コレは誰の姫ですか?

月那

文字の大きさ
上 下
73 / 231
<2>

-7-

しおりを挟む
7

「だからさー、涼。なんでおまえはそう、無防備にすこーんと寝るわけ?」
 RPGのマップを眺めていると、ふと肩に重みを感じて。隣を見ると、涼がすやすやと眠っていた。

 リビングのソファで、もう当たり前のように二人きりでゲームをしていたわけだが。
 夕食を終え、今日は母も友達と飲んでくると言って出かけているし、父が帰宅していないのはもう当然なんだけれど、土岐だって今日も部活で遅くなるらしいから。
 つまりは、この家で今、二人きりなのだ。

「おーい、涼ちゃーん。おまえ、この状況わかってる?」
 コントローラを置き、セーブしてゲームを終わらせる。
 そっと頭をクッションの上に乗せると、恵那は立ち上がって腕を組んだ。
 幸せそうに寝息を立てているこの眠り姫。完全なる“据え膳”状態である。

「俺、コレ食っていいのかな?」
 自問。
 好きって言われて好きって答えて。世に言う“恋人同士”な関係になった今、涼だってその覚悟はあるハズ。
 でも。

「このピュアピュアプリンセス、絶対、そういうイミじゃない、って泣きわめくよなー、多分」
 裸にひん剥いて、いろんなトコ触りまくって、柔らかそうなトコ舐めまくって当然最後までヤっちまう、なんて。
 相手が男でも、多分涼ならできると思う。
 いや、女の子相手でもヤったことはないから全然わからないけれど。
 こっちはお年頃なワケだから、そりゃーこの魅力的な体を前にすればいくらでもどうとでもなるけれど、肝心なこのお姫様は、きっとおとぎ話みたいな健全な交際ってのしか頭にはないだろう。

「ここで、コレベッドに連れてって、コトに及んだとして。絶対途中で目が覚めた瞬間、タコ殴りしてきそうだよなー」
 キスは、全然大丈夫。何度もしてるし、割とイイ感じで受け入れてくれている。
 んで、裸。これも、まあちょいちょい一緒に風呂に入っているし、凝視しているわけじゃないけれど、特に問題はない、と思う。
 けれど。
 アレやコレ、アんなトコやソんなトコ。
 触っていいのかな?
 つか、俺、触りたいのかな?

 今この瞬間隠れている部分をちょっと想像。
 白いくて柔らかそうな太腿。うん、触りたい。
 するする素肌の背中。……いいねえ。
 ピンク色の乳首。……あ、……ヤバいかも。
 多分、誰も触ったことのないやわやわなお尻。と、アレ。

「あ。ヤバ。俺、これ普通に勃つわ」
 びく、と反応を示した自分の下半身に、少し照れてしまう。
 思った以上に素直な反応をする健全な肉体に、とりあえず一度深呼吸して自制をかけた。

 嫌がることは、したくない。これはもう、当たり前の大前提。
 でも……こちとらこの健全な肉体を持つ十代男子である。
 好きなコ、抱きたいって思うのって悪いことか?

 ということで。
「いいかな、ちょっとくらい」
 自答。
 部屋行って、脱がせてみよっと。

 いつものようにお姫様抱っこして。
「んん……」涼がもう無意識に絡みついてくる。

「涼。部屋、行くよ?」
 問うと、ふにゃと微笑んだ。

 おしおし、可愛い可愛い。
 階段上って部屋に入って、ベッドにそっと涼を下ろして。
 上から跨ぐように覆い被さると、
「イタダキマス」
 両の掌を合わせて呟き、ちゅ、とキスをした。

 おお、この感覚。
 何回やっても慣れない。何回やっても、美味しい。
 制服のままだったから、ちょっと手始めに首元のボタンを外して寛げた。
 白い首筋が露わになる。
「うんうん、いいねえ」
 ふっと涼の体臭が来る。そのせっけんのような優しい香りがまた、恵那の下半身を擽る。
 引き寄せられるように口付けて。跡を付けるわけにはいかないから、軽く吸い付いてそれを味わう。

 唇でその感触を愉しんでいるうちに夢中になって、鎖骨の辺りを舐めていると。

「……えな?」
 ぱちん、と大きな目を開いた涼に名前を呼ばれて、びく、と体を離した。

「なに、してんの?」
 ぽやん、とした声で問われ。
 ヤバいと思って。そっと涼の襟元を、閉じる。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

大学生はバックヤードで

リリーブルー
BL
大学生がクラブのバックヤードにつれこまれ初体験にあえぐ。

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

上司と俺のSM関係

雫@更新不定期です
BL
タイトルの通りです。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

柔道部

むちむちボディ
BL
とある高校の柔道部で起こる秘め事について書いてみます。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

冴えないおじさんが雌になっちゃうお話。

丸井まー(旧:まー)
BL
馴染みの居酒屋で冴えないおじさんが雌オチしちゃうお話。 イケメン青年×オッサン。 リクエストをくださった棗様に捧げます! 【リクエスト】冴えないおじさんリーマンの雌オチ。 楽しいリクエストをありがとうございました! ※ムーンライトノベルズさんでも公開しております。

処理中です...