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学園パロ
小学校の先生になりたがるK先生
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「……小学校の先生になりたかったなぁ……子供に囲まれたい……」
下校途中、夕暮れの公園で砂遊びをしている子供たちを見つめながらKが愛おしそうに呟いた。
K先生と一緒に下校していたLとBが、その発言を聞いて凍りつく。Rは無反応だった。
Kのいろいろな事情を知らない者が聞いたら「ロリコン?」と、思われて仕方ないレベルの危ない発言である。周りに人がいなくてよかった、とBとLは思った。
「……ほら、見て下さいよ。砂ごときであんな楽しそうに遊んで……純粋ですよねぇ……」
「それを言うなら、この前、学校の砂場で目の前にいる子供と同じように山を作って遊んでいたK先生も、純粋な子供のようでしたよぉ?」
と、Bは思っただけだったが、LはがっつりとKに向かって発言した。
Kたちの学校の砂場は幅飛び等の体育用に設置されているもので、幼稚な砂遊び用のものではなかった。
しかし、Kは「砂だ~」と、無邪気に山を作ったり泥団子をこねて遊んだりしていた(Rも淡々とした顔で付き合って遊んでいた)。
「……え? そうでしたっけ?」
「そうでしたよぉ」
Kのきょとんとした顔を見て、Lが苦笑する。
Kは再度、無邪気な子供たちの方に視線を戻した。子供たちは砂山にトンネルを掘っていた。
「本当に、純粋でいいですよねぇ。見ているだけで僕の汚れた心も身体も洗われるようで………………うぇっ」
感極まったKがボロリと涙を流した。3人が驚く。
「ちょ、ちょちょちょ!? どした、K!」
Bが慌ててKをフォローする。Rは、黙ったままKにハンカチを渡した。Kも自然にそのハンカチを受け取る。
「だ、だって、なんか……いいなぁ、って……。僕、あれくらいの年の時はもうあの、アレ、あいつにだっ、抱かっ……腕折られたりっ……」
Rから受け取ったハンカチを両目にがっつり当てながら、忌まわしき過去を思い出したKがむせび泣く。
BとLはオロオロと戸惑いながら、とりあえず「大丈夫大丈夫」と、こんな浅くて薄っぺらな言葉しか言えない自分達を恨みつつもKをあやした。Rは悲痛な表情を浮かべながら、ただKの横に黙って立っていた。
Kが「すみません、すみません」と、謝りながら泣くのをやめようとしていると「お兄ちゃん、大丈夫?」と、幼い声がした。
4人が声のした方を見てみると、そこには先程まで砂場で遊んでいた子供たちがいた。
「どこか痛いの?」子供の1人が問う。
「……え、いや……」
面食らったKが涙でぐしゃぐしゃの顔を上げる。
「アメあげるよぉ」
子供が、Kに個包装されたアメを渡した。
「ばんそうこう、貼ってあげる。痛いのどこ?」
「明日の給食の事を考えると、痛いのなくなるよー」
次々に子供たちから子供なりに励まされたKは一瞬表情が固まったが、しばらくするとまた先程までの沈痛な面持ちに徐々に戻っていき、またぼろぼろと泣き出してしまった。
「──はい! このお兄さんは、よいこの皆の優しさが嬉しすぎて、また泣いてしまいました! もうっ! 皆、オトナを泣かせちゃダメだぞぉ☆」
Kが子供たちの純粋さに悶絶死させられる、と思ったBはKと子供たちの間にとっさに元気良く割り込んだ。
「お前らがキラキラしすぎてて、うちのKがボロボロじゃねぇか。どうしてくれるんだ」
K以外は全て「どうでもいい」と感じているRが、子供にすら容赦ない言葉を浴びせたが、途中でBが「ほぉんと皆、ありがとね~!」と、言葉を遮る。
子供たちの優しさにやられ、今にも崩れ落ちて泣きじゃくりそうなKを、3人は強制連行して、その場を後にした。
残された子供たちは「オトナも、痛いとあんなに泣くんだねぇ……」と、K達の背中が見えなくなるまで、Kに同情した。
下校途中、夕暮れの公園で砂遊びをしている子供たちを見つめながらKが愛おしそうに呟いた。
K先生と一緒に下校していたLとBが、その発言を聞いて凍りつく。Rは無反応だった。
Kのいろいろな事情を知らない者が聞いたら「ロリコン?」と、思われて仕方ないレベルの危ない発言である。周りに人がいなくてよかった、とBとLは思った。
「……ほら、見て下さいよ。砂ごときであんな楽しそうに遊んで……純粋ですよねぇ……」
「それを言うなら、この前、学校の砂場で目の前にいる子供と同じように山を作って遊んでいたK先生も、純粋な子供のようでしたよぉ?」
と、Bは思っただけだったが、LはがっつりとKに向かって発言した。
Kたちの学校の砂場は幅飛び等の体育用に設置されているもので、幼稚な砂遊び用のものではなかった。
しかし、Kは「砂だ~」と、無邪気に山を作ったり泥団子をこねて遊んだりしていた(Rも淡々とした顔で付き合って遊んでいた)。
「……え? そうでしたっけ?」
「そうでしたよぉ」
Kのきょとんとした顔を見て、Lが苦笑する。
Kは再度、無邪気な子供たちの方に視線を戻した。子供たちは砂山にトンネルを掘っていた。
「本当に、純粋でいいですよねぇ。見ているだけで僕の汚れた心も身体も洗われるようで………………うぇっ」
感極まったKがボロリと涙を流した。3人が驚く。
「ちょ、ちょちょちょ!? どした、K!」
Bが慌ててKをフォローする。Rは、黙ったままKにハンカチを渡した。Kも自然にそのハンカチを受け取る。
「だ、だって、なんか……いいなぁ、って……。僕、あれくらいの年の時はもうあの、アレ、あいつにだっ、抱かっ……腕折られたりっ……」
Rから受け取ったハンカチを両目にがっつり当てながら、忌まわしき過去を思い出したKがむせび泣く。
BとLはオロオロと戸惑いながら、とりあえず「大丈夫大丈夫」と、こんな浅くて薄っぺらな言葉しか言えない自分達を恨みつつもKをあやした。Rは悲痛な表情を浮かべながら、ただKの横に黙って立っていた。
Kが「すみません、すみません」と、謝りながら泣くのをやめようとしていると「お兄ちゃん、大丈夫?」と、幼い声がした。
4人が声のした方を見てみると、そこには先程まで砂場で遊んでいた子供たちがいた。
「どこか痛いの?」子供の1人が問う。
「……え、いや……」
面食らったKが涙でぐしゃぐしゃの顔を上げる。
「アメあげるよぉ」
子供が、Kに個包装されたアメを渡した。
「ばんそうこう、貼ってあげる。痛いのどこ?」
「明日の給食の事を考えると、痛いのなくなるよー」
次々に子供たちから子供なりに励まされたKは一瞬表情が固まったが、しばらくするとまた先程までの沈痛な面持ちに徐々に戻っていき、またぼろぼろと泣き出してしまった。
「──はい! このお兄さんは、よいこの皆の優しさが嬉しすぎて、また泣いてしまいました! もうっ! 皆、オトナを泣かせちゃダメだぞぉ☆」
Kが子供たちの純粋さに悶絶死させられる、と思ったBはKと子供たちの間にとっさに元気良く割り込んだ。
「お前らがキラキラしすぎてて、うちのKがボロボロじゃねぇか。どうしてくれるんだ」
K以外は全て「どうでもいい」と感じているRが、子供にすら容赦ない言葉を浴びせたが、途中でBが「ほぉんと皆、ありがとね~!」と、言葉を遮る。
子供たちの優しさにやられ、今にも崩れ落ちて泣きじゃくりそうなKを、3人は強制連行して、その場を後にした。
残された子供たちは「オトナも、痛いとあんなに泣くんだねぇ……」と、K達の背中が見えなくなるまで、Kに同情した。
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