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【6】Imperial topaz(caramel stone)
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その頃。
成親は彬と一緒にお風呂に入っていた。
……正確には、スーパー銭湯に、いた。
「なる……俺、おまえがイマイチ理解できない」
デカい風呂に浸かって気持ちよさそうに伸びている成親の横で、彬は頭を抱えた。
「彬、銭湯って好きじゃなかった?」
「……別に、好きでも嫌いでもないけど」
そういう意味では、ない。
「俺、ココ好きなんだよねー。よく家族で来るんだけどさ。今日、とーちゃんもかーちゃんも仕事仲間と飲み会だってゆーし、俺のメシはっつったらココのゴハン付き優待券くれたの。だから風呂上りにメシ食って帰ろーぜ。俺、今日金持ちだから奢っちゃるし」
メシ代も貰ってるし、と笑って言ってくれたが、さすがにそれは断る。
夕方、補講中に成親から誘いのラインが入り、夜に会えるなんてラッキーとばかりにOKの返事をした彬だったのだが、まさかの場所に眩暈を起こしそうになった。
優待券があるから、と入口で二人分とっとと支払って入館し、脱衣所では男らしくスパーンと裸になると一応タオルで前だけ隠してはいたが、茫然としている彬を先導して入浴する成親に、従うよりほかなくて。
結果、こうして白いお湯に二人で浸かっているのである。
「友達誘おうにもまだ部活やってっし、じゃあ一人で来るかなーとも思ったんだけど。彬なら、誘ったら来るかなって思ったら来てくれたから、ちょっと嬉しい」
茹ってピンク色に染まっている白い肌を晒している成親が、可愛く笑う。
という、誘っているとしか思えない態度なのに、状況は知らないじじいに囲まれたお湯の中だから、何をどーすんだという、色気も何もない状況だから。
さすがにこの状況で反応出来る程飢えているわけではないから、彬もおとなしくお湯の中で伸びをする。
「俺んち、夏は基本的にシャワーで済ませるから、たまにこーやってお風呂入んの、すげー楽しーんだよねー」
「それ、わかる。俺も夏場はシャワーだけだよ、いつも」
「なるちゃん……姉がいた頃はちゃんとお風呂、お湯張ってたんだけど。いなくなってからは、シャワーばっか」
「なるも、お姉ちゃん、いるんだ?」
「も、ってことは彬も?」
「ん。皇と同い年の。今はアメリカに留学してるから、いないけど」
「うちも、なるちゃんは遠くの大学行ったから、一人暮らししてる。ゴールデンウイークはカレシと過ごすからってこっち帰って来なかったし、お盆には一日だけ帰って来たけど、またすぐ戻っちゃうし」
つまんない、と言って口を尖らせた。
成親は彬と一緒にお風呂に入っていた。
……正確には、スーパー銭湯に、いた。
「なる……俺、おまえがイマイチ理解できない」
デカい風呂に浸かって気持ちよさそうに伸びている成親の横で、彬は頭を抱えた。
「彬、銭湯って好きじゃなかった?」
「……別に、好きでも嫌いでもないけど」
そういう意味では、ない。
「俺、ココ好きなんだよねー。よく家族で来るんだけどさ。今日、とーちゃんもかーちゃんも仕事仲間と飲み会だってゆーし、俺のメシはっつったらココのゴハン付き優待券くれたの。だから風呂上りにメシ食って帰ろーぜ。俺、今日金持ちだから奢っちゃるし」
メシ代も貰ってるし、と笑って言ってくれたが、さすがにそれは断る。
夕方、補講中に成親から誘いのラインが入り、夜に会えるなんてラッキーとばかりにOKの返事をした彬だったのだが、まさかの場所に眩暈を起こしそうになった。
優待券があるから、と入口で二人分とっとと支払って入館し、脱衣所では男らしくスパーンと裸になると一応タオルで前だけ隠してはいたが、茫然としている彬を先導して入浴する成親に、従うよりほかなくて。
結果、こうして白いお湯に二人で浸かっているのである。
「友達誘おうにもまだ部活やってっし、じゃあ一人で来るかなーとも思ったんだけど。彬なら、誘ったら来るかなって思ったら来てくれたから、ちょっと嬉しい」
茹ってピンク色に染まっている白い肌を晒している成親が、可愛く笑う。
という、誘っているとしか思えない態度なのに、状況は知らないじじいに囲まれたお湯の中だから、何をどーすんだという、色気も何もない状況だから。
さすがにこの状況で反応出来る程飢えているわけではないから、彬もおとなしくお湯の中で伸びをする。
「俺んち、夏は基本的にシャワーで済ませるから、たまにこーやってお風呂入んの、すげー楽しーんだよねー」
「それ、わかる。俺も夏場はシャワーだけだよ、いつも」
「なるちゃん……姉がいた頃はちゃんとお風呂、お湯張ってたんだけど。いなくなってからは、シャワーばっか」
「なるも、お姉ちゃん、いるんだ?」
「も、ってことは彬も?」
「ん。皇と同い年の。今はアメリカに留学してるから、いないけど」
「うちも、なるちゃんは遠くの大学行ったから、一人暮らししてる。ゴールデンウイークはカレシと過ごすからってこっち帰って来なかったし、お盆には一日だけ帰って来たけど、またすぐ戻っちゃうし」
つまんない、と言って口を尖らせた。
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