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【6】Imperial topaz(caramel stone)
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「こーやって、さ。俺だってしょーさんのこと、抱きたいって思うよ? そーゆー男心擽ってるって自覚、しょーさん、ないでしょ?」
目を丸くして、下から成親を見上げる。
「彬には後で鉄拳くらわすから、いいとして。とりあえず、俺としてはしょーさんの浮気に対して制裁、与えたいと思う」
「……せい、さい?」
漢字が繋がらなくて……制裁――つまり、罰を与えたいって、こと?
翔がぼんやりとその意味を把握した瞬間、成親のキスが降って来た。
「も。俺以外と、セックスすんなよな」
唇を離すと、雄、な声で言う。
「んで、俺に、挿れさせろよ」
更にとんでもないことを言い出すから、慌てて起き上がった。
「なる!」
「いいじゃん! 挿れられんの、怖いけど、俺だってしょーさんに挿れたい!」
「……可愛い顔して、ゆーなよ、そゆこと」
「なんで? 俺だって男だし」
口を尖らせて言うその表情がまた、可愛くて。
「とりあえず、その件は置いとこう。今は、どっちにしろそんな状況じゃ、ねーし」
「逃げんなよ。浮気したくせに」
「だから、浮気じゃねーってば」
「浮気じゃなきゃ、なんだっつーんだよ。俺じゃない男と寝たんだから、浮気以外の何物でもないっつの」
「それに関しては、謝る。でも不可抗力だって、俺は思ってるし、気持ち入ってないえっちだから、できたらノーカンにして欲しい」
「ずるい」
「だから、ごめんって。でも、言わせてもらえるなら、なる以外は抱いてないっつーか」
「はあ? そーゆー問題?」
「……ごめんなさい」
むーと口をひん曲げて睨む成親に、頭を下げる。
考えて考えて、いっぱい考えて取った行動だったけれど、最終的に成親を傷つけたことには変わりないから。
謝るしかできない。
けれど、謝るからどうか、赦して欲しい。
「しょーさん」
名前を呼ばれて、顔を上げると。
涙を浮かべた成親がいた。
「俺……でも、しょーさんが、好きなんだ。浮気されたけどでも、俺、しょーさんのこと嫌いになれなかった。ずっとずっと、逢えなかったのが辛かった。も、皇のこと好きでもいいから、逢いたいって想った。このまま逢えないの、やだって」
「なる……」
「俺の、傍にいてよ」
言って、零れ落ちた涙が頬を伝うのを見て、翔は成親を抱きしめた。
「ごめん、なる。一人にしたこと、謝るよ。なるが泣いてたって、まあから聞いた。それ聞いて、それでもまだなるに逢いに来る勇気が出なくて……ごめん、俺が悪かった」
Tシャツが涙で濡れる感覚がわかるくらい、ぎゅっと抱きしめて。その小さな頭を撫でる。
「全部、俺がばかだっただけだって、わかるよ。でも、赦して欲しい。俺は、なるを護りたかったってことだけは、ほんとだから」
ずっとずっと、この温もりから遠ざかっていたことが自分でも信じられない。
こんなに大事な存在なのに、愚かな自分のせいで泣かせてしまったことが、自分でも自分が赦せない。
「なる。好きだよ。ほんと、大好き」
「じゃあ、今度えっちする時は、俺に挿れさせろよな」
涙に濡れた顔を上げて、成親が言うから。
「それは……考えとく」
答えて、二人で笑った。
目を丸くして、下から成親を見上げる。
「彬には後で鉄拳くらわすから、いいとして。とりあえず、俺としてはしょーさんの浮気に対して制裁、与えたいと思う」
「……せい、さい?」
漢字が繋がらなくて……制裁――つまり、罰を与えたいって、こと?
翔がぼんやりとその意味を把握した瞬間、成親のキスが降って来た。
「も。俺以外と、セックスすんなよな」
唇を離すと、雄、な声で言う。
「んで、俺に、挿れさせろよ」
更にとんでもないことを言い出すから、慌てて起き上がった。
「なる!」
「いいじゃん! 挿れられんの、怖いけど、俺だってしょーさんに挿れたい!」
「……可愛い顔して、ゆーなよ、そゆこと」
「なんで? 俺だって男だし」
口を尖らせて言うその表情がまた、可愛くて。
「とりあえず、その件は置いとこう。今は、どっちにしろそんな状況じゃ、ねーし」
「逃げんなよ。浮気したくせに」
「だから、浮気じゃねーってば」
「浮気じゃなきゃ、なんだっつーんだよ。俺じゃない男と寝たんだから、浮気以外の何物でもないっつの」
「それに関しては、謝る。でも不可抗力だって、俺は思ってるし、気持ち入ってないえっちだから、できたらノーカンにして欲しい」
「ずるい」
「だから、ごめんって。でも、言わせてもらえるなら、なる以外は抱いてないっつーか」
「はあ? そーゆー問題?」
「……ごめんなさい」
むーと口をひん曲げて睨む成親に、頭を下げる。
考えて考えて、いっぱい考えて取った行動だったけれど、最終的に成親を傷つけたことには変わりないから。
謝るしかできない。
けれど、謝るからどうか、赦して欲しい。
「しょーさん」
名前を呼ばれて、顔を上げると。
涙を浮かべた成親がいた。
「俺……でも、しょーさんが、好きなんだ。浮気されたけどでも、俺、しょーさんのこと嫌いになれなかった。ずっとずっと、逢えなかったのが辛かった。も、皇のこと好きでもいいから、逢いたいって想った。このまま逢えないの、やだって」
「なる……」
「俺の、傍にいてよ」
言って、零れ落ちた涙が頬を伝うのを見て、翔は成親を抱きしめた。
「ごめん、なる。一人にしたこと、謝るよ。なるが泣いてたって、まあから聞いた。それ聞いて、それでもまだなるに逢いに来る勇気が出なくて……ごめん、俺が悪かった」
Tシャツが涙で濡れる感覚がわかるくらい、ぎゅっと抱きしめて。その小さな頭を撫でる。
「全部、俺がばかだっただけだって、わかるよ。でも、赦して欲しい。俺は、なるを護りたかったってことだけは、ほんとだから」
ずっとずっと、この温もりから遠ざかっていたことが自分でも信じられない。
こんなに大事な存在なのに、愚かな自分のせいで泣かせてしまったことが、自分でも自分が赦せない。
「なる。好きだよ。ほんと、大好き」
「じゃあ、今度えっちする時は、俺に挿れさせろよな」
涙に濡れた顔を上げて、成親が言うから。
「それは……考えとく」
答えて、二人で笑った。
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