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七つの記憶

第47話:違和感

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 祠が出来てからというもの、通学路から外れた道にも関わらず、お参りをする女の子の姿をよく見掛けるようになった。縁結びの神様だからかな。

 叶恵かなえちゃんも来ていた。元々の祠を壊したと噂が立ってしまったからだろうか、人目を気にしながら、深雪みゆきちゃんに付き添われるようにしてお参りしていた。
 たまたま通り掛かって声を掛けたら、改めて二人から謝られた。

「ホントにごめん。謝って済むことじゃないと思うけど……」
「い、いいって。もう気にしてないから!」

 二人から頭を下げられてるのを誰かに見られたら気まずいじゃん!
 でも、謝罪だけじゃなかった。

「あの、歩香あゆかちゃん最近様子がおかしいの。私たちから距離を置いてるっていうか……」
「あー、確かに……」

 学校の慰霊碑を浄化した後、歩香ちゃんが祠を壊した犯人だと判明した。でも、唯一の証拠を持っていた八十神やそがみくんはそれを本人に返してしまい、犯人云々は有耶無耶になった。
 慰霊碑の悪影響が消えた今、叶恵ちゃんを疑う人はいなくなった。元々言い掛かりで関係ないから当然なんだけどね。

 あれから歩香ちゃんは変わってしまった。

 今までは何処に行くにも三人で行動していたのに、一人になりたがるらしい。しかも、八十神くんの周りにいる取り巻きの女の子を蹴散らして自分だけが彼の隣に陣取っている。
 これはあたしも教室で見たから知ってる。

「最近様子がおかしかったけど、ここ数日で更に酷くなってて、……怖くてさ」
「私たちまで近付けないの。こんなの初めてで」
「……それは心配だね」

 歩香ちゃんと叶恵ちゃんと深雪ちゃんの三人は、あたしと千景ちかげちゃんと夢路ゆめじちゃんみたいな間柄で、小さい頃からの仲良しなんだ。

「今まではね、みんなで八十神くんを囲んでキャーキャー騒ぐのが楽しかったの。……ヤキモチが行き過ぎて夕月ゆうづきちゃんにあんなことしちゃったりしたけど」
「それでも、私たちを遠ざけるなんて……」

 どんな時でも一緒だったのに、急に態度が豹変したらビックリするよね。

 あ、そうだ。
 叶恵ちゃんに聞きたいことがあったんだ。

「あのさ、この祠が元々有った場所、知ってる?」
「……ええと、町外れの山だよね」
「あそこ入れないようになってるし、町の地図にも載ってなかったから、どこで知ったのかなーって」

 あたしの問いに、二人は顔を見合わせた。

「八十神くんから聞いた気がする」
「うん、八十神くんが言ってたよ」
「え? 転校してきたばっかなのに?」
「……そういえば変だよね。私、なんで気付かなかったんだろ」

 叶恵ちゃんはその話を聞いてから、何故か祠に行きたい気持ちが抑えられなくなって山に向かったんだって。でも、途中から記憶がなくなってるみたい。山の中で何をしたのか、何があったのかまでは覚えてないって。



 やっぱり、全ての元凶は八十神くんなのかもしれない。
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