異世界では悔いの残らないよう頑張ります!!

建月 創士

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幼年期

#12 お出かけ

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俺は甘えるな、と清々しく兄さんの頼みを断り、泣きつく兄さんを背に部屋を出た。

今日は休日だ、だから部屋でゆっくり過ごせる!やったぜ!
…でも肋骨が痛いのはキツいな。

そして、痛む肋骨を庇いながら寮に戻り部屋のドアを開ける。

そして、開けた瞬間誰かが抱き付いてきた。

「れ"い"く"う"ん"!!」
「おぅわ!?」

そして、勢い余って後ろに思いっきり倒される形になった。

ろ、肋骨がぁ…今なんかゴリっていった…痛ぇ…

「レイくん!何やってたの!?心配したんだからね!?」
「ご、ごめんなさい…」

ターシャの目の下には赤く泣いた痕が残っていた。
申し訳ないことをしてしまったな、と反省する。

「反省したならよろしい、…それで、何してたの?」
「えっと…工房の生徒を助けようと冒険者に突っ込んだら、フルボッコにされて…兄さんに助けられて、朝まで兄さんの部屋で寝てました…」
「先生に?…へぇ、あの人本当に魔法使えるんだ…」
「おいおい、それはちょっと酷いだろ…それに…じゃなくて…俺も思ったけどさ」

それに助けてくれたとき使ってたのは固有装備《アーティファクト》だ、なんてターシャに話したら兄さんに殺されるとこだった…危ない危ない。

それにしても、ターシャは時々すごい毒を吐きますわね…ちょっとおじさん怖いわ、おじさん陰口とか言われてないかしら。

…じゃなくて、なんかお詫びしないとだな、アニメとかエロゲであった慰めかたは…そうだ!

「ターシャ、お詫びといっちゃなんだけど、街に出掛けよう、もちろん費用は全部俺が負担しよう」
「ホント!?行こう行こう!」

俺が提案すると、ターシャは年相応の笑顔を浮かべ喜んだ。
可愛い。
幸い

そして、その笑顔のターシャの前に俺は方膝をたてて座りこう告げる。

「そして、今日一日俺はターシャの執事だ」
「ふぇ?」
「なんなりとお使いくださいませ、お嬢様」
「えぇええぇええ!?」
______________________________________

そして、ターシャは私服に、俺は執事らしく学校の制服に身を包み、街にくり出した。

「ねえねえ!レイ!あれなんてどうかしら!」
「お嬢様にとても良くお似合いになると思いますよ」

俺はニコッと笑い、答える。
俺は執事モード全開で、ターシャもおぜうさまモード全開だ。

これはこれでかなり楽しい。
なにより生き生きと楽しんでいるターシャを見るのが楽しいし、目の保養にもなる。
 
そして、俺はターシャの指を指した腕輪をささっと兄さんから貰った給料で払い、ターシャに手渡す。

「どうぞ、お嬢様」
「ありがとう、レイ」

ターシャは早速腕輪を着けて、俺に見せてくる。

「どう?」
「おぉ!やはり良くお似合いです!!私の目に狂いはありませんでした」
「そ、そぉ…?////」

俺が思った通りのことを口すると、ターシャが赤く顔を染めた。
耳まで真っ赤だ。

…こんなときにはあのテンプレ台詞を言うしか! 

「ど、どうされましたか?!お嬢様、顔から耳まで真っ赤ですよ?!大変だ!今すぐ医者を!!」
「ち、違うわ!大丈夫よ!!大丈夫!!///」
 
そして、いっそうターシャの顔が紅潮する。

うん…尊い…

「さあ次はどこに行きますか?お嬢様?」

その言葉を合言葉に執事役の俺とお嬢様役のターシャの時間は過ぎていったのだった。
_____________________________________

「あぁ!楽しかった!」

そう言いターシャは大きく伸びをする。
一方、俺は両手を荷物で一杯にしながらなんとか作り笑顔を作りながら、疲れを隠していた。
まさかターシャがこんなに買い物好きだとは思わなかった、おかげで俺の財布は今極寒地帯と化している。

少し歩くとターシャが足を止め、クルッとこちらを向き、口を開いた。

「レイ!はい!これ!今日一日付き合ってくれたお礼!受け取りなさい!!」

今日一日でこのキャラにハマったなと少し苦笑いを浮かべ、俺は可愛らしい小包に包まれたプレゼントを受け取った。

「中身を拝見しても?」
「良いわよ!」

ニコッと眩しい笑顔を浮かべ、ターシャは許可する。

小包を開けると、そこにはネックレスが入っていた。

デザインはどちらかというと可愛い方寄りで、星型や青色の小さな宝石のようなもの等のアクセサリーで装飾されている。

俺がネックレスをまじまじと見ていると、ターシャが少し上目遣いで、口を開いた。
夕焼けの逆光で表情はあまり見えないが、ほんのり耳が赤くなっているのがわかった。

「ど、どう…かな?」
「ありがとう、嬉しいよ!」
「そう!?実はね…」

するとターシャが首にかけているネックレスを手ですくい、見せてくれる。

「お揃いなんだ!」

ターシャのネックレスは俺と同じような装飾に俺とは色が違う黄色の宝石のようなものが付いていた。
なんだか…昔の親友を思い出すな…あれ?誰だっけ?居たはずなのに…忘れちゃいけないはずなのに… 

「どう?驚いた?驚…って?!なんで泣いてるの!?」
「え?」

気が付くと涙が頬を伝っていた。
俺は慌てて頬を伝う涙を拭い、誤魔化そうとするが、涙は止まらない、止まってくれない。

「ご、ごめん…ひっぐ…ちょっ…と…う、嬉しくて…さ…」

俺はなんとかして笑顔を作る、その表情はクチャッとしていてさぞ醜いことだろう。

止まらない涙を拭い続け、俺は涙が止まった事を確認してからターシャに告げた。

「帰ろっか」

そうして、日は落ち、時間は過ぎていったのだった。

その日、俺は夢を見た。
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