彷徨えるジパング～蒙古襲来編～

第12章 難破船

総帥のヒンドゥは洪からの説明を聞き、苦悩していた。
我が大兵力を持って、倭国（日本国）と戦うべきか。それとも、撤退するのが肝要か。
しかし、このまま逃げて帰ったらクビライ皇帝様はお許し出来はすまい…困った。
その時、一人の将が、「ヒンドゥ総帥様、妙な小船が煙を吐きながら流れて来ましたので、乗っていた５人を捕縛しましたところ、船乗りの一人が総帥に、お会いお話がしたいと申してますが如何いたしましょうか。」
「すぐに連れて参れ。」
ヒンドゥは、これはもしかしたら打開のきっかけになる導きかも知れないと思った。

将が奇妙な服（現代の漁師の格好）を来た中年を連れて来て、ヒンドゥの前に跪かせた。
「コノ男ノ腕ノ縄ヲ解イテ、アゲナサイ。」
将が中年の男の縄を解きヒンドゥの前に跪かせた。
「オ前ノ名ハ、何ト言ウ名ジャ。」
「私ノ名ハ、郭トイイマス。」高麗の言葉で答えた。
「オマエハ、高麗人カ？何シニ来タノカ。」
「ヒンドゥ総帥様。我ラハ、高麗ノ末裔、慧国カラ来マシタ。推測ニテ恐縮デスガ、オ困リニナッテイルト思イ。参上シマシタ。」
「何故ニ、ソウ思ッタ？」
「未来カラ来タ倭国（日本国）トノ接シ方ニツイテ、手前ラハ、皆様ノ、オ役ニタテルト思イマスガ。」
ヒンドゥは少し思案した後、「郭トヤラ、オ前ノ考エヲ教エテクレ。」と言って来た。
郭は更に跪き頭を床につけ、「ハハァ。光栄ニ存ジマス。」と答えたが、下を向いた顔は、ほくそ笑んでいた。