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世間様がゴールデンウイークだという状況下においても、高校生の部活なんてのはそんなもの一切関係がなくて。
当たり前のように毎日学校に通っていたけれど、毎月恒例のノー部活デイが吹部とバスケ部が重なったのは明日から学校、という最終日だった。
ちなみに、バスケ部と吹部のノー部活デイは割と重なることが多い。いや、それにプラスバレー部と野球部も重なるのだが、基本的にスケジュール計画をいくつかのブロックで分けている為で、この四つの部活が同じブロックになっているのだ。
「きーちゃん、誕生日おめでとう」
と、涼が言ったのは焼き肉屋の個室。
肉食女子、なキリエが肉をご所望して、乗っからないなんて男じゃないから当たり前に焼肉食べ放題のお店を恵那が予約した。
学割がきくお店なので、学生のお財布にも優しい。ということで五人、ジュースで乾杯している。
「わーい、ありがとお。キリも、今日からはみんなとおんなじ十六歳だよお」
「ほんまや。俺も八月までは十六やし、涼っちなんかこないだ十六んなったばっかやん」
メンバーの中で一番誕生日が早いのがキリエだから。
学年こそ恵那たちが上だが、そう考えれば学校も違うから“年上”なんて感じは全くしない。
「恵那と土岐は双子やけど、涼っちとキリちゃんも殆ど双子やなあ」
響が笑う。
「それ、みんなに言われるんだよね。おかあさんときーちゃんママ、結婚も初出産もほぼほぼ同じだったから」
「生まれてからもいっつも一緒にいたもんねー」
とキリエが涼と指を絡ませる。
「あ、じゃあ小さい頃はしょっちゅう喧嘩してたとか?」恵那が突っ込むと、
「するわけないじゃん。えなたちじゃあるまいし」と涼がバッサリ。
「ママたち二人共お仕事してるし、一緒に馬場さんに育てて貰ってたから。なんか、涼ちゃんも殆ど女の子だったよね、扱いが」
キリエがくすくす笑って、小さい頃の写真を見せてくれる。どうやら母からデータを貰ったらしい。
ピンク色のお揃いの洋服を着ている――一応涼はズボンだけど――二人の幼児が手を繋いで天使の笑顔を見せているその写真を見て。
「おいおい、涼。おまえ、やっぱほんとは女子だろ?」
「怒るよ?」恵那を睨む。一番“オトコ”なトコを触ったくせに、と。
「そんなの見せなくていいよお。そんなことより、きーちゃん学校どんな感じ?」
「あのね、あのね。めっちゃ楽しいよ」
今度は入学式の写真と、友達らしき女の子数人と一緒にいる写真を見せてきた。
「あそっか、セーラー服か。白いセーラー服は、やっぱ最強だな」
M女の正装は、白セーラーに紺色の襟。そしてスカートは紺色のプリーツだけど裾のちょっと上辺りに白いラインが一周しているのがポイントだ。リボンは自分で結ぶタイプの細いものと、成型タイプの大きなものがあって、学年によって赤、緑、紺色になっているらしい。
恵那たちも何度か演奏会で会っているからその辺の情報は入っているけれど、いつ見ても可愛いと思う。基本的に顔面偏差値が高い学校だから、白セーラーイコール美少女、的な回路が出来上がっているのだ。
「キリちゃん、制服似おーとるなあ。お友達含めて、ぜひとも合コンしたいトコやわ」
「全然いいよお。キリの隣にいるのが星羅ちゃんで、その隣が櫻子ちゃん。一緒に吹部入ったの。みんな可愛いし、イイコなんだよ」
はい、可愛いのはわかります。と恵那と響で頷く。
既に響は“M女と合コン”という夢のワードに浸っている。
「あ、じゃあ部活、ゴールデンウイーク中もずっとあった? 俺らも、まあ毎日ガッコ行ってたけどさ」
「うん、やってたよ。ウチはみんな中学の経験者ばっかだから、先輩たちと混じって一緒に練習してるよ」
M女の吹部はどうやら初心者は受け付けていないらしく、実に強豪校らしい方針で既に強化路線まっしぐらの様子である。
「恵那がさ、冬休みに練習に混ぜてくれたでしょ? あれ、すっごい良かったと思ってんのね。なんか、あれがあるから、今当たり前に合奏に入ってても怖くないって感じ、するの」
キリエが恵那にありがとう、なんて言って。
ただただふざけて遊んでいただけの恵那としては、真正面からお礼なんて言われて戸惑ってしまう。
世間様がゴールデンウイークだという状況下においても、高校生の部活なんてのはそんなもの一切関係がなくて。
当たり前のように毎日学校に通っていたけれど、毎月恒例のノー部活デイが吹部とバスケ部が重なったのは明日から学校、という最終日だった。
ちなみに、バスケ部と吹部のノー部活デイは割と重なることが多い。いや、それにプラスバレー部と野球部も重なるのだが、基本的にスケジュール計画をいくつかのブロックで分けている為で、この四つの部活が同じブロックになっているのだ。
「きーちゃん、誕生日おめでとう」
と、涼が言ったのは焼き肉屋の個室。
肉食女子、なキリエが肉をご所望して、乗っからないなんて男じゃないから当たり前に焼肉食べ放題のお店を恵那が予約した。
学割がきくお店なので、学生のお財布にも優しい。ということで五人、ジュースで乾杯している。
「わーい、ありがとお。キリも、今日からはみんなとおんなじ十六歳だよお」
「ほんまや。俺も八月までは十六やし、涼っちなんかこないだ十六んなったばっかやん」
メンバーの中で一番誕生日が早いのがキリエだから。
学年こそ恵那たちが上だが、そう考えれば学校も違うから“年上”なんて感じは全くしない。
「恵那と土岐は双子やけど、涼っちとキリちゃんも殆ど双子やなあ」
響が笑う。
「それ、みんなに言われるんだよね。おかあさんときーちゃんママ、結婚も初出産もほぼほぼ同じだったから」
「生まれてからもいっつも一緒にいたもんねー」
とキリエが涼と指を絡ませる。
「あ、じゃあ小さい頃はしょっちゅう喧嘩してたとか?」恵那が突っ込むと、
「するわけないじゃん。えなたちじゃあるまいし」と涼がバッサリ。
「ママたち二人共お仕事してるし、一緒に馬場さんに育てて貰ってたから。なんか、涼ちゃんも殆ど女の子だったよね、扱いが」
キリエがくすくす笑って、小さい頃の写真を見せてくれる。どうやら母からデータを貰ったらしい。
ピンク色のお揃いの洋服を着ている――一応涼はズボンだけど――二人の幼児が手を繋いで天使の笑顔を見せているその写真を見て。
「おいおい、涼。おまえ、やっぱほんとは女子だろ?」
「怒るよ?」恵那を睨む。一番“オトコ”なトコを触ったくせに、と。
「そんなの見せなくていいよお。そんなことより、きーちゃん学校どんな感じ?」
「あのね、あのね。めっちゃ楽しいよ」
今度は入学式の写真と、友達らしき女の子数人と一緒にいる写真を見せてきた。
「あそっか、セーラー服か。白いセーラー服は、やっぱ最強だな」
M女の正装は、白セーラーに紺色の襟。そしてスカートは紺色のプリーツだけど裾のちょっと上辺りに白いラインが一周しているのがポイントだ。リボンは自分で結ぶタイプの細いものと、成型タイプの大きなものがあって、学年によって赤、緑、紺色になっているらしい。
恵那たちも何度か演奏会で会っているからその辺の情報は入っているけれど、いつ見ても可愛いと思う。基本的に顔面偏差値が高い学校だから、白セーラーイコール美少女、的な回路が出来上がっているのだ。
「キリちゃん、制服似おーとるなあ。お友達含めて、ぜひとも合コンしたいトコやわ」
「全然いいよお。キリの隣にいるのが星羅ちゃんで、その隣が櫻子ちゃん。一緒に吹部入ったの。みんな可愛いし、イイコなんだよ」
はい、可愛いのはわかります。と恵那と響で頷く。
既に響は“M女と合コン”という夢のワードに浸っている。
「あ、じゃあ部活、ゴールデンウイーク中もずっとあった? 俺らも、まあ毎日ガッコ行ってたけどさ」
「うん、やってたよ。ウチはみんな中学の経験者ばっかだから、先輩たちと混じって一緒に練習してるよ」
M女の吹部はどうやら初心者は受け付けていないらしく、実に強豪校らしい方針で既に強化路線まっしぐらの様子である。
「恵那がさ、冬休みに練習に混ぜてくれたでしょ? あれ、すっごい良かったと思ってんのね。なんか、あれがあるから、今当たり前に合奏に入ってても怖くないって感じ、するの」
キリエが恵那にありがとう、なんて言って。
ただただふざけて遊んでいただけの恵那としては、真正面からお礼なんて言われて戸惑ってしまう。
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