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二日目の鬼練習な一日を過ごし、翌朝三日目。
五時半の起床時間にたたき起こされた部員は全員、身支度を整えて昨日の朝と同じように神社へとランニングで向かうことになる。
涼は「もうやだ……でも最後だし」と、走るのがイヤだという本音を持ち前の真面目さでなんとか気合を入れてセンターを出た。
「佐竹、ゆっくり行こ。俺も、一緒に走るし」
昨日の朝と同じように、身支度を整えた涼を待っていてくれたのは優しい三宅で。
既に恵那はサックスメンバーと一緒に駆け出して行ったらしく、影も見当たらない。
「ごめんー。いつもいつも、僕なんかに付き合ってくれて、ありがとうねー」
三宅と、半分歩いているような速度でとりあえず神社へと向かう。
走りながら、「今日もいい天気だね」とか、「朝ごはん、和食かなあ」とか。
とりとめのない話をしながら三宅と二人で山の空気を楽しむ。
朝早いから、真夏だけれども空気は少しひんやりしていて風が心地いい。
今日もしっかり部屋に籠って演奏の練習をするわけだから、こうして外気に触れて過ごす時間もいいもので。
ランニングなんて練習メニューにイヤイヤゆっていた自分を少し反省する。
と。
「遅い。ほら、早く来な」
神社に着くと階段の下で恵那が待っていて。
涼たちを見つけた瞬間、組んでいた腕を解き、手をあげた。
「あれ? 徹先輩たちと先行ったんじゃなかったの?」
「最終日だし。せっかくだから、一緒に拝もうと思ったから」
恵那がふわ、と笑って言った。
「あ……じゃ、俺、先上がるよ」三宅が気を遣うような発言をするから。
「えー、三宅っち俺のこと嫌いなん? 寂しいこと言ってねーで一緒に上がろうぜ」
恵那が三宅の背中をばしばし叩く。
「そんな、嫌いとかなわけ、ないし」
「三宅っちはねー、気を遣いすぎ。ま、俺も大概涼のことは甘やかすけどさ。たまにはケツ叩いてやんないと」
言いながら本当に涼のお尻を叩いて「はいはい、テンポアップ、テンポアップ」なんて急かすから。
「もお、焦ったらコケるだろ。やめてよ、えな」
「んなちんたらやってたら、朝飯食いっぱぐれるぞ?」
「ぱぐれません……あーもう、やだ、足上げるの辛いー」
「あと十段だっつの。ほれ、頑張れ」
体力のない涼がぜいぜい言いながら神社に着くと、
「おう、恵那。先帰って、おまえの卵焼きと鮭は頂いておくからなー」丁度階段を降りようとしていた徹に笑われる。
「ざけてんなよ。てか、んなことしやがったら昼のそうめん、先輩トコだけ流されねーようにジャマしてやっからな」
三日目の昼食は最終イベントの流しそうめん、である。
「佐竹、いっそのこと帰りは恵那におんぶして貰え」
辰巳がふざけて言い捨て、笑っていた奏たちはとっとと帰路へと着いた。
「さて、と。とっととお参りしてさっさと帰ろうぜ。じゃなきゃ徹先輩に俺のメシ食い尽くされかねない」
賽銭箱に小銭を放り込んで、柏手を打って。
三人並んでお参りを済ませると、恵那が
「ちょい、こっち来いよ」と手招きした。
そして促されるままに境内の裏手に回ると。
「うっわあ。いい眺めだねえ」
丁度麓の街並みが見渡せるようになった展望デッキがあり、晴れた朝のその風景は少し煙ったように眩しく光っていて。
涼が感嘆するとその横で三宅も目を見開いていて。
二日目の鬼練習な一日を過ごし、翌朝三日目。
五時半の起床時間にたたき起こされた部員は全員、身支度を整えて昨日の朝と同じように神社へとランニングで向かうことになる。
涼は「もうやだ……でも最後だし」と、走るのがイヤだという本音を持ち前の真面目さでなんとか気合を入れてセンターを出た。
「佐竹、ゆっくり行こ。俺も、一緒に走るし」
昨日の朝と同じように、身支度を整えた涼を待っていてくれたのは優しい三宅で。
既に恵那はサックスメンバーと一緒に駆け出して行ったらしく、影も見当たらない。
「ごめんー。いつもいつも、僕なんかに付き合ってくれて、ありがとうねー」
三宅と、半分歩いているような速度でとりあえず神社へと向かう。
走りながら、「今日もいい天気だね」とか、「朝ごはん、和食かなあ」とか。
とりとめのない話をしながら三宅と二人で山の空気を楽しむ。
朝早いから、真夏だけれども空気は少しひんやりしていて風が心地いい。
今日もしっかり部屋に籠って演奏の練習をするわけだから、こうして外気に触れて過ごす時間もいいもので。
ランニングなんて練習メニューにイヤイヤゆっていた自分を少し反省する。
と。
「遅い。ほら、早く来な」
神社に着くと階段の下で恵那が待っていて。
涼たちを見つけた瞬間、組んでいた腕を解き、手をあげた。
「あれ? 徹先輩たちと先行ったんじゃなかったの?」
「最終日だし。せっかくだから、一緒に拝もうと思ったから」
恵那がふわ、と笑って言った。
「あ……じゃ、俺、先上がるよ」三宅が気を遣うような発言をするから。
「えー、三宅っち俺のこと嫌いなん? 寂しいこと言ってねーで一緒に上がろうぜ」
恵那が三宅の背中をばしばし叩く。
「そんな、嫌いとかなわけ、ないし」
「三宅っちはねー、気を遣いすぎ。ま、俺も大概涼のことは甘やかすけどさ。たまにはケツ叩いてやんないと」
言いながら本当に涼のお尻を叩いて「はいはい、テンポアップ、テンポアップ」なんて急かすから。
「もお、焦ったらコケるだろ。やめてよ、えな」
「んなちんたらやってたら、朝飯食いっぱぐれるぞ?」
「ぱぐれません……あーもう、やだ、足上げるの辛いー」
「あと十段だっつの。ほれ、頑張れ」
体力のない涼がぜいぜい言いながら神社に着くと、
「おう、恵那。先帰って、おまえの卵焼きと鮭は頂いておくからなー」丁度階段を降りようとしていた徹に笑われる。
「ざけてんなよ。てか、んなことしやがったら昼のそうめん、先輩トコだけ流されねーようにジャマしてやっからな」
三日目の昼食は最終イベントの流しそうめん、である。
「佐竹、いっそのこと帰りは恵那におんぶして貰え」
辰巳がふざけて言い捨て、笑っていた奏たちはとっとと帰路へと着いた。
「さて、と。とっととお参りしてさっさと帰ろうぜ。じゃなきゃ徹先輩に俺のメシ食い尽くされかねない」
賽銭箱に小銭を放り込んで、柏手を打って。
三人並んでお参りを済ませると、恵那が
「ちょい、こっち来いよ」と手招きした。
そして促されるままに境内の裏手に回ると。
「うっわあ。いい眺めだねえ」
丁度麓の街並みが見渡せるようになった展望デッキがあり、晴れた朝のその風景は少し煙ったように眩しく光っていて。
涼が感嘆するとその横で三宅も目を見開いていて。
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