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14 猫パンチと試験
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その夜、ジオルドはこれまでになく執拗にわたしを猫かわいがりした。文字通り、猫化したわたしをしつこくしつこく構い倒した。
どこからか猫じゃらしを持ってきて、「ほれほれ」と言いながらわたしの目の前に揺らす。無視したいのに何故かそれが出来ず、奴の思い通りの動きをしてしまう。
「ほら、ノア」
「うう……、ニャっ、ニャア!」
ふわふわの猫じゃらしに猫パンチ。猫パンチ、猫パンチ!
捕まえたら噛み付きながら猫キック。
はあ、最高―――。じゃなくて!
「……どうしたんだよ。何しょぼくれてんだ?」
「もう嫌ニャ。このままじゃ人間に戻れニャくニャりそう……」
両手で目を隠してうずくまるわたしを、奴はそっと抱き上げた。晴ればれとした笑顔で。
「大丈夫だ。お前のことは死ぬまで面倒を見てやる。安心して猫になればいい」
わたしは奴の顔に向かって、渾身の力で猫パンチを繰り出した。が、簡単に避けられてしまう。
こんの極悪公爵めえええ。
もうあんたが喜ぶ動きなんかしてやらない。
目を閉じて、ジオルドの言葉を全て無視した。奴は「ノア、ノア」と呼びながらわたしの体を揺らし、小さな子供をあやすように高く持ち上げたりしていたが、我慢できなくなったらしい。急にわたしの耳に噛み付いた。
「いニャっ! 何すんのニャア!」
「だってお前が無視するから。何で怒ったんだよ、面倒みてやるって言ってんのに」
……はぁ。この男はどうも、他人の心情が理解できないらしい。本来は人間であるわたしが、猫として面倒見てやるなんて言われても嬉しい訳がないのに。
でもそれを説明したところで、彼がすんなりと理解を示すとも思えなかった。
わたしが子供の頃、前公爵さまはほぼ毎日のように母へ会いに来ていたし、ジオルドは「父親が浮気している家族がどれだけ惨めかお前に分かるか」と暗い声でわたしに言った。
彼の父親は恐らく、自身の家庭はほったらかしにしたのだ。妻も、息子も。
だからジオルドも誰かに愛情を伝えるのは苦手なんだろう。
わたしはジオルドの頬を肉球で撫でてあげた。奴もわたしの頭をぐりぐりと撫でている。気の毒な人だ。見た目は芸術品のように美しいのに……。
このままではこの人も、妻となる女性を愛せないかもしれない。
ジオルドはいつものように、わたしを抱いたまま寝てしまった。後ろから規則正しい寝息が聞こえてくる。
わたしは彼が結婚するまで猫のように飼われないといけないのかな。
そう思うと、胸の上に重たい石でも乗せられたかのような気持ちになった。そんな絶望的な日々を過ごすなんて嫌だ。
誰か、誰でもいい。ジオルドの重たい執着を肩代わりして欲しい。わたし一人ではとても背負いきれない。
大学に入れば素敵な女性が見つかるだろうか。ジオルドは見た目だけならとても魅力的だから、きっとたくさんの女性からモテると思うのに。
入学できたらジオルドが好みそうな女性を探そう。その前に、彼の女性の趣味を調べておかないと。
明日になったらシュウに尋ねてみようと思いつつ、わたしは目を閉じた。
何日か経ち、とうとう編入学試験の日を迎えた。
わたしは今オルタ大学の正門前に立っている。約二週間ぶりに外に出られて嬉しくてたまらない。もうこのままどこかへ逃げてしまいたいとも思うけど、首もとでは相変わらず黒い石が揺れている。どこへ逃げようと無駄なのだ。
ジオルドはシュウに命じて馬車を用意してくれたが、公爵家の立派すぎる馬車は目立つので途中で降りてしまった。わたしは公爵令嬢でも貴族でもない、ただの雇われ人だから。
正門をくぐり、試験会場である第ニ号館へ向かって足を動かす。さりげなく建物や周囲の学生の様子を観察した。当然だけど、二十歳前後の人が多い様子だ。彼等に混じって初老の男性も見えたが、恐らく大学の職員なのだろう。
歩きながらシュウに聞いた話を思い出していた。ジオルドの好みの女性について―――ただ、シュウは娼婦に関する情報しか知らなかったけれど。
ジオルドは最初、ハニーブロンドの美女ばかり指名していたらしい。それがある時から急に好みが変わり、黒っぽい髪の美女ばかり選ぶようになったとの事だった。
周囲の学生の中には黒い髪の女性は見当たらない。入学したらまたゆっくり探そうと思いつつ、第二号館の中へ入った。
試験会場となる大講義室は最前列の席から後方へ向かって緩やかな階段状になっている。前の方は何故か空いているので、わたしはそちらに座ることにした。
室内にいる人は五十人ほどだろうか。皆わたしと似たような年齢だ。
やがて前方の扉から眼鏡をかけた四十代半ばぐらいの男性が入ってきて、試験内容の説明が始まり、問題が配られた。「始め」の合図で試験が始まる。
ジオルドのおかげか、さほどの困難もなく全ての問題を解けたと思う。
途中に一回の休憩を挟み、無事に試験が終了した。退出していく人たちのガタガタという音を聞きながら、持ってきた学術論文を提出。男性は少し驚いた顔をしたが、わたしの論文を受け取ってくれた。他に論文を提出する人はいないようだった。
第二号館を出てからまた黒髪の女性を探してみる。こうして見るとなかなか真っ黒な髪の人というのは少ない。全体的には褐色か薄茶色、亜麻色の髪の人が多い様子だ。
夕食の時にでもジオルドに聞きだしてみようかな。結婚は考えていないのか、婚約者を見つける気はないのか。
正門から出てしばらく歩いた所に馬車があり、横にシュウが立っていた。迎えに来てくれたらしい。わたしは彼に礼を言って馬車に乗り込んだ。窓から紅葉した街路樹が見える。カラマツ、ブナ、ミズナラ―――それらの鮮やかな色を眺めながら公爵家に戻った。
どこからか猫じゃらしを持ってきて、「ほれほれ」と言いながらわたしの目の前に揺らす。無視したいのに何故かそれが出来ず、奴の思い通りの動きをしてしまう。
「ほら、ノア」
「うう……、ニャっ、ニャア!」
ふわふわの猫じゃらしに猫パンチ。猫パンチ、猫パンチ!
捕まえたら噛み付きながら猫キック。
はあ、最高―――。じゃなくて!
「……どうしたんだよ。何しょぼくれてんだ?」
「もう嫌ニャ。このままじゃ人間に戻れニャくニャりそう……」
両手で目を隠してうずくまるわたしを、奴はそっと抱き上げた。晴ればれとした笑顔で。
「大丈夫だ。お前のことは死ぬまで面倒を見てやる。安心して猫になればいい」
わたしは奴の顔に向かって、渾身の力で猫パンチを繰り出した。が、簡単に避けられてしまう。
こんの極悪公爵めえええ。
もうあんたが喜ぶ動きなんかしてやらない。
目を閉じて、ジオルドの言葉を全て無視した。奴は「ノア、ノア」と呼びながらわたしの体を揺らし、小さな子供をあやすように高く持ち上げたりしていたが、我慢できなくなったらしい。急にわたしの耳に噛み付いた。
「いニャっ! 何すんのニャア!」
「だってお前が無視するから。何で怒ったんだよ、面倒みてやるって言ってんのに」
……はぁ。この男はどうも、他人の心情が理解できないらしい。本来は人間であるわたしが、猫として面倒見てやるなんて言われても嬉しい訳がないのに。
でもそれを説明したところで、彼がすんなりと理解を示すとも思えなかった。
わたしが子供の頃、前公爵さまはほぼ毎日のように母へ会いに来ていたし、ジオルドは「父親が浮気している家族がどれだけ惨めかお前に分かるか」と暗い声でわたしに言った。
彼の父親は恐らく、自身の家庭はほったらかしにしたのだ。妻も、息子も。
だからジオルドも誰かに愛情を伝えるのは苦手なんだろう。
わたしはジオルドの頬を肉球で撫でてあげた。奴もわたしの頭をぐりぐりと撫でている。気の毒な人だ。見た目は芸術品のように美しいのに……。
このままではこの人も、妻となる女性を愛せないかもしれない。
ジオルドはいつものように、わたしを抱いたまま寝てしまった。後ろから規則正しい寝息が聞こえてくる。
わたしは彼が結婚するまで猫のように飼われないといけないのかな。
そう思うと、胸の上に重たい石でも乗せられたかのような気持ちになった。そんな絶望的な日々を過ごすなんて嫌だ。
誰か、誰でもいい。ジオルドの重たい執着を肩代わりして欲しい。わたし一人ではとても背負いきれない。
大学に入れば素敵な女性が見つかるだろうか。ジオルドは見た目だけならとても魅力的だから、きっとたくさんの女性からモテると思うのに。
入学できたらジオルドが好みそうな女性を探そう。その前に、彼の女性の趣味を調べておかないと。
明日になったらシュウに尋ねてみようと思いつつ、わたしは目を閉じた。
何日か経ち、とうとう編入学試験の日を迎えた。
わたしは今オルタ大学の正門前に立っている。約二週間ぶりに外に出られて嬉しくてたまらない。もうこのままどこかへ逃げてしまいたいとも思うけど、首もとでは相変わらず黒い石が揺れている。どこへ逃げようと無駄なのだ。
ジオルドはシュウに命じて馬車を用意してくれたが、公爵家の立派すぎる馬車は目立つので途中で降りてしまった。わたしは公爵令嬢でも貴族でもない、ただの雇われ人だから。
正門をくぐり、試験会場である第ニ号館へ向かって足を動かす。さりげなく建物や周囲の学生の様子を観察した。当然だけど、二十歳前後の人が多い様子だ。彼等に混じって初老の男性も見えたが、恐らく大学の職員なのだろう。
歩きながらシュウに聞いた話を思い出していた。ジオルドの好みの女性について―――ただ、シュウは娼婦に関する情報しか知らなかったけれど。
ジオルドは最初、ハニーブロンドの美女ばかり指名していたらしい。それがある時から急に好みが変わり、黒っぽい髪の美女ばかり選ぶようになったとの事だった。
周囲の学生の中には黒い髪の女性は見当たらない。入学したらまたゆっくり探そうと思いつつ、第二号館の中へ入った。
試験会場となる大講義室は最前列の席から後方へ向かって緩やかな階段状になっている。前の方は何故か空いているので、わたしはそちらに座ることにした。
室内にいる人は五十人ほどだろうか。皆わたしと似たような年齢だ。
やがて前方の扉から眼鏡をかけた四十代半ばぐらいの男性が入ってきて、試験内容の説明が始まり、問題が配られた。「始め」の合図で試験が始まる。
ジオルドのおかげか、さほどの困難もなく全ての問題を解けたと思う。
途中に一回の休憩を挟み、無事に試験が終了した。退出していく人たちのガタガタという音を聞きながら、持ってきた学術論文を提出。男性は少し驚いた顔をしたが、わたしの論文を受け取ってくれた。他に論文を提出する人はいないようだった。
第二号館を出てからまた黒髪の女性を探してみる。こうして見るとなかなか真っ黒な髪の人というのは少ない。全体的には褐色か薄茶色、亜麻色の髪の人が多い様子だ。
夕食の時にでもジオルドに聞きだしてみようかな。結婚は考えていないのか、婚約者を見つける気はないのか。
正門から出てしばらく歩いた所に馬車があり、横にシュウが立っていた。迎えに来てくれたらしい。わたしは彼に礼を言って馬車に乗り込んだ。窓から紅葉した街路樹が見える。カラマツ、ブナ、ミズナラ―――それらの鮮やかな色を眺めながら公爵家に戻った。
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