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第312話 霊峰ガンティアへの挑戦

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 ついにこの日がやってきた。

 ジェロム地方にやってきてどれくらい経つか……大体一年くらいかな。
 その間、常に俺たちを見守るようにそびえ立っていた霊峰ガンティア。

 ずっと見上げるしかなかったその頂上へと向かうため、俺たちはありったけの荷物をマックへと乗せて転移魔方陣へと移動。

 シルヴィア、ダイールさん、レオニーさん、フィーネ、フルズさん、マクシムさん、オティエノさん、ディランさん――今編成できる最高のメンバーで挑む。

「気をつけてくださいね」
「みんな無事に帰ってきてよ!」
「待っていますからね!」

 テスラさん、エイーダ、ジャーミウさん、そして村で唯一の書店を経営するユリアーネ、職人のデルガドさん、考古学者のカナンさん、教師のコリーヌさんなどなど……この村で暮らしているすべての人が見送りに来てくれた。

 彼女たちだけじゃない。

 ムデル族の長であるハミードさんとスタルプ、メノンのふたり、さらに山猫の獣人族でディランさんの妹であるコルミナも駆けつけくれた。

「す、凄い数だな」
「まさかここまで集まってくれるなんて……」

 俺とシルヴィアは目の前の光景に感動すら覚える。
 気がつけば、アダム村にはとんでもない数の人で溢れていたからだ。
 そのすべてが、このジェロム地方へと移り住んでから知り合った人たちばかり。

 ……アインレット家のボロ屋敷で暮らしたままだったら、きっとこれだけの人には出会えなかっただろうな。
 やっぱり、あの時の決断は間違いじゃなかった。
 今のアダム村の賑わいを見ていると、純粋にそう思えるよ。

 俺たちは出発の挨拶を交わしてから、転移魔方陣で山の中腹へと移動する。
 
「凄いな。ここにこんな村を作っていたとは」
「お、驚きだね……」

 初めてこの村を訪れるディランさんとオティエノさんはかなり驚いていた。
 村と言っても、まだ正式に移住している人はいないので、無人状態ではある。これから少しずつ、こちらへ移り住む人を募集していかないとな。

 一方、村の存在を知っていたフルズさんやマクシムさんの関心は一気に距離の縮まった山頂へと注がれていた。

「分かってはいたことだが……さすがにここまで来ると迫力が違うな」
「ですね……」

 ふたりは霊峰ガンティアの迫力に押されているようだ。

 幸いにも雪は降っていないが、山の天候はいつ変わるか分からない。
 とりあえず拠点予定としている家に移動するとしようか。
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