18 / 33
ホテルで働いてます
しおりを挟む
エフレインという国は南北に細長く伸びた形をしているらしい。私が暮らしていた王宮は中心より少し南側なので暖かかったが、北端だと春でも雪が残るぐらい寒いのだとか。
私は今、その北端の手前にあるゴダという街のホテルで働いている。寒さゆえに防寒に関する文化が発展したようで、羊の毛で作られた暖かい防寒着はゴダの特産品だ。そしてもう一つ、ゴダを国内でも有名にしたのが温泉だった。
「よし。次の部屋行こうか、ララ」
「はい」
職場の先輩であるサンディさんと一緒に客室の掃除。チェックアウトが済んだ部屋から順に回っている。
今の私は逃亡者なので、『ララ』という偽名を名乗っていた。国王相手にどこまで通用するかは分からないけれど、本名で働くよりはマシだと思う。
支配人との面接で私は裏方の仕事を希望していた。接客なんかしていたらお客さんに顔を見られる機会が増えてしまうし、もし騎士の誰かが私に気が付いたらもうお仕舞いだ。このホテルは住み込みで三食付きというおいしい条件なので、なるべく長く働きたいと思っている。
私がずっと逃げていたらさすがにカイザーも諦めるだろう。王様が婚約者に逃げられるなんて、恥ずかしくて耐えられないだろう。だからその内、新しい婚約者を選ぶに違いない!……と言うのが私の作戦だった。
リンゼイに私の味方はいない。すぐに家に戻ってもまた捕まるだけだ。
ああ、本当に、厄介な美少年を拾ってしまった……。
客室の掃除を終えた私たちは風呂場の掃除に向かった。このホテルには男女共同の温泉があり、入る前には浴衣《よくい》という服を着ることになっている。何でも東方にある国から伝わったそうで、これを着ていれば裸が見えないので便利なのだ。さすがに脱衣所は男女で別れているけれど。
私とサンディさんは女性用の脱衣所からガラス戸を開けて浴場へと入った。温泉は地下からずっと溢れ続けているので、浴槽は屋外に作られている。石造りの浴槽からは少しヌメリのあるお湯が流れ出し、辺りには特有の香りが漂っていた。硫黄の匂いなのだそうだ。
浴場を囲む塀に立てかけてあった網をもって、お湯に浮かんだ木の葉や枝をすくい上げる。あとは床を簡単に掃除すれば終わり。掛け流しだから汚れも溜まりにくいらしい。
少し休憩しようか、と言われ、サンディさんと一緒に従業員用の休憩室へ入った。休憩室は食堂にもなっていて、広い室内に長テーブルがいくつも並んでいる。お湯を沸かすのは自由だから、お茶を淹れて端の席に座った。
サンディさんと世間話をしていると、後ろから「お茶菓子どうぞー」と声を掛けられた。ケビンという名の二十歳ぐらいの男性で、ここで働き出して以来、何度か絡まれている。
ケビンさんはささっと私の隣に座った。グイグイ来る人だから苦手なんだよね。
「ララちゃんてさ、目が綺麗だよね。夕日みたいな色で」
「はぁ……どうも」
「ああ、その冷たさがいい! クセになりそう」
私って呪われてるのかな……。お祓いにでも行ったほうがいいのかも。
私は自分の男運の悪さにウンザリしていた。カイザーといい、この人といい、変な男にばかり絡まれる運命なんだろうか。
「ちょっと! 若い子に手あたり次第に声かけてんじゃないわよ」
「いいじゃんかぁ。ゴダは田舎だから、職場ぐらいしか出会いがないんだよ」
サンディさん、もっと言ってください。
それにしてもゴダって田舎だったんだ。ケビンさんがリンゼイへ来たら驚くだろうな。本物の田舎を見せてやりたい。
私は黙って茶を啜っていた。東方から伝わった黄緑色のお茶で、緑茶というものらしい。疲労回復に効果があると聞いてからこのお茶ばかり飲んでいる。はぁ、温まる。
ゴダは北にあるせいか朝晩冷え込むようになってきた。お金が貯まったら羊の毛の防寒着を買おうかな。それか毛糸を買って自分で編むのもいいかも。
「ねえララちゃん、次の休みに俺とデートしない?」
「すみません、予定があるので」
まだいたのかこの人。
私は毛糸を買いに行きたいのよ。もう男にはしばらく関わりたくないのよ!
「じゃあ予定が無い日を教えて?」
「……ケビンさん。今まで黙ってましたけど、私には婚約者がいるんです。だからお付き合いは出来ません」
「婚約者いたんだ!? どんな人?」
サンディさんが食い付いてくる。他人の恋話って面白いんだろうな。私には地獄としか思えないんだけど。
「えーと。顔はいいんですけど、とにかく甘えん坊な人で」
奴を甘えん坊と評価していいのかどうか分からないけれど、まさか婚約者を軟禁するような人ですとも言えないし。
「へえ、イケメンで甘えん坊なんて最高じゃない!」
エフレインでは顔のいい男性を“イケメン”と呼ぶらしい。最初は何の麺料理かと思っていたけど、今はだいぶ聞き慣れてきた。
私は今、その北端の手前にあるゴダという街のホテルで働いている。寒さゆえに防寒に関する文化が発展したようで、羊の毛で作られた暖かい防寒着はゴダの特産品だ。そしてもう一つ、ゴダを国内でも有名にしたのが温泉だった。
「よし。次の部屋行こうか、ララ」
「はい」
職場の先輩であるサンディさんと一緒に客室の掃除。チェックアウトが済んだ部屋から順に回っている。
今の私は逃亡者なので、『ララ』という偽名を名乗っていた。国王相手にどこまで通用するかは分からないけれど、本名で働くよりはマシだと思う。
支配人との面接で私は裏方の仕事を希望していた。接客なんかしていたらお客さんに顔を見られる機会が増えてしまうし、もし騎士の誰かが私に気が付いたらもうお仕舞いだ。このホテルは住み込みで三食付きというおいしい条件なので、なるべく長く働きたいと思っている。
私がずっと逃げていたらさすがにカイザーも諦めるだろう。王様が婚約者に逃げられるなんて、恥ずかしくて耐えられないだろう。だからその内、新しい婚約者を選ぶに違いない!……と言うのが私の作戦だった。
リンゼイに私の味方はいない。すぐに家に戻ってもまた捕まるだけだ。
ああ、本当に、厄介な美少年を拾ってしまった……。
客室の掃除を終えた私たちは風呂場の掃除に向かった。このホテルには男女共同の温泉があり、入る前には浴衣《よくい》という服を着ることになっている。何でも東方にある国から伝わったそうで、これを着ていれば裸が見えないので便利なのだ。さすがに脱衣所は男女で別れているけれど。
私とサンディさんは女性用の脱衣所からガラス戸を開けて浴場へと入った。温泉は地下からずっと溢れ続けているので、浴槽は屋外に作られている。石造りの浴槽からは少しヌメリのあるお湯が流れ出し、辺りには特有の香りが漂っていた。硫黄の匂いなのだそうだ。
浴場を囲む塀に立てかけてあった網をもって、お湯に浮かんだ木の葉や枝をすくい上げる。あとは床を簡単に掃除すれば終わり。掛け流しだから汚れも溜まりにくいらしい。
少し休憩しようか、と言われ、サンディさんと一緒に従業員用の休憩室へ入った。休憩室は食堂にもなっていて、広い室内に長テーブルがいくつも並んでいる。お湯を沸かすのは自由だから、お茶を淹れて端の席に座った。
サンディさんと世間話をしていると、後ろから「お茶菓子どうぞー」と声を掛けられた。ケビンという名の二十歳ぐらいの男性で、ここで働き出して以来、何度か絡まれている。
ケビンさんはささっと私の隣に座った。グイグイ来る人だから苦手なんだよね。
「ララちゃんてさ、目が綺麗だよね。夕日みたいな色で」
「はぁ……どうも」
「ああ、その冷たさがいい! クセになりそう」
私って呪われてるのかな……。お祓いにでも行ったほうがいいのかも。
私は自分の男運の悪さにウンザリしていた。カイザーといい、この人といい、変な男にばかり絡まれる運命なんだろうか。
「ちょっと! 若い子に手あたり次第に声かけてんじゃないわよ」
「いいじゃんかぁ。ゴダは田舎だから、職場ぐらいしか出会いがないんだよ」
サンディさん、もっと言ってください。
それにしてもゴダって田舎だったんだ。ケビンさんがリンゼイへ来たら驚くだろうな。本物の田舎を見せてやりたい。
私は黙って茶を啜っていた。東方から伝わった黄緑色のお茶で、緑茶というものらしい。疲労回復に効果があると聞いてからこのお茶ばかり飲んでいる。はぁ、温まる。
ゴダは北にあるせいか朝晩冷え込むようになってきた。お金が貯まったら羊の毛の防寒着を買おうかな。それか毛糸を買って自分で編むのもいいかも。
「ねえララちゃん、次の休みに俺とデートしない?」
「すみません、予定があるので」
まだいたのかこの人。
私は毛糸を買いに行きたいのよ。もう男にはしばらく関わりたくないのよ!
「じゃあ予定が無い日を教えて?」
「……ケビンさん。今まで黙ってましたけど、私には婚約者がいるんです。だからお付き合いは出来ません」
「婚約者いたんだ!? どんな人?」
サンディさんが食い付いてくる。他人の恋話って面白いんだろうな。私には地獄としか思えないんだけど。
「えーと。顔はいいんですけど、とにかく甘えん坊な人で」
奴を甘えん坊と評価していいのかどうか分からないけれど、まさか婚約者を軟禁するような人ですとも言えないし。
「へえ、イケメンで甘えん坊なんて最高じゃない!」
エフレインでは顔のいい男性を“イケメン”と呼ぶらしい。最初は何の麺料理かと思っていたけど、今はだいぶ聞き慣れてきた。
7
お気に入りに追加
672
あなたにおすすめの小説
【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!
ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、
1年以内に妊娠そして出産。
跡継ぎを産んで女主人以上の
役割を果たしていたし、
円満だと思っていた。
夫の本音を聞くまでは。
そして息子が他人に思えた。
いてもいなくてもいい存在?萎んだ花?
分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。
* 作り話です
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
巻き込まれ女子と笑わない王子様
来栖もよもよ&来栖もよりーぬ
恋愛
目立たず静かに生きていきたいのに何故かトラブルに巻き込まれやすい古川瞳子(ふるかわとうこ)(十八歳)。巻き込まれたくなければ逃げればいいのだが、本来のお人好しの性格ゆえかつい断りそびれて協力する羽目になる。だがそのトラブルキャッチャーな自分の命運は、大学に入った夏に遊びに来た海で、溺れていた野良猫を助けようとしてあえなく尽きてしまう。
気がつけば助けたその黒猫と一緒に知らない山の中。
しかも猫はこちらにやって来たことが原因なのか、私とだけ思念で会話まで出来るようになっていた。まさか小説なんかで死んだら転生したり転移するって噂の異世界ですか?
トウコは死に損じゃねえかと助けた猫に同情されつつも、どんな世界か不明だけどどちらにせよ暮らして行かねばならないと気を取り直す。どうせ一緒に転生したのだから一緒に生きていこう、と黒猫に【ナイト】という名前をつけ、山を下りることに。
この国の人に出会うことで、ここはあの世ではなく異世界だと知り、自分が異世界からの『迷い人』と呼ばれていることを知る。
王宮に呼ばれ出向くと、国王直々にこの国の同い年の王子が、幼い頃から感情表現をしない子になってしまったので、よその国の人間でも誰でも、彼を変化させられないかどんな僅かな可能性でも良いから試しているので協力して欲しいとのこと。
私にも協力しろと言われても王族との接し方なんて分からない。
王族に関わるとろくなことにならないと小説でも書いてあったのにいきなりですか。
異世界でもトラブルに巻き込まれるなんて涙が出そうだが、衣食住は提供され、ナイトも一緒に暮らしていいと言う好条件だ。給料もちゃんと出すし、三年働いてくれたら辞める時にはまとまったお金も出してくれると言うので渋々受けることにした。本来なら日本で死んだまま、どこかで転生するまで彷徨っていたかも知れないのだし、ここでの人生はおまけのようなものである。
もし王子に変化がなくても責任を押し付けないと念書を取って、トウコは日常生活の家庭教師兼話し相手として王宮で働くことになる。
大抵の人が想像するような金髪に青い瞳の気が遠くなるほどの美形、ジュリアン王子だったが、確かに何を言っても無表情、言われたことは出来るし頭も良いのだが、何かをしたいとかこれが食べたいなどの己の欲もないらしい。
(これはいけない。彼に世の中は楽しいや美味しいが沢山あると教えなければ!)
かくしてジュリアンの表情筋を復活させるトウコの戦いが幕を上げる。
フェードイン・フェードアウトがチートな転生女子と、全く笑みを見せない考えの読めない王子とのじれじれするラブコメ。
妻と夫と元妻と
キムラましゅろう
恋愛
復縁を迫る元妻との戦いって……それって妻(わたし)の役割では?
わたし、アシュリ=スタングレイの夫は王宮魔術師だ。
数多くの魔術師の御多分に漏れず、夫のシグルドも魔術バカの変人である。
しかも二十一歳という若さで既にバツイチの身。
そんな事故物件のような夫にいつの間にか絆され絡めとられて結婚していたわたし。
まぁわたしの方にもそれなりに事情がある。
なので夫がバツイチでもとくに気にする事もなく、わたしの事が好き過ぎる夫とそれなりに穏やかで幸せな生活を営んでいた。
そんな中で、国王肝入りで魔術研究チームが組まれる事になったのだとか。そしてその編成されたチームメイトの中に、夫の別れた元妻がいて………
相も変わらずご都合主義、ノーリアリティなお話です。
不治の誤字脱字病患者の作品です。
作中に誤字脱字が有ったら「こうかな?」と脳内変換を余儀なくさせられる恐れが多々ある事をご了承下さいませ。
性描写はありませんがそれを連想させるワードが出てくる恐れがありますので、破廉恥がお嫌いな方はご自衛下さい。
小説家になろうさんでも投稿します。
五年目の浮気、七年目の破局。その後のわたし。
あとさん♪
恋愛
大恋愛での結婚後、まるまる七年経った某日。
夫は愛人を連れて帰宅した。(その愛人は妊娠中)
笑顔で愛人をわたしに紹介する夫。
え。この人、こんな人だったの(愕然)
やだやだ、気持ち悪い。離婚一択!
※全15話。完結保証。
※『愚かな夫とそれを見限る妻』というコンセプトで書いた第四弾。
今回の夫婦は子無し。騎士爵(ほぼ平民)。
第一弾『妻の死を人伝てに聞きました。』
第二弾『そういうとこだぞ』
第三弾『妻の死で思い知らされました。』
それぞれ因果関係のない独立したお話です。合わせてお楽しみくださると一興かと。
※この話は小説家になろうにも投稿しています。
※2024.03.28 15話冒頭部分を加筆修正しました。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
溺愛の始まりは魔眼でした。騎士団事務員の貧乏令嬢、片想いの騎士団長と婚約?!
参
恋愛
男爵令嬢ミナは実家が貧乏で騎士団の事務員と騎士団寮の炊事洗濯を掛け持ちして働いていた。ミナは騎士団長オレンに片想いしている。バレないようにしつつ長年真面目に働きオレンの信頼も得、休憩のお茶まで一緒にするようになった。
ある日、謎の香料を口にしてミナは魔法が宿る眼、魔眼に目覚める。魔眼のスキルは、筋肉のステータスが見え、良い筋肉が目の前にあると相手の服が破けてしまうものだった。ミナは無類の筋肉好きで、筋肉が近くで見られる騎士団は彼女にとっては天職だ。魔眼のせいでクビにされるわけにはいかない。なのにオレンの服をびりびりに破いてしまい魔眼のスキルを話さなければいけない状況になった。
全てを話すと、オレンはミナと協力して魔眼を治そうと提案する。対処法で筋肉を見たり触ったりすることから始まった。ミナが長い間封印していた絵描きの趣味も魔眼対策で復活し、よりオレンとの時間が増えていく。片想いがバレないようにするも何故か魔眼がバレてからオレンが好意的で距離も近くなり甘やかされてばかりでミナは戸惑う。別の日には我慢しすぎて自分の服を魔眼で破り真っ裸になった所をオレンに見られ彼は責任を取るとまで言いだして?!
※結構ふざけたラブコメです。
恋愛が苦手な女性シリーズ、前作と同じ世界線で描かれた2作品目です(続きものではなく単品で読めます)。今回は無自覚系恋愛苦手女性。
ヒロインによる一人称視点。全56話、一話あたり概ね1000~2000字程度で公開。
前々作「訳あり女装夫は契約結婚した副業男装妻の推し」前作「身体強化魔法で拳交える外交令嬢の拗らせ恋愛~隣国の悪役令嬢を妻にと連れてきた王子に本来の婚約者がいないとでも?~」と同じ時代・世界です。
※小説家になろう、ノベルアップ+にも投稿しています。※R15は保険です。
人質生活を謳歌していた虐げられ王女は、美貌の公爵に愛を捧げられる
美並ナナ
恋愛
リズベルト王国の王女アリシアは、
敗戦に伴い長年の敵対国である隣国との同盟のため
ユルラシア王国の王太子のもとへ嫁ぐことになる。
正式な婚姻は1年後。
本来なら隣国へ行くのもその時で良いのだが、
アリシアには今すぐに行けという命令が言い渡された。
つまりは正式な婚姻までの人質だ。
しかも王太子には寵愛を与える側妃がすでにいて
愛される見込みもないという。
しかし自国で冷遇されていたアリシアは、
むしろ今よりマシになるくらいだと思い、
なんの感慨もなく隣国へ人質として旅立った。
そして隣国で、
王太子の側近である美貌の公爵ロイドと出会う。
ロイドはアリシアの監視役のようでーー?
これは前世持ちでちょっぴりチートぎみなヒロインが、
前向きに人質生活を楽しんでいたら
いつの間にか愛されて幸せになっていくお話。
※設定がゆるい部分もあると思いますので、気楽にお読み頂ければ幸いです。
※前半〜中盤頃まで恋愛要素低めです。どちらかというとヒロインの活躍がメインに進みます。
■この作品は、エブリスタ様・小説家になろう様でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる