕を残そうと押し付けた唇から、絶え間なく嬌声が漏れる。

 いく度となく綾太さんと体を重ねてきたから、私の弱いところは全て彼に筒抜けなのだ。どんなに心では強がってみせても、体の反応だけは隠せない。悔しいと思うのに口から漏れるのは甘ったるい声だけだった。

 ずるい。印をつけろと言うのなら、少しは手を休めてくれたらいいのに……。私がどれだけ抵抗できるのか試しているみたいだ。気力を奮い立たせて彼が私にしたように歯を立てて噛み付くと、満足そうな吐息が聞こえた。耳元で「お返し」と囁く声がして、赤く尖った胸の先端をじゅうっと強く吸われる。

「ひっ……!」

 とうとう膝から力が抜け、倒れそうになった私の体を彼が抱き上げてベッドに降ろした。あお向けに寝かされ、膝の裏に差し込まれた手が容赦なく脚を左右に開いていく。

 暗灰の瞳は私の顔から胸に視線を移し、徐々に下がっていった。耐え切れなくなって目を閉じても、貫くような強い眼差しを感じて顔が火照ってくる。彼の目が辿った場所が焦げ付くように熱い。秘口からとろりと蜜が溢れる感触に泣きたくなり、脚を閉じようとしたがやはり駄目だった。大きな手ががっちりと私の脚を掴んでいる。

「……動くなよ」

 言葉とは裏腹に、甘い響きのある声だった。まるで小さな子に言い聞かせるかのような口調に唇を噛むと、綾太さんが体を傾けて私の内ももに吸いつき、赤い痕をぽつぽつと残す。唇は少しずつ脚の付け根へ向かって滑り落ち、羞恥と期待で心臓の拍動が激しくなった。唇と舌で秘部を嬲られるのは初めてではないけれど、まだ慣れるまでには至っていない。と言うより、局部を舐められるなんて一生慣れるのは無理だと思う。

「ひあっ、ん……!」

 伸ばされた舌が蜜沼に沈められ、ぞわぞわとした感覚が背筋を走った。ヒダの形をなぞるような動きに体が弓なりに反り返る。
 刺激を受けた蜜壷からさらなる蜜が溢れ出し、太ももが不規則にびくびくと動いた。

「も、や……。舐めなくて、いいからっ……!」

「駄目。今夜は僕が好きなようにする」

 今夜どころか、いつだってあなたは好きなように動いてるじゃないの。そう言ってやりたい気持ちもあったけど、確かに私は「最後まであなたに付いて行く」と宣言したのだ。
 両脚から力を抜いて秘部をさらしたもののやはり羞恥には勝てず、私は枕を一つ掴んでぎゅっと胸に抱きしめた。頭かくして尻かくさず状態になった私に構うことなく、局部では舌と指が自由に動いている。

 唇が上に移動する感覚があり、空いた蜜口には代わりのように指が二本沈められた。くちくちと蜜壷をほぐされながら膨らんだ蜜芯を舌で押しつぶされた瞬間、頭の中が真っ白に染まる。

「はっ、あぁんっ……! もぉだめぇっ」

 快感が弾けて体中から汗が噴き出し、しばし呆然と天井を見上げた。絶頂するといつもこんな感じで、少しの間だけ体に力が入らない。ぐったりした私を綾太さんがうつ伏せにして、お腹の下に枕を置いてお尻を上げさせる。彼に向かって秘部を突き出すような格好だ。想像すると顔から火が出そうなほど恥ずかしく、私はもう一つの枕を取って顔をぼふっと突っ込んだ。

 普段であればこのかんに彼が避妊具を身につけるのだが、今夜はその気配がない。ピリッとパッケージを開ける音もしないし、被せている動きも感じない。不思議に思って後ろを振り返ると、膝立ちになった綾太さんと目が合った。何か逡巡する様子を見せたのち、懇願するように囁く。

「このまま入れたい。……いいか?」

 彼の言葉の一つひとつが、私の体に染み込むようだった。この人は本気で私との結婚を考えてくれている。それが分かったから、私はこくんと頷いた。

「……いいよ」

 承諾した瞬間、濡れて開いた蜜口に杭を打ち込むような強さで楔が埋め込まれる。

「んあぁあっ!」

 勢いよく私のナカを突き進んだそれは最奥で止まったものの、私の臀部と彼の腰は密着しておらず、全てが収まったわけではなさそうだった。綾太さんの分身は逞しい体に見合った大きさで、最初の挿入のときに全部を受け止めきるのは無理なのだ。
 背後から恍惚とした吐息が聞こえてくる。

「はぁっ……すごく気持ちがいい。生だと全然ちがうんだな」

「ん、あう……。は、初めて……なの?」

 彼の言葉から避妊しないのは初めてなのだろうと察して訪ねると、ふっと笑う気配があった。

「もちろん初めてだよ。責任を取るつもりじゃなきゃ、こんな事しない」

 そう言った途端、緩やかに律動を始める。綾太さんの言葉が嬉しくて、避妊していないという事実が生々しくて、体のなかに埋め込まれた楔をきゅうっと無意識に締め付けた。頭上から男の色香に溢れた呻きが聞こえる。彼が上体を押し倒し、私の手の上に自分のそれを重ねてぎゅっと握りしめた。

「んっ、あっ、あぁ、あう、あぁん!」

 抽挿されるたびに口から喘ぐ声が漏れる。ようやく全てが埋め込まれたのか、揺れるお尻に彼の下生えが当たってこすれ、さらなる快感を呼び起こした。蜜路と陽根がすき間なく密着し、ほんの少し角度が変わっただけで突かれた場所がずれて鋭い刺激が生まれる。口を閉じることも出来なくて、喘ぐ口元から唾液がこぼれてシーツに染み込まれた。
 背後から回された手が乳房を掴み、指先で尖りを摘ままれて背をしならせる。彼も限界が近いのか、律動の速度が上がって体がぶつかる音が響き渡った。

「ひっ、あっ、あぁ……、んあぁああっ!」

「くっ……」

 子宮に届くような深い場所で、楔の先端が跳ねるのを感じた。綾太さんが顔を傾けて私に口付け、胎内が温かいもので満たされる。

「……愛してる」

 唇を離した彼は、私の耳元で囁くように言った。溢れた涙が重力に従って雫となり、シーツに染みを作る。私も愛してる。あなただけを愛してる。何があっても、あなたの事は守ってみせるから。
 この夜、私たちは飽きることなく互いの体に溺れ続けた。
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