5 / 41
幼年期
#4 初恋と別れ
しおりを挟む
朝のいつもの時間に目が覚めた。
最初は慣れずとても眠かったが、もう慣れっこだ。
そして、大広間に行くと、ミサ姉さんがお洒落をして、座っていた。
そう、今日はミサ姉さんが家を出ていく日だ。
とても綺麗だった。
それはもう、直視できない程に。
「おはよう、姉さん」
「おはよう、レイくん」
「姉さん」
「何?レイくん?」
「そのなんていうか…可愛いね」
「あら、そう?レイくんにそう言われると嬉しいなぁ」
俺がそう褒めると、ミサ姉さんは、フフフと笑った。
そして、その表情を明日から見れなくなるのか、と考えると、とても悲しい気持ちになった。
そうして、全員が揃い5人で食べる最後の朝ごはんを食べた、いつもの美味しいご飯だが、どこか、味気無く感じた。
そして、ついに別れの時が来た。
家族全員でミサ姉さんを見送る。
「それでは、ミサ達者でな」
「うん」
父さんの言葉はいつも通り簡潔で簡単だった、しかし、その短い言葉にとても強い愛情が詰まっていると感じた。
「くれぐれも、ライルさんに迷惑がかからないようにね?それと、貴女は負けず嫌いな所があるから、少し立場をわきまえなさいね、それから、私の教えた家事のテクニックを活用すること、それから…それから……」
母さんの目から涙がボロボロと零れる。
しかし、母さんはその涙をすぐに拭き取った。
そしてこう言った。
「幸せになりなさいね?」
その言葉により、ミサ姉さんの抑えていた涙がボロボロと零れ落ちた。
そして、母さんと同じように、涙を拭き取り、自信たっぷりな顔でこう言った。
「うん、絶対……グスン……お母さんより幸せになってやるんだから!!」
その光景を見て改めて二人が良く似ていることに気付いた俺だった。
次はルル兄さんの番だ。
「その……姉さん、これまで沢山迷惑かけてごめんなさい……」
「うん」
「それと……6年前水浴び場を泡だらけにしたの、俺です、ごめんなさい……他にもいろいr……イテッ!」
ルル兄さんが言い切る前にミサ姉さんが拳骨を食らわせた。
「なにすんだよ、姉さん!!」
「うんうん!やっぱりルルはそれが良いよ!!しゅんとしてるずっと良い!!それとさっきの一発でこれまでのことは許したげる!!私も頑張るから貴方も頑張りなさいよ?」
「もちろん!!そっちこそイラッとしてライルさん泣かせんなよ?」
「なにを~」
とミサ姉さんがルル兄さんのこめかみをグリグリする。
ルル兄さんも負けじとミサ姉さんのこめかみをグリグリする。
二人は眩しい笑顔で笑っていた。
喧嘩するほど仲が良いってホントのことだったんだなと実感した。
次は、俺の番だ。
そして、俺は9か月前のことを思い出しながらこう言う。
「姉さん、ぎゅうってしよ?」
姉さんは少しビックリした顔をしたが、すぐに笑顔になり、抱きついてきた。
「ぎゅうううううううううううう!!」
俺も負けじと抱き返す
「ぎゅうううううううううううう!!」
とてもその時間は幸せな時間で、この時間が永遠に続けば良いのにと思うほどだった。
しかし、程無くしてその時間は終わり、ついに本当の別れの時が来た。
ミサ姉さんが大きく息を吸い、
「15年間ありがとうございました!!」
と言い、迎えの馬車に乗っていった。
そして、居なくなって、俺は気付いた、俺は叶わぬ恋心をミサ姉さんに抱いていたんだ、と。
最初は慣れずとても眠かったが、もう慣れっこだ。
そして、大広間に行くと、ミサ姉さんがお洒落をして、座っていた。
そう、今日はミサ姉さんが家を出ていく日だ。
とても綺麗だった。
それはもう、直視できない程に。
「おはよう、姉さん」
「おはよう、レイくん」
「姉さん」
「何?レイくん?」
「そのなんていうか…可愛いね」
「あら、そう?レイくんにそう言われると嬉しいなぁ」
俺がそう褒めると、ミサ姉さんは、フフフと笑った。
そして、その表情を明日から見れなくなるのか、と考えると、とても悲しい気持ちになった。
そうして、全員が揃い5人で食べる最後の朝ごはんを食べた、いつもの美味しいご飯だが、どこか、味気無く感じた。
そして、ついに別れの時が来た。
家族全員でミサ姉さんを見送る。
「それでは、ミサ達者でな」
「うん」
父さんの言葉はいつも通り簡潔で簡単だった、しかし、その短い言葉にとても強い愛情が詰まっていると感じた。
「くれぐれも、ライルさんに迷惑がかからないようにね?それと、貴女は負けず嫌いな所があるから、少し立場をわきまえなさいね、それから、私の教えた家事のテクニックを活用すること、それから…それから……」
母さんの目から涙がボロボロと零れる。
しかし、母さんはその涙をすぐに拭き取った。
そしてこう言った。
「幸せになりなさいね?」
その言葉により、ミサ姉さんの抑えていた涙がボロボロと零れ落ちた。
そして、母さんと同じように、涙を拭き取り、自信たっぷりな顔でこう言った。
「うん、絶対……グスン……お母さんより幸せになってやるんだから!!」
その光景を見て改めて二人が良く似ていることに気付いた俺だった。
次はルル兄さんの番だ。
「その……姉さん、これまで沢山迷惑かけてごめんなさい……」
「うん」
「それと……6年前水浴び場を泡だらけにしたの、俺です、ごめんなさい……他にもいろいr……イテッ!」
ルル兄さんが言い切る前にミサ姉さんが拳骨を食らわせた。
「なにすんだよ、姉さん!!」
「うんうん!やっぱりルルはそれが良いよ!!しゅんとしてるずっと良い!!それとさっきの一発でこれまでのことは許したげる!!私も頑張るから貴方も頑張りなさいよ?」
「もちろん!!そっちこそイラッとしてライルさん泣かせんなよ?」
「なにを~」
とミサ姉さんがルル兄さんのこめかみをグリグリする。
ルル兄さんも負けじとミサ姉さんのこめかみをグリグリする。
二人は眩しい笑顔で笑っていた。
喧嘩するほど仲が良いってホントのことだったんだなと実感した。
次は、俺の番だ。
そして、俺は9か月前のことを思い出しながらこう言う。
「姉さん、ぎゅうってしよ?」
姉さんは少しビックリした顔をしたが、すぐに笑顔になり、抱きついてきた。
「ぎゅうううううううううううう!!」
俺も負けじと抱き返す
「ぎゅうううううううううううう!!」
とてもその時間は幸せな時間で、この時間が永遠に続けば良いのにと思うほどだった。
しかし、程無くしてその時間は終わり、ついに本当の別れの時が来た。
ミサ姉さんが大きく息を吸い、
「15年間ありがとうございました!!」
と言い、迎えの馬車に乗っていった。
そして、居なくなって、俺は気付いた、俺は叶わぬ恋心をミサ姉さんに抱いていたんだ、と。
0
お気に入りに追加
198
あなたにおすすめの小説

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m


婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています

城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?
甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。
友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。
マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に……
そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり……
武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語

酒呑童子 遥かなる転生の果てに
小狐丸
ファンタジー
時は8世紀頃、一人の絶世の美少年がいた。
鍛冶屋の息子として産まれ、母の胎内に十六ヶ月過ごし、産まれた時には髪の毛も歯も生え揃い、四歳の頃には大人の知力と体力を身に付け、その才覚から鬼子と呼ばれ六歳に母から捨てられ各地を流浪した。やがて丹波国と山城国の国境にたどり着き、酒呑童子と呼ばれるようになる。
源頼光と四天王により退治されて後、彼は何度も転生する事になる。それは皮肉にも邪鬼を滅する事を強いられた人生。
そして平成の世にも転生を果たす。
そこから始まる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる