囚われの天使

I

ポーン

静かにエレベーターのドアが開き、今夜も客が吐き出される


濃紺の絨毯が敷かれたフロア
ところどころに動物のぬいぐるみが飾られている
進んでゆくと、大きな天蓋付きのベッドに誰かが座っているのがわかる

天蓋を開けるとほっそりとした少年が座っていた

「こんばんは」

客の脂ぎった#頤_おとがい_#を掬い口移しでくすりを与えた

「みじかいじかんですがどうぞよろしくおねがいいたします」

少年は微笑んだ

それはさながら天使のよう




客はノアの最奥に何度も欲を吐き出した
必死に息をするノアの首を絞めながらごりごりと執拗に突く


脂肪でだぶついた客の肉とノアの華奢な身体がぶつかって音を立てる







苦しさも気持ちよさに変換されてゆく


あたまがふわふわしてきもちいい

「あっ、まって♡♡♡‥‥ひあ‥ああっ♡♡♡」
「そこ‥なんかいもやだぁっ‥‥‥♡♡♡」
「はぅっ‥♡♡♡ぁん♡♡♡」
「いぐっっ♡♡♡‥‥‥
あああああああっ♡♡♡♡♡」

自身の下で喘ぐノアに勝ち誇ったように笑いながら客は腰を打ち続けた



はあはあと荒い呼吸と死臭、精液の匂いが部屋を満たす

ノアは尻を上げたままベッドに突っ伏して呼吸を整えた

「あ‥ありがとうございました」
客の精液で粘つく顔を拭い、客を仰ぎ見てノアは微笑んだ





客は振り向こうとしたが、出口に化けていた妖が大きな口を開けうまそうに嚥下した
悲鳴を上げる間もなく客は消え
代わりに小さな猫のぬいぐるみが微かな音を立てて出口の足元に落ちた










奇妙な沈黙が落ちてからしばらくして

ふうと、息をついてノアは立ち上がった


「きれいに‥しないと」

バスルームへ向かう脚を精液が伝った



強い薬の影響でじくじくと収まらない身体の熱を無視してノアは湯船に浸かっていた



三角座りをしてぼうと水面を見つめる

客の相手は疲れる
男だと分かると好き勝手してくるので終わる頃にはくたくただ

体力がないため余計に

でも他のことを考えずに済むのでこの時間が嫌いではなかった


そう例えばーーー


「のーあ」
ぎゅうと後ろから抱きしめられてノアはかなり驚いた


「？！？！？っっあ‥れ、レオ‥」

「えーそんなびっくりされると傷つくなあ
別に変なことじゃないでしょ？
今日はいつもより疲れてるみたいだし」

顔を覗き込む美しい顔を直視できなくて目を逸らす

「はいはい
はやく休んで欲しいからナカは私が綺麗にするね？」

「っいい！
そんなことしなくてっっ
ひゃん！」


レオがいきなり尻穴に手を突っ込むものだから思わず嬌声が漏れる

真っ赤になるノアをよそにレオは客に吐き出された精液を掻き出す


「っ、ぅん‥‥ぁ‥」

抑えていても声が漏れて恥ずかしくて仕方ない