46 / 62
46 イグニスのたくらみ
しおりを挟む
「可愛いな、あの衣装。可愛いし色っぽいし……あいつにピッタリの衣装だな……」
「あまりジロジロ見るな。作戦が台無しになるではないか」
リョーシィの冷ややかな口調で、イグニスはハッと我に返った。そうだった、ルルシェをじろじろ観察していたら、見せ掛けのデートの意味がなくなる。
イグニスがリョーシィと親しげに歩いているのは、ルルシェに嫉妬してもらいたいという下心あふれる野望のためであった。
ことの発端は二ヶ月前。
カイ帝国の姫リョーシィから届いた手紙に、『そちらに遊びに行くからよろしく』と書いてあったことから全ては始まった。
法案の調整で目まぐるしい日々を送っていたイグニスは「このくそ忙しい時に!」と愚痴をもらし、最初は断るつもりでいた。
が、ふと考えたのだ。
カイ帝国は多くの女性が活躍している国である。その姫がブロンテに来て、演説のひとつもすれば法案を通す勢いがつくのではないか? 今はなにより世論の支持がほしいところだし、リョーシィにもひと働きしてもらおう。
さらに、もう一つ個人的な心配事もどうにか出来ないかと考え始めた。ルルシェのことだ。
もういい加減イグニスとて、自分が男として意識されていないのは知っている。ルルシェがされるがままにイグニスを受け入れているのは、相手が国王だからだろう。
今の状態で法案が通れば、ルルシェは「ありがとうございます」と礼を述べてさっさとスタレートンに戻ってしまうかもしれない。王の涙ぐましい努力も知らずに。
イグニスはリョーシィ宛に手紙を書いた。遊びに来るのは構わないが、二つの事案について協力してほしい。法案の応援をすることと、片想いの相手について相談にのること。この二つを了承するのなら歓迎しよう、と。
自分が片想い中であることを告白するのはかなり勇気が必要だった。案の定リョーシィは長い手紙を送り返してきて、「おぬしにもようやく春が来たか」だの「しょうがないから協力してやろう」だの上から目線で書いている。二人は幼なじみなので、言葉にも遠慮がないのだ。
いくどか手紙のやりとりをし、今に至る。
リョーシィが言うには、イグニスは押してばかりで相手の気を引きつける努力をしていない。たまには嫉妬させるようなことも仕掛けたらどうだ――という事で、花園デートをしているわけだ。
しかし本当に効果があるのだろうか。イグニスは不安になり、ちらちらとルルシェの様子を伺ったが、なぜか彼女は地面ばかり睨んでいる。
「本当に効果があるのか? あいつ、俺たちのこと見てないけど」
「ふう、女心の分からない奴め。おぬしが他の女と親しげにしているから、見ているのがつらいのであろうよ」
「そうだろうか……。今朝の鍛錬でも元気がなくて、何か思い詰めているようだったし……」
「鍛錬か、話は聞いたぞ。おぬしは剣の相手さえルルシェにさせているそうではないか。そもそも筋力は男の方が強いというのに、あやつを働かせすぎなのではないか? この国の男たちは情けないのう」
「……申し訳ございません」
この国の男が弱いというより、イグニスとルルシェが極端に強いだけである。が、確かにルルシェにばかり負担をかけているのは事実だ。イグニスは反省した。
「ルルシェが悩んでいるのは多分、今後のことを考えたからであろう。昨日、女として戦えという話をしたからな。伯爵令嬢に戻ったときに、どうしようかと悩んでいるのではないか?」
「ああ、そういう事か……。今後のことを……」
「そうしょぼんとするな。大丈夫じゃ、おぬしは予想外に好かれておる。自信をもてい!」
“予想外”という失礼きわまりない言葉を吐きながら、リョーシィは思いっきりイグニスの背中をたたいた。口からげほっと咳がもれる。リョーシィこそ予想外に馬鹿力だ。
「と、ところで。あんたは何の用でブロンテに来たんだ? 遊びに行きたいとか書いてたけど、どこに行くつもりなんだよ」
「むふふ。我はな、ケイトリン先生のサインが欲しいのだ」
ケイトリン? イグニスは首をかしげる。どこかで聞いた名だ。どこだったか――。
「あっ! あの忌々しい本を書いた作者か!?」
「ケイトリン先生に失礼なことを言うな。先生の本のおかげで、おぬしらは正常な状態に戻ったくせに」
それはそうかも知れないが、例の本のせいでルルシェは死の恐怖を味わい、イグニスも寿命が縮むような思いをした。だから作者に対しては印象が良くない。よくも余計なことをしてくれたな、と思わないでもない――が。
「分かった。あんたには協力してもらってるし、そのケイトリン先生は俺が探しておこう。面会は王宮内でもいいだろ?」
「無論じゃ。ああ、楽しみだのう……。ついでに知り合いの令嬢を呼んでもいいじゃろ?」
「あ、ああ。少人数なら……」
イグニスは例の本の内容を思い出していた。あれは男性同士の愛を描いた恋愛小説だったはずだ。なのにブロンテの令嬢だけでなく、リョーシィまで虜になっているのはどういう事なのか。こいつら意外な趣味してんだな、と新鮮かつ微妙な気持ちである。
面会の日にちを考えながら花園をうろつき、テーブルまで戻った。ルルシェは温度の無い声で「おかえりなさませ」と言ったが、イグニスと目が合うと一瞬だけ悲しそうな顔をした。ほんの一瞬、通りすぎるような表情の変化。イグニスは目を見張り、まさかと考える。
まさか本当に、リョーシィが言うような効果があったのか。
自分はルルシェにとって、単なる“主君”では無くなっているのか?
リョーシィがルルシェと侍女を引き連れて、花びらが舞い散る花園を出て行く。
イグニスはテーブルの横に立ち、紫銀の髪が揺れる背中を見ていた。
「あまりジロジロ見るな。作戦が台無しになるではないか」
リョーシィの冷ややかな口調で、イグニスはハッと我に返った。そうだった、ルルシェをじろじろ観察していたら、見せ掛けのデートの意味がなくなる。
イグニスがリョーシィと親しげに歩いているのは、ルルシェに嫉妬してもらいたいという下心あふれる野望のためであった。
ことの発端は二ヶ月前。
カイ帝国の姫リョーシィから届いた手紙に、『そちらに遊びに行くからよろしく』と書いてあったことから全ては始まった。
法案の調整で目まぐるしい日々を送っていたイグニスは「このくそ忙しい時に!」と愚痴をもらし、最初は断るつもりでいた。
が、ふと考えたのだ。
カイ帝国は多くの女性が活躍している国である。その姫がブロンテに来て、演説のひとつもすれば法案を通す勢いがつくのではないか? 今はなにより世論の支持がほしいところだし、リョーシィにもひと働きしてもらおう。
さらに、もう一つ個人的な心配事もどうにか出来ないかと考え始めた。ルルシェのことだ。
もういい加減イグニスとて、自分が男として意識されていないのは知っている。ルルシェがされるがままにイグニスを受け入れているのは、相手が国王だからだろう。
今の状態で法案が通れば、ルルシェは「ありがとうございます」と礼を述べてさっさとスタレートンに戻ってしまうかもしれない。王の涙ぐましい努力も知らずに。
イグニスはリョーシィ宛に手紙を書いた。遊びに来るのは構わないが、二つの事案について協力してほしい。法案の応援をすることと、片想いの相手について相談にのること。この二つを了承するのなら歓迎しよう、と。
自分が片想い中であることを告白するのはかなり勇気が必要だった。案の定リョーシィは長い手紙を送り返してきて、「おぬしにもようやく春が来たか」だの「しょうがないから協力してやろう」だの上から目線で書いている。二人は幼なじみなので、言葉にも遠慮がないのだ。
いくどか手紙のやりとりをし、今に至る。
リョーシィが言うには、イグニスは押してばかりで相手の気を引きつける努力をしていない。たまには嫉妬させるようなことも仕掛けたらどうだ――という事で、花園デートをしているわけだ。
しかし本当に効果があるのだろうか。イグニスは不安になり、ちらちらとルルシェの様子を伺ったが、なぜか彼女は地面ばかり睨んでいる。
「本当に効果があるのか? あいつ、俺たちのこと見てないけど」
「ふう、女心の分からない奴め。おぬしが他の女と親しげにしているから、見ているのがつらいのであろうよ」
「そうだろうか……。今朝の鍛錬でも元気がなくて、何か思い詰めているようだったし……」
「鍛錬か、話は聞いたぞ。おぬしは剣の相手さえルルシェにさせているそうではないか。そもそも筋力は男の方が強いというのに、あやつを働かせすぎなのではないか? この国の男たちは情けないのう」
「……申し訳ございません」
この国の男が弱いというより、イグニスとルルシェが極端に強いだけである。が、確かにルルシェにばかり負担をかけているのは事実だ。イグニスは反省した。
「ルルシェが悩んでいるのは多分、今後のことを考えたからであろう。昨日、女として戦えという話をしたからな。伯爵令嬢に戻ったときに、どうしようかと悩んでいるのではないか?」
「ああ、そういう事か……。今後のことを……」
「そうしょぼんとするな。大丈夫じゃ、おぬしは予想外に好かれておる。自信をもてい!」
“予想外”という失礼きわまりない言葉を吐きながら、リョーシィは思いっきりイグニスの背中をたたいた。口からげほっと咳がもれる。リョーシィこそ予想外に馬鹿力だ。
「と、ところで。あんたは何の用でブロンテに来たんだ? 遊びに行きたいとか書いてたけど、どこに行くつもりなんだよ」
「むふふ。我はな、ケイトリン先生のサインが欲しいのだ」
ケイトリン? イグニスは首をかしげる。どこかで聞いた名だ。どこだったか――。
「あっ! あの忌々しい本を書いた作者か!?」
「ケイトリン先生に失礼なことを言うな。先生の本のおかげで、おぬしらは正常な状態に戻ったくせに」
それはそうかも知れないが、例の本のせいでルルシェは死の恐怖を味わい、イグニスも寿命が縮むような思いをした。だから作者に対しては印象が良くない。よくも余計なことをしてくれたな、と思わないでもない――が。
「分かった。あんたには協力してもらってるし、そのケイトリン先生は俺が探しておこう。面会は王宮内でもいいだろ?」
「無論じゃ。ああ、楽しみだのう……。ついでに知り合いの令嬢を呼んでもいいじゃろ?」
「あ、ああ。少人数なら……」
イグニスは例の本の内容を思い出していた。あれは男性同士の愛を描いた恋愛小説だったはずだ。なのにブロンテの令嬢だけでなく、リョーシィまで虜になっているのはどういう事なのか。こいつら意外な趣味してんだな、と新鮮かつ微妙な気持ちである。
面会の日にちを考えながら花園をうろつき、テーブルまで戻った。ルルシェは温度の無い声で「おかえりなさませ」と言ったが、イグニスと目が合うと一瞬だけ悲しそうな顔をした。ほんの一瞬、通りすぎるような表情の変化。イグニスは目を見張り、まさかと考える。
まさか本当に、リョーシィが言うような効果があったのか。
自分はルルシェにとって、単なる“主君”では無くなっているのか?
リョーシィがルルシェと侍女を引き連れて、花びらが舞い散る花園を出て行く。
イグニスはテーブルの横に立ち、紫銀の髪が揺れる背中を見ていた。
12
お気に入りに追加
2,244
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
【完結】王宮の飯炊き女ですが、強面の皇帝が私をオカズにしてるって本当ですか?
おのまとぺ
恋愛
オリヴィアはエーデルフィア帝国の王宮で料理人として勤務している。ある日、皇帝ネロが食堂に忘れていた指輪を部屋まで届けた際、オリヴィアは自分の名前を呼びながら自身を慰めるネロの姿を目にしてしまう。
オリヴィアに目撃されたことに気付いたネロは、彼のプライベートな時間を手伝ってほしいと申し出てきて…
◇飯炊き女が皇帝の夜をサポートする話
◇皇帝はちょっと(かなり)特殊な性癖を持ちます
◇IQを落として読むこと推奨
◇表紙はAI出力。他サイトにも掲載しています
つがいの皇帝に溺愛される幼い皇女の至福
ゆきむら さり
恋愛
稚拙な私の作品をHOTランキング(7/1)に入れて頂き、ありがとうございます✨読んで下さる皆様のおかげです🧡
〔あらすじ〕📝強大な魔帝国を治める時の皇帝オーブリー。壮年期を迎えても皇后を迎えない彼には、幼少期より憧れを抱く美しい人がいる。その美しい人の産んだ幼な姫が、自身のつがいだと本能的に悟る皇帝オーブリーは、外の世界に憧れを抱くその幼な姫の皇女ベハティを魔帝国へと招待することに……。
完結した【堕ちた御子姫は帝国に囚われる】のスピンオフ。前作の登場人物達の子供達のお話。加えて、前作の登場人物達のその後も書かれておりますので、気になる方は、是非ご一読下さい🤗
ゆるふわで甘いお話し。溺愛。ハピエン🩷
※設定などは独自の世界観でご都合主義となります。
◇稚拙な私の作品📝にお付き合い頂き、本当にありがとうございます🧡
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
伯爵は年下の妻に振り回される 記憶喪失の奥様は今日も元気に旦那様の心を抉る
新高
恋愛
※第15回恋愛小説大賞で奨励賞をいただきました!ありがとうございます!
※※2023/10/16書籍化しますーー!!!!!応援してくださったみなさま、ありがとうございます!!
契約結婚三年目の若き伯爵夫人であるフェリシアはある日記憶喪失となってしまう。失った記憶はちょうどこの三年分。記憶は失ったものの、性格は逆に明るく快活ーーぶっちゃけ大雑把になり、軽率に契約結婚相手の伯爵の心を抉りつつ、流石に申し訳ないとお詫びの品を探し出せばそれがとんだ騒ぎとなり、結果的に契約が取れて仲睦まじい夫婦となるまでの、そんな二人のドタバタ劇。
※本編完結しました。コネタを随時更新していきます。
※R要素の話には「※」マークを付けています。
※勢いとテンション高めのコメディーなのでふわっとした感じで読んでいただけたら嬉しいです。
※他サイト様でも公開しています
媚薬を飲まされたので、好きな人の部屋に行きました。
入海月子
恋愛
女騎士エリカは同僚のダンケルトのことが好きなのに素直になれない。あるとき、媚薬を飲まされて襲われそうになったエリカは返り討ちにして、ダンケルトの部屋に逃げ込んだ。二人は──。
国王陛下は悪役令嬢の子宮で溺れる
一ノ瀬 彩音
恋愛
「俺様」なイケメン国王陛下。彼は自分の婚約者である悪役令嬢・エリザベッタを愛していた。
そんな時、謎の男から『エリザベッタを妊娠させる薬』を受け取る。
それを使って彼女を孕ませる事に成功したのだが──まさかの展開!?
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました
扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!?
*こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。
――
ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。
そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。
その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。
結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。
が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。
彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。
しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。
どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。
そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。
――もしかして、これは嫌がらせ?
メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。
「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」
どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……?
*WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる