彷徨えるジパング～蒙古襲来編～

第５章 彷徨う

日本国土は彷徨うとしている。
西暦２０２４年５月１８日１６時３０分から西暦１２８１年５月１８日１６時３０分へと。

令和６年５月１８日１６時３０分丁度に、日本国土全てが大きく軋みクウオオンと呻きを出し始めた。地震とは違う初めての感覚…。日本国に住んでいる人々皆がキーンと鼓膜がなり始め、脳を揺さぶられたような…。一瞬だが違和感を感じていた。
それと同時に急に地面の高度が上ったような感じがして、多くの民がめまい、頭痛、吐き気をし出した。
それから瞬時に元の状態に戻ったが…。目の前の生活環境が変わり出して来ていた。

信号機システムが日本全国全て正常に機能しなくなり、自動車や通行人達の動きが止められ、交差点ではクルマのクラクションが鳴り響く。
電車も交通システムが停止し車内に閉じ込められた人々が不安の表情を浮かべていた。
更に、物流システムがストップ。GPSがストップ。ATMがストップ。ネット電話の停止。海外と連絡が取れない。
等々…。文明の機能が失われてきた。何があったのか。

日本全国各地で大変な騒ぎになっていた。
天変地異が来た。世界が終わる等、騒ぎ出す教祖を名乗る怪しい人物が多々出てきたり。事象の原因は、人類が温暖化をしてきたのが原因で地球の環境が破壊し始めていると言い出した某大学教授や専門でも無いのに専門を気取った人がマスコミへ出演してはチンプンカンプンなことを言い騒ぎ出していた。
テレビ等では緊急速報が頻ぱんに流れ、アナウンサーや評論家からは、まともな意見として他国からの大規模なハッキングが原因では？等の、憶測しか出てこなかった。
官邸に居た橘田総理大臣からは、「原因を突き詰め全力で復旧対応をします。」と言うありきたりな言葉が映像（テレビ）から流れていた。
それから二時間後、有り得ないことが原因だという事が分かった。
それは、地上から200km～36000kmにある全ての人口衛星が消えていた。
人口衛星が全てロケットで爆撃された…のか。
それとも…日本国土そのものが現在（西暦２０２４年５月１８日）から消えて歴史空間を彷徨っているのか。