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─ 誰かの独白 ─
しおりを挟むまだ、まだ。
もう少し近付いてから。
ブロック塀の陰からチラリと覗けば、むこうから歩いてくるあの子が見えた。真新しいランドセルを重そうに背負う姿が可愛い。通りには他に誰もいない。どきどきする胸をおさえながら、今か今かとタイミングをはかる。
びっくりするだろうか。
大声を上げるかもしれない。
腰を抜かすかもしれない。
泣いちゃうかもしれないな。
でも、きっと最後には「またやったな!」と言いながらぼくを小突いて笑うのだ。
あと十歩近付いたら飛び出すと決めた。
靴がアスファルトを擦る音を指折り数える。
万に一つも気付かれないように。
息を止めてその時を待った。
……まさか、あんなことになるなんて。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ゆるして■■。
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