コレは誰の姫ですか?

月那

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 キリエから自分と涼が“別れた”のだと聞かされたらしい響が、ラインで恵那に伝えてきたのは修旅より前。
 “なんで別れんねや? おまえが涼っちのこと好きなんは変わってへんやろ? なんで涼っち泣かしたんや?”
 と言われて。
 “別れてねーわ。涼は俺のだ”と答えた。
 埒が明かないと思った響が電話をかけてきたから、仕方なく少し話をした。
隠し通せるわけがなかったから。

 涼が好きなのはもう、自分ではないと。
 自分が涼の“カレシ”として傍にいることはできない。
 でも、だからと言って涼の隣で一番の友達でいるということは、他の誰かに譲れることじゃなくて。

 誰よりも、涼の傍にいたいから、涼が他の誰かのものになるまでは自分が一番傍にいるのだと。
 どんな形でもいいから、誰よりも傍にいたい自分のこの感情は、抑えられない。

「逃げんなや、恵那」
 ゲームに紛れて響が言う。
 少し体力を復活させる為に建物の影に隠れていると、響にそう突っ込まれた。

「うっせーばーか! おまえコロスのに、少し遊ばせてやってんだっつの」
「はあ? 俺がおまえコロス、ゆーてんねん」
「もお、二人共ゆってる内容怖すぎ! 一旦休憩してケーキ食べてよね」
 涼が言って、ダイニングテーブルにケーキとカフェオレを並べた。

「馬場さんが作ってくれたチョコレートケーキだよお。めっちゃ美味しいんだからねー。二人共、こっち来ないなら僕たち二人で食べちゃうよ?」
「あかん! 待って待って」
「それは俺のだ!」
「えなのでもあるけど、これはみんなの!」
「今年こそは俺も食べたい。去年は恵那に全部食われたからな」
 
 涼の隣に座る。
 でも涼の目は、向かい側にいる土岐だけを見ている。
 この状況を、でも恵那は笑っているしかないのだ。
 きっと慣れる。
 胸の痛みは今だけのもの。
 ちゃんと心から笑って二人を見守ることができるまで、どれくらいかかるかはわからないけれど。
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