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【2】Malachite
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後ろから抱きしめられた。けど。
「しょーさん、ジャマ」
冷たい声で、成親は言った。
そりゃそうだ、今は勉強中。
とりあえず、いつもの週末カテキョタイム。
成親には課題が与えられ、その間に翔は自分の問題集に目を通す。
いつもならそんな冷静な時間だけど。
苦手な国語の文章問題を、机の上で呻りながら読解している姿が。
なんだかやたらと可愛くて。
ベッドに座っていた翔は、問題集を置いてその肩を抱きしめたのだ。
「なるー。できた?」
「まだ三分しか読んでねーじゃん。んな一瞬でできたら俺、しょーさんに勉強教えてる!」
「だって、背中が誘ってんだもん」
「誘ってねーし。俺、ベンキョちゃんとしてっし」
「さっさと解いて、えっちしよ」
「できるかっつの」
ぐいぐいと翔を押しのけて、問題と対峙する。
そんな成親の、首筋をぺろりと一舐めして。
「ひゃあ」
「じゃあ触らせて」
首元からTシャツに手を突っ込んで、乳首に触る。
「しょおさん! も、今日おかしくない? どしたん?」
シャーペンを置いて、翔の手を引っこ抜いて正面から目を見た。
「勉強大事っていつも言ってんの、しょーさんでしょ? 邪魔すんの、おかしくない?」
「……なんか、したくなった」
「したくても、できないでしょ? そゆことできる状況じゃないよね?」
「…………」
「しかも、もーちょっとしたら中間テストだよ? 定期テストは、トップ集団にちゃんと入れつったの、しょーさんだよね?」
こんこんと、翔に説教する。
なんて、こんな状況今までにはなかったから。
いつもの冷静さを完全に失っている翔に、成親はため息を吐いた。
「何かあった? しょーさんいろいろ大変なの、わかってるし、俺じゃ何もできないのもわかってるけど、話聞くくらいはできるよ?」
らしくない、なんて思いながら言う。
首を傾げて翔を見つめると。
「なるが、俺のだって確認したい」
翔がわけのわからないことを、言ってきた。
「…………俺が浮気してる、とでも言いたいわけ?」
「違う」
「じゃあ、俺がしょーさんのって、もうずっとわかってると思うけど?」
「…………」
目は合っているのに、翔の目はどこか遠くを見ているようで。
「今解いてる問題よか、しょーさんの言葉のが全然ムズイよ?」
「俺のは、単純だよ」
「しょーさん?」
「なるが好きってだけ」
一言だけ言って、成親をまた抱きしめた。
何とも言えない不安が伝わって来たから、成親の方から、
「えっちはできないけど、ちゅうは、できるよ?」
と言って、目を閉じた。
キスをした。
でも、触れるだけ。
いつもみたいに、深いキスがくると思っていたのに、翔はそっと触れるだけで離れた。
そして、
「ごめん、なる。ちょい、頭冷やしてくる。課題、わかんないトコあったら後で教えるから」
翔はそう言い捨てて成親の部屋を出て行った。
残された成親は、むーっと膨れる。
「何あれ? はあ? どゆこと?」
本気で意味がわからない。
もう課題なんてどうでもいい。
いつだって、こっちの思ってること何だってわかってて、欲しい答えだって全部くれるのに。――あ、勉強は別だけど。
“俺のなる”
そう言って、いつもぎゅってしてくれて。
誰に対しても誠実な態度で、あちこちに気を配って目をやって、状況判断をテキパキやってのける完璧超人な翔のこと、中学の時からその存在だけは知っていた。
でもまさか、そんな人が自分を好きなんて言ってくれるとは思ってなかったから。
いっぱい甘えてたのに、それ全部まるっと受け止めてくれた翔のことが大好きで。
だから、あんなコトだってできたのに。
あんなコト、好きでもないヤツにさせるわけ、ないじゃん!
“しょーさんのもの”だからしたんじゃん!
なのに、何を不安になってるのか、わからない。
成親は立ち上がると、翔を追いかけて部屋を出た。
「しょーさん、ジャマ」
冷たい声で、成親は言った。
そりゃそうだ、今は勉強中。
とりあえず、いつもの週末カテキョタイム。
成親には課題が与えられ、その間に翔は自分の問題集に目を通す。
いつもならそんな冷静な時間だけど。
苦手な国語の文章問題を、机の上で呻りながら読解している姿が。
なんだかやたらと可愛くて。
ベッドに座っていた翔は、問題集を置いてその肩を抱きしめたのだ。
「なるー。できた?」
「まだ三分しか読んでねーじゃん。んな一瞬でできたら俺、しょーさんに勉強教えてる!」
「だって、背中が誘ってんだもん」
「誘ってねーし。俺、ベンキョちゃんとしてっし」
「さっさと解いて、えっちしよ」
「できるかっつの」
ぐいぐいと翔を押しのけて、問題と対峙する。
そんな成親の、首筋をぺろりと一舐めして。
「ひゃあ」
「じゃあ触らせて」
首元からTシャツに手を突っ込んで、乳首に触る。
「しょおさん! も、今日おかしくない? どしたん?」
シャーペンを置いて、翔の手を引っこ抜いて正面から目を見た。
「勉強大事っていつも言ってんの、しょーさんでしょ? 邪魔すんの、おかしくない?」
「……なんか、したくなった」
「したくても、できないでしょ? そゆことできる状況じゃないよね?」
「…………」
「しかも、もーちょっとしたら中間テストだよ? 定期テストは、トップ集団にちゃんと入れつったの、しょーさんだよね?」
こんこんと、翔に説教する。
なんて、こんな状況今までにはなかったから。
いつもの冷静さを完全に失っている翔に、成親はため息を吐いた。
「何かあった? しょーさんいろいろ大変なの、わかってるし、俺じゃ何もできないのもわかってるけど、話聞くくらいはできるよ?」
らしくない、なんて思いながら言う。
首を傾げて翔を見つめると。
「なるが、俺のだって確認したい」
翔がわけのわからないことを、言ってきた。
「…………俺が浮気してる、とでも言いたいわけ?」
「違う」
「じゃあ、俺がしょーさんのって、もうずっとわかってると思うけど?」
「…………」
目は合っているのに、翔の目はどこか遠くを見ているようで。
「今解いてる問題よか、しょーさんの言葉のが全然ムズイよ?」
「俺のは、単純だよ」
「しょーさん?」
「なるが好きってだけ」
一言だけ言って、成親をまた抱きしめた。
何とも言えない不安が伝わって来たから、成親の方から、
「えっちはできないけど、ちゅうは、できるよ?」
と言って、目を閉じた。
キスをした。
でも、触れるだけ。
いつもみたいに、深いキスがくると思っていたのに、翔はそっと触れるだけで離れた。
そして、
「ごめん、なる。ちょい、頭冷やしてくる。課題、わかんないトコあったら後で教えるから」
翔はそう言い捨てて成親の部屋を出て行った。
残された成親は、むーっと膨れる。
「何あれ? はあ? どゆこと?」
本気で意味がわからない。
もう課題なんてどうでもいい。
いつだって、こっちの思ってること何だってわかってて、欲しい答えだって全部くれるのに。――あ、勉強は別だけど。
“俺のなる”
そう言って、いつもぎゅってしてくれて。
誰に対しても誠実な態度で、あちこちに気を配って目をやって、状況判断をテキパキやってのける完璧超人な翔のこと、中学の時からその存在だけは知っていた。
でもまさか、そんな人が自分を好きなんて言ってくれるとは思ってなかったから。
いっぱい甘えてたのに、それ全部まるっと受け止めてくれた翔のことが大好きで。
だから、あんなコトだってできたのに。
あんなコト、好きでもないヤツにさせるわけ、ないじゃん!
“しょーさんのもの”だからしたんじゃん!
なのに、何を不安になってるのか、わからない。
成親は立ち上がると、翔を追いかけて部屋を出た。
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