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で、当然それが引き金になるから、流されるようにヤってしまったけど。
しかも鹿倉が求めるから、とにかく息吐く間もなく、というまさに“抱き潰す”勢いで。
でも。
鹿倉が疲れ果てて寝息をたて始めて、その体をやわやわと抱きながら、思う。
いや、考えるべきことは二点、ある。
堀さんと、寝た、という事実。これがリアルにただ眠っただけというヤツならまだ、いい。
でも、あの堀さんが……いや、あの堀さんだしな。
無類の女好きと言われる堀さんが、男である鹿倉を抱くか?
抱かないだろう。
……否、そうとは言い切れない。
だって。
自分だってそうだから。
まさか、自分が女じゃない鹿倉を抱くことになるなんて、思いもよらなかった。
それなのにこの腕の中に眠る悪魔のような天使は、こんな女好きな自分を虜にしてしまったわけで。
じゃあ、堀さんだって。
ダメだ。想像できるだけに、怖すぎる。
こんなこと、考えていたら堀さんのことがまともに見れなくなる。
だからやめよう。うん。
そしてもう一点。
あの、焦点の合わない目でぶつぶつと呪文のように何かを言っていた鹿倉は、あれは何だったんだ?
姉の旦那を寝取ろうとした、って?
まさかそんな、かぐちゃんがそんなこと、するわけない。
でも。
鹿倉のあの、魔力のような色気で迫られたら?
妻帯者とて、抗えなくなる可能性は、無きにしも非ず。
いやでも、鹿倉はこの間“ちょっと実家帰ってくる”なんて、けろっと帰省してお土産まで買って帰ってくれて。
そんな実姉とトラブルがあるような雰囲気ではなかったし。
もうわからん。
何がなんだか、さっぱりわからん。
堀さんの件も、呪文の件も、鹿倉にゆっくり話を訊きたいのに。
あーでも。
この小悪魔が、自分に都合の悪い話をまともにするわけがないし。
くふくふ笑って、綺麗に嘘ついて、そんで色気を振りまいてえっちに逃げるんだ。
もう、間違いない。
律は腕の中に眠る、愛しい悪魔を見つめた。
そうされるのが当たり前な形で、腕の中に収まる。
白い肩を撫でると、安心したように口角が上がって。
頬にキス。瞼にキス。鼻にキス。唇にキス。
あー、もう。
だめだ。可愛いしかない。
しょーがない、惚れた弱みだ。
この悪魔に、付き合ってやる。
もういいよ。どこで何やってんのか、もー知らん。
とにかくこの腕の中で眠る時だけは、間違いなく俺のモンだ。
誰にも渡さん! 悪魔だろうが、悪霊だろうが、かかってこい。
絶対に指一本触れさせない。
これは、俺のモノだ!
少なくとも、俺の前でだけは俺のモノだ。
ぎゅっと抱きしめて。
いろんな疑問を押しやって、律はやっと眠りについた。
しかも鹿倉が求めるから、とにかく息吐く間もなく、というまさに“抱き潰す”勢いで。
でも。
鹿倉が疲れ果てて寝息をたて始めて、その体をやわやわと抱きながら、思う。
いや、考えるべきことは二点、ある。
堀さんと、寝た、という事実。これがリアルにただ眠っただけというヤツならまだ、いい。
でも、あの堀さんが……いや、あの堀さんだしな。
無類の女好きと言われる堀さんが、男である鹿倉を抱くか?
抱かないだろう。
……否、そうとは言い切れない。
だって。
自分だってそうだから。
まさか、自分が女じゃない鹿倉を抱くことになるなんて、思いもよらなかった。
それなのにこの腕の中に眠る悪魔のような天使は、こんな女好きな自分を虜にしてしまったわけで。
じゃあ、堀さんだって。
ダメだ。想像できるだけに、怖すぎる。
こんなこと、考えていたら堀さんのことがまともに見れなくなる。
だからやめよう。うん。
そしてもう一点。
あの、焦点の合わない目でぶつぶつと呪文のように何かを言っていた鹿倉は、あれは何だったんだ?
姉の旦那を寝取ろうとした、って?
まさかそんな、かぐちゃんがそんなこと、するわけない。
でも。
鹿倉のあの、魔力のような色気で迫られたら?
妻帯者とて、抗えなくなる可能性は、無きにしも非ず。
いやでも、鹿倉はこの間“ちょっと実家帰ってくる”なんて、けろっと帰省してお土産まで買って帰ってくれて。
そんな実姉とトラブルがあるような雰囲気ではなかったし。
もうわからん。
何がなんだか、さっぱりわからん。
堀さんの件も、呪文の件も、鹿倉にゆっくり話を訊きたいのに。
あーでも。
この小悪魔が、自分に都合の悪い話をまともにするわけがないし。
くふくふ笑って、綺麗に嘘ついて、そんで色気を振りまいてえっちに逃げるんだ。
もう、間違いない。
律は腕の中に眠る、愛しい悪魔を見つめた。
そうされるのが当たり前な形で、腕の中に収まる。
白い肩を撫でると、安心したように口角が上がって。
頬にキス。瞼にキス。鼻にキス。唇にキス。
あー、もう。
だめだ。可愛いしかない。
しょーがない、惚れた弱みだ。
この悪魔に、付き合ってやる。
もういいよ。どこで何やってんのか、もー知らん。
とにかくこの腕の中で眠る時だけは、間違いなく俺のモンだ。
誰にも渡さん! 悪魔だろうが、悪霊だろうが、かかってこい。
絶対に指一本触れさせない。
これは、俺のモノだ!
少なくとも、俺の前でだけは俺のモノだ。
ぎゅっと抱きしめて。
いろんな疑問を押しやって、律はやっと眠りについた。
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