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第40話 相談

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 何やら領地がとんでもないことになっているとライナンさんからの情報で知った俺は、早速その件のさらなる詳細を求めて夕食後に父上の書斎を訪ねる。

「父上、少しよろしいでしょうか」
「アズベルか? 入りなさい」

 心なしか、父上の声にいつものハリがないような気がした。
 これもすべては例の土砂崩れが招いているのかと心配しつつ入室。父上は愛用している執務机に肘を置き、頬杖をついて書類に目を通している最中だった。どこからどう見ても激務の真っ最中だな。

 それでも息子のために時間を作ってくれたのは素直に嬉しい。
 忙しければ「あとにしてくれ」と断ることだってできたわけだし。

「何かあったのか?」
「交易路で発生した土砂崩れの件ですが」
「っ! ……誰に聞いたのか、大方予想はつく――が、おまえは何も気にしなくていい」
「それについてなんですが、ひとつ提案があります」
「提案?」

 俺はライナンさんから借りた地図を執務机の上に広げて提案の内容を口にした。
 ピクニックの際に思いついた、湖を渡る船を生産魔法で作りだすというものだ。

「ほぉ……可能なのか?」
「まだ試していないので何とも言えませんが、これまでの実績からして可能だと思います」

 冷蔵庫や魔銃といった、前世の知識を生かして作りだしたアイテムの数々。今回の船づくりもそれを応用すれば可能だと俺は睨んでいた。

「……そうだな。情けない話だが、今のところ打つ手なしというのが現状だ。こちらはこちらで動くから、おまえも自分の思う通りにやってみろ」
「は、はい!」

 父上から了承は得られた。
 しかし、確実性があるわけじゃないので、土砂の撤去作業も進めていくという。俺としてもそうしてくれていた方がプレッシャーがいくらか和らぐのでありがたい。

「そちらにはイルデにも協力をお願いしておくといいだろう」
「イルデさんに?」
「あいつもあれでこの地方のことをよく考えてくれている。きっとおまえの力になってくれるはずだ」
「分かりました。明日早速話を持っていきます」

 イルデさんって、父上から凄く信頼されているんだな。
 古くからこの屋敷に勤めているメイド長の話では、先代の頃から今の見た目で何かと協力してくれていたらしいし、もっとずっと前の代からいたんだろうな。その頃の領主から恩義を感じるような出来事があって協力してくれているとか?

 ……なんか、興味が湧いてきたな。
 今回の件がひと段落ついたら聞いてみてもいいかも。

 俺は父上にお礼を言って部屋を出ると、OKが出たことをロミーナに伝えるため小走りに廊下を駆けていく。
 さあ、明日からまた忙しくなるぞ!
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