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第4章 勝者は?
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光月は身じろぎもしないで、的を目掛ける構えに入っていった。
弓の張りの状態を両腕で感じ、風を肌全体で受けて、放物線を決め矢を的へ目掛けて射った。
「たうん、どん。」
スクリーンには、何と10点と表示が出た。
「えっ、10点?」「ホントに?」
その後、観客はあぜんとし一瞬シーンとなったが、観客皆から大拍手が沸き起こった。
「凄いな!」「よっ。さすが今の那須与一!」
武藤は、信じられないと言う顔をしていた。
試合は終盤に入っていた。
「ヤッピー、ヤッピー、ヤッホウッホ。あと残り(矢が)1本となってきた。武藤の4回までの点数は、9点、8点、10点、10点、計37テ~ン。光月は10点、10点、9点、9点で計38テ~ン。このまま光月が勝つのか。それとも武藤が逆転するのかぅん。ウホホ、ヤッホウッホ。さあー、射て。さあー、射て。武藤よ射ろよ!」
阿多は、武藤を煽った。
武藤は光月の技量に圧倒されつつ、思いを振り払い弓を構え矢を放った。
「ぴぃう…。すとぅうん。」
スクリーンに10点と表示が出て、武藤のアーチェリー部の仲間達や観客から「いけるぞ。」「アーチェリーが一番強~い。」と言う声が上った。
武藤はほっとしながら、光月の構えを観ていた。
光月の構えが二回目までは、背中からピリピリとする程の力が発せられてきたが、三回目からは無くなって来ていた。
光月が矢を放つ瞬間、瞳にレーザー光線が当てられるのが見えた。
「たうん、とん。」
当てているのは観客の中にいた武藤の後輩のソウマだった。
ソウマは武藤が睨んでいるのを気付き、逃げるようにその場を立ち去った。
「ソウマ。何てことをするんだ。」武藤は怒りで震えていた。
光月の矢は…。
「光月の点数は1点。この結果、武藤は合計47点。光月は合計39点。勝者はぁ武藤。ヤッピー、ヤッピー、ヤッホウッホ。」と言い、阿多はキレッキレの自称インディアンダンスをした。
武藤は更にハッとなった。
光月の黒袴が光り濡れていて、その先の素足が赤く滴っていた。まさか、女性なの?
武藤は急いで自分のバックにあったタオルを取り光月の側によって、「光月さん、(血で)濡れてます…。」と言い血が目立たない綺麗な赤色のタオルを優しくそっと手渡した。
「ありがとう…。」光月は頬を薄紅に染めながら、そのタオルで黒袴と足についていた血を拭いた。
「光月さん、ごめんなさい。本当に申し訳ない。眼(瞳)にレーザー(光線)を当てて(いたなんて)…。」
「武藤さんは正々堂々としてました。」と言い、武藤が土下座しようとするのを止め、「(邪魔が入っても勝ちに)至らなかったのは、私の鍛錬が足りないだけ。テレビカメラが観てますよ。勝負に負けたのは私。」
光月は、土下座をし「武藤さん、あなた様の競技、アーチェリーに完敗です。」と言い、小声で、「武藤さん、私の後頭部を足で踏みつけて。早く。」
「…。」
武藤は、そっと光月の後頭部に左足を置き、遠方から撮っているカメラに見られないよう顔を下へ向けた。大粒の水滴がぽつりぽつりと光月の背中に落ちてきた。
弓の張りの状態を両腕で感じ、風を肌全体で受けて、放物線を決め矢を的へ目掛けて射った。
「たうん、どん。」
スクリーンには、何と10点と表示が出た。
「えっ、10点?」「ホントに?」
その後、観客はあぜんとし一瞬シーンとなったが、観客皆から大拍手が沸き起こった。
「凄いな!」「よっ。さすが今の那須与一!」
武藤は、信じられないと言う顔をしていた。
試合は終盤に入っていた。
「ヤッピー、ヤッピー、ヤッホウッホ。あと残り(矢が)1本となってきた。武藤の4回までの点数は、9点、8点、10点、10点、計37テ~ン。光月は10点、10点、9点、9点で計38テ~ン。このまま光月が勝つのか。それとも武藤が逆転するのかぅん。ウホホ、ヤッホウッホ。さあー、射て。さあー、射て。武藤よ射ろよ!」
阿多は、武藤を煽った。
武藤は光月の技量に圧倒されつつ、思いを振り払い弓を構え矢を放った。
「ぴぃう…。すとぅうん。」
スクリーンに10点と表示が出て、武藤のアーチェリー部の仲間達や観客から「いけるぞ。」「アーチェリーが一番強~い。」と言う声が上った。
武藤はほっとしながら、光月の構えを観ていた。
光月の構えが二回目までは、背中からピリピリとする程の力が発せられてきたが、三回目からは無くなって来ていた。
光月が矢を放つ瞬間、瞳にレーザー光線が当てられるのが見えた。
「たうん、とん。」
当てているのは観客の中にいた武藤の後輩のソウマだった。
ソウマは武藤が睨んでいるのを気付き、逃げるようにその場を立ち去った。
「ソウマ。何てことをするんだ。」武藤は怒りで震えていた。
光月の矢は…。
「光月の点数は1点。この結果、武藤は合計47点。光月は合計39点。勝者はぁ武藤。ヤッピー、ヤッピー、ヤッホウッホ。」と言い、阿多はキレッキレの自称インディアンダンスをした。
武藤は更にハッとなった。
光月の黒袴が光り濡れていて、その先の素足が赤く滴っていた。まさか、女性なの?
武藤は急いで自分のバックにあったタオルを取り光月の側によって、「光月さん、(血で)濡れてます…。」と言い血が目立たない綺麗な赤色のタオルを優しくそっと手渡した。
「ありがとう…。」光月は頬を薄紅に染めながら、そのタオルで黒袴と足についていた血を拭いた。
「光月さん、ごめんなさい。本当に申し訳ない。眼(瞳)にレーザー(光線)を当てて(いたなんて)…。」
「武藤さんは正々堂々としてました。」と言い、武藤が土下座しようとするのを止め、「(邪魔が入っても勝ちに)至らなかったのは、私の鍛錬が足りないだけ。テレビカメラが観てますよ。勝負に負けたのは私。」
光月は、土下座をし「武藤さん、あなた様の競技、アーチェリーに完敗です。」と言い、小声で、「武藤さん、私の後頭部を足で踏みつけて。早く。」
「…。」
武藤は、そっと光月の後頭部に左足を置き、遠方から撮っているカメラに見られないよう顔を下へ向けた。大粒の水滴がぽつりぽつりと光月の背中に落ちてきた。
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