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第1幕 09 王子はわたしが救います
三十七.どうやらホワイトは本当に伝説の聖獣だったようです
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「さぁ、皆さん早く避難してください。神殿なら魔に対する結界も張ってあり、安全です。非常時の地下道を通って神殿へ向かって下さい」
アルシュバーン国の城下町にて住民を避難誘導しているシスター服の女性。彼女の深紅色の髪はシスター服を着ていても目立つ。町へ魔物が向かって来ているという情報をいち早く察知し、シスタークランベリーは被害を最小限に抑えるべく行動していたのだ。
「ほれ、皆こっちじゃよ。儂が神殿まで案内するぞい」
「避難訓練かのぅ~~物騒な世の中じゃのぅ~~」
「せっかく兎のねーちゃんと酒場で飲んでいたところじゃったのに残念じゃ~」
礼拝常連のドリアンお爺さんが、老人会メンバーを集め、お爺さんお婆さんを地下道へと誘導していく。途中、クランベリーと目が合ったところでウインクするドリアンお爺さん。クランベリーは軽く会釈をした後、避難誘導へと戻る。
「ちょっとぉおおお~~どうしてわたくしが薄暗くて狭い地下道なんかに入らなくちゃいけないの?」
「畏れながらアデリーン様。王宮も安全ではありません。魔を寄せ付けない結界が張ってある神殿が一番安全なのであります。此処は神殿の者の誘導へ従って下さい」
「あんな神殿へ再び出向くくらいなら、死んだほうがマシよ」
騎士団員の制止を振り切り、桃色のプリンセスドレスを身につけた金髪の女性が、地下道の入口とは反対方向へと向かっていく。アデリーン嬢は、自身の家へ帰るつもりなのであろう。クランベリーが遠目で騎士団員とアデリーン嬢のやり取りを確認し、軽く溜息を吐く。彼女がクランとしてチェリーちゃんへメッセージを送ってあげようかと策を考えていると、低い声の男が、アデリーンへ声をかけたのだった。
「――ソウカ、ナラバ此処デ死ネバイイ」
「何ですって? あなた……誰に向かってそんな口を……ひっ!」
アデリーン嬢が振り返ると、そこには緑色の体躯を銀色の鎧で覆った超竜騎兵の姿。それは、アルシュバーン国を襲いに来た竜騎兵軍団を率いる長――ドラゴンナイト・サーガであった。
「だ……れか……たす……け……」
ドラゴンナイトは既に銀色の剣を引き抜き、アデリーンへ向けて振り下ろそうとしていた。腰から砕けてしまい、逃げる事も出来ず、声にならない声をあげるアデリーン。クランベリーが事態に気づき、懐に忍ばせた短剣を持ち駆け出すも、間に合わない。振り下ろされる剣。思わず目を閉じるアデリーン。鳴り響く金属音。
「……どうやら間に合ったようだな」
「え……嘘……。ジーク?」
黒髪を靡かせた騎士が、黄金色に輝く刀身でサーガの剣を受け止めていた。彼の両脚から放たれる青白い光が火花のように散っている。魔物討伐へ向かっていた筈のジークが何故ここにと、驚くアデリーン。ジークは腰から崩れ落ちた侯爵令嬢へ、もう大丈夫だと言わんばかりに優しく微笑む。
「幼馴染のピンチに駆けつけられないようじゃ、英雄とは言えないだろ?」
「……ジーク、あなた……」
突然現れた騎士に、驚いていた超竜騎兵だったが、やがて、その相手が自身の見知った相手だと知り、サーガは一旦距離を取り、剣を構え直す。
「オ前、先刻殺シ損ネタ」
「あんたとは因縁があるからな。ここで決着をつけさせて貰う!」
刀身へ炎を纏わせるサーガと、刀身に雷迅を纏わせるジーク。二人の剣戟が激しくぶつかり合う!
◆
黒竜と対峙するブライツと聖なる魔水晶ごしに彼をサポートするわたし。
「ブライツ、少しの間だけ、黒竜を惹きつけられる?」
「嗚呼、勿論。アップルの頼みならば!」
そうはさせまいと黒竜が紅蓮の業火をブライツへ向け放つ。が、聖なる魔水晶が光を放ち、王子の身体を覆う。わたしが遠隔操作で防御結界を発動したのだ。黒竜が放つ紅蓮の業火は強力だ。わたしの臨時で創り出した防御結界なら護れて数発程度。でも、そのお陰で王子は自由に立ち回り、光の刃を放ち、黒竜の身体へ傷をつけていく。
これで時間が稼げる。
魔法端末による通信回線は繋いだままで、サンクチュアリアプリを立ち上げる。アプリが起動するとすぐにメニューを開き、ペットの項目からホワイトのスキル画面へ。そして、迷わず召喚をクリックした。
そもそも魔力ポイント10000消費という項目に、違和感を感じていたのだ。サンクチュアリアプリ内の遠征先で、わざわざ魔力ポイントを一万も消費して召喚させるメリットが全くないのだ。でも何故そんな項目が用意されているのか?
このときのわたしは確信していた。
この召喚というスキルは、こんな緊急事態に備えるためにあったのだと。
魔法端末の画面が白く光り始める。
<召喚先を指定してください>
画面上へメッセージが出現する。わたしの魔力を通じ、座標を指定してあげると、<指定場所を特定しました。聖獣ホワイトを指定場所へ召喚させますか?>< はい いいえ>の項目表示。迷わずわたしは〝はい〟を選択する。
魔法端末の画面が白く激しく発光したかと思うと、サンクチュアリアプリの箱庭からホワイトの姿が消えていた。
「うぉおおおお! アップル、何なんだ、こいつはぁああああ!」
どうやら召喚は成功したらしい。サンクチュアリアプリの画面から、ブライツの居る場所の映像へと切り替える。突然わんちゃんが出て来てブライツも驚いているのだろうと思っていたのだが……。
「ガルルルルル……ワオーン!」
「グルゥアアアアアアア!」
ブライツの前には、白いモフモフした可愛い子犬……ではなく、黒竜とほぼ同じ大きさへと巨大化した白いモフモフの聖獣が顕現していた。頭には一角獣のような光輝く角。相手を威嚇するかのように吼えるホワイト。黒竜がホワイトへ向けて紅蓮の業火を吐くも、ホワイトは口を大きく開け、白く輝く光の球を同時に放つ。紅蓮の業火を呑み込んで、白く輝く光の球は黒竜の体躯ごと吹き飛ばしてしまう。
「わんわんわん!」
「おいおい、やめろ。くすぐったいから」
黒竜が吹き飛んだ事を確認し、大きな尻尾をフリフリさせたホワイトがブライツの顔をペロペロする。
「あら、ブライツ。ホワイトに気に入られたようね」
「待て待て。この子はなんなんだ?」
「何って、聖獣グリフォンよ?」
「いやいや、伝説の聖獣をどうしてアップルが……まぁ、アップルも聖女だから理にはかなっている気もするが……いや待て。こんな巨大なグリフォンを一体どこで……」
「まぁ細かいことはいいじゃない。それより、来るわよ! ホワイト!」
「わんわんわん!」
ホワイトは黒竜の爪を自身の前脚で受け止め、一旦弾いた後、鋭い牙で竜の体躯へ喰らいつく。黒竜の体躯に傷がつき、緑色の液体が飛散する。ホワイトの牙は黒竜の硬い装甲を易々と貫通し、再び咆哮すると同時に放たれた白い光球により、吹き飛ぶ黒竜の身体が絶壁へと激突した。
「今よ、ブライツ」
「嗚呼。ホワイト、俺に力を貸してくれ! 聖剣ブリリアント、聖獣の加護の下、真の力を呼び醒ませ!」
「わんわんわん」
ホワイトの角より光が放たれ、ブライツの身体を包み込む。聖剣は神々しい輝きを放ち、刀身は周囲全ての魔を浄化させるかのような光を纏っていた。
「グルゥアアアアアアア」
「終わりだ黒竜。魔を滅せよ――聖獣究極剣技」
ブライツは両手で聖剣を持ち、真っ直ぐに光輝く剣を振り下ろす。
そして、聖獣の力を籠めた聖なる一撃が、黒竜の体躯を両断したのだった――
アルシュバーン国の城下町にて住民を避難誘導しているシスター服の女性。彼女の深紅色の髪はシスター服を着ていても目立つ。町へ魔物が向かって来ているという情報をいち早く察知し、シスタークランベリーは被害を最小限に抑えるべく行動していたのだ。
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「ちょっとぉおおお~~どうしてわたくしが薄暗くて狭い地下道なんかに入らなくちゃいけないの?」
「畏れながらアデリーン様。王宮も安全ではありません。魔を寄せ付けない結界が張ってある神殿が一番安全なのであります。此処は神殿の者の誘導へ従って下さい」
「あんな神殿へ再び出向くくらいなら、死んだほうがマシよ」
騎士団員の制止を振り切り、桃色のプリンセスドレスを身につけた金髪の女性が、地下道の入口とは反対方向へと向かっていく。アデリーン嬢は、自身の家へ帰るつもりなのであろう。クランベリーが遠目で騎士団員とアデリーン嬢のやり取りを確認し、軽く溜息を吐く。彼女がクランとしてチェリーちゃんへメッセージを送ってあげようかと策を考えていると、低い声の男が、アデリーンへ声をかけたのだった。
「――ソウカ、ナラバ此処デ死ネバイイ」
「何ですって? あなた……誰に向かってそんな口を……ひっ!」
アデリーン嬢が振り返ると、そこには緑色の体躯を銀色の鎧で覆った超竜騎兵の姿。それは、アルシュバーン国を襲いに来た竜騎兵軍団を率いる長――ドラゴンナイト・サーガであった。
「だ……れか……たす……け……」
ドラゴンナイトは既に銀色の剣を引き抜き、アデリーンへ向けて振り下ろそうとしていた。腰から砕けてしまい、逃げる事も出来ず、声にならない声をあげるアデリーン。クランベリーが事態に気づき、懐に忍ばせた短剣を持ち駆け出すも、間に合わない。振り下ろされる剣。思わず目を閉じるアデリーン。鳴り響く金属音。
「……どうやら間に合ったようだな」
「え……嘘……。ジーク?」
黒髪を靡かせた騎士が、黄金色に輝く刀身でサーガの剣を受け止めていた。彼の両脚から放たれる青白い光が火花のように散っている。魔物討伐へ向かっていた筈のジークが何故ここにと、驚くアデリーン。ジークは腰から崩れ落ちた侯爵令嬢へ、もう大丈夫だと言わんばかりに優しく微笑む。
「幼馴染のピンチに駆けつけられないようじゃ、英雄とは言えないだろ?」
「……ジーク、あなた……」
突然現れた騎士に、驚いていた超竜騎兵だったが、やがて、その相手が自身の見知った相手だと知り、サーガは一旦距離を取り、剣を構え直す。
「オ前、先刻殺シ損ネタ」
「あんたとは因縁があるからな。ここで決着をつけさせて貰う!」
刀身へ炎を纏わせるサーガと、刀身に雷迅を纏わせるジーク。二人の剣戟が激しくぶつかり合う!
◆
黒竜と対峙するブライツと聖なる魔水晶ごしに彼をサポートするわたし。
「ブライツ、少しの間だけ、黒竜を惹きつけられる?」
「嗚呼、勿論。アップルの頼みならば!」
そうはさせまいと黒竜が紅蓮の業火をブライツへ向け放つ。が、聖なる魔水晶が光を放ち、王子の身体を覆う。わたしが遠隔操作で防御結界を発動したのだ。黒竜が放つ紅蓮の業火は強力だ。わたしの臨時で創り出した防御結界なら護れて数発程度。でも、そのお陰で王子は自由に立ち回り、光の刃を放ち、黒竜の身体へ傷をつけていく。
これで時間が稼げる。
魔法端末による通信回線は繋いだままで、サンクチュアリアプリを立ち上げる。アプリが起動するとすぐにメニューを開き、ペットの項目からホワイトのスキル画面へ。そして、迷わず召喚をクリックした。
そもそも魔力ポイント10000消費という項目に、違和感を感じていたのだ。サンクチュアリアプリ内の遠征先で、わざわざ魔力ポイントを一万も消費して召喚させるメリットが全くないのだ。でも何故そんな項目が用意されているのか?
このときのわたしは確信していた。
この召喚というスキルは、こんな緊急事態に備えるためにあったのだと。
魔法端末の画面が白く光り始める。
<召喚先を指定してください>
画面上へメッセージが出現する。わたしの魔力を通じ、座標を指定してあげると、<指定場所を特定しました。聖獣ホワイトを指定場所へ召喚させますか?>< はい いいえ>の項目表示。迷わずわたしは〝はい〟を選択する。
魔法端末の画面が白く激しく発光したかと思うと、サンクチュアリアプリの箱庭からホワイトの姿が消えていた。
「うぉおおおお! アップル、何なんだ、こいつはぁああああ!」
どうやら召喚は成功したらしい。サンクチュアリアプリの画面から、ブライツの居る場所の映像へと切り替える。突然わんちゃんが出て来てブライツも驚いているのだろうと思っていたのだが……。
「ガルルルルル……ワオーン!」
「グルゥアアアアアアア!」
ブライツの前には、白いモフモフした可愛い子犬……ではなく、黒竜とほぼ同じ大きさへと巨大化した白いモフモフの聖獣が顕現していた。頭には一角獣のような光輝く角。相手を威嚇するかのように吼えるホワイト。黒竜がホワイトへ向けて紅蓮の業火を吐くも、ホワイトは口を大きく開け、白く輝く光の球を同時に放つ。紅蓮の業火を呑み込んで、白く輝く光の球は黒竜の体躯ごと吹き飛ばしてしまう。
「わんわんわん!」
「おいおい、やめろ。くすぐったいから」
黒竜が吹き飛んだ事を確認し、大きな尻尾をフリフリさせたホワイトがブライツの顔をペロペロする。
「あら、ブライツ。ホワイトに気に入られたようね」
「待て待て。この子はなんなんだ?」
「何って、聖獣グリフォンよ?」
「いやいや、伝説の聖獣をどうしてアップルが……まぁ、アップルも聖女だから理にはかなっている気もするが……いや待て。こんな巨大なグリフォンを一体どこで……」
「まぁ細かいことはいいじゃない。それより、来るわよ! ホワイト!」
「わんわんわん!」
ホワイトは黒竜の爪を自身の前脚で受け止め、一旦弾いた後、鋭い牙で竜の体躯へ喰らいつく。黒竜の体躯に傷がつき、緑色の液体が飛散する。ホワイトの牙は黒竜の硬い装甲を易々と貫通し、再び咆哮すると同時に放たれた白い光球により、吹き飛ぶ黒竜の身体が絶壁へと激突した。
「今よ、ブライツ」
「嗚呼。ホワイト、俺に力を貸してくれ! 聖剣ブリリアント、聖獣の加護の下、真の力を呼び醒ませ!」
「わんわんわん」
ホワイトの角より光が放たれ、ブライツの身体を包み込む。聖剣は神々しい輝きを放ち、刀身は周囲全ての魔を浄化させるかのような光を纏っていた。
「グルゥアアアアアアア」
「終わりだ黒竜。魔を滅せよ――聖獣究極剣技」
ブライツは両手で聖剣を持ち、真っ直ぐに光輝く剣を振り下ろす。
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