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第270話 クラスメイト
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いよいよ、これから一週間お世話になる教室へとやってきた。
アンジェラ先生曰く、すでに学生たちへは連絡済みであり、みんな楽しみにしているとのことだが……それでも、なんだか緊張するな。
気持ちを落ち着けている間に、アンジェラ先生が教室へと入り、体験入学の件を話して俺たちに教室へ入るよう呼びかける。
それに応じる形で、俺とシルヴィアは室内へ。
さすがにワッと歓声があがるようなことはなかったが、明らかに学生たちはソワソワしている。楽しみにしていたというのは本当らしいな。
クラスの人数は大体三十人前後といった感じか。
ちなみに、俺たちは年齢から一年生クラスに割り当てられており、ここの他にあとふたつクラスが存在しているらしい。
「それでは、ふたりに自己紹介をしてもらいましょう」
アンジェラ先生に促されて、まずは俺から。
「ロ、ロイス・アインレットです。よろしくお願いします」
「シ、シルヴィア・フォン・ラクロワです。よろしくお願いします」
ガチガチに緊張している俺たちは無難な自己紹介で終わる。
な、何か、もっとインパクトがあった方がよかっただろうか。
あまりに何もないと、それはそれで周りも反応に困ってしまうのではないか。
そんなよく分からない心配をしていたのだが――
「ねぇねぇ、ジェロム地方ってどんなところ?」
「人は何人くらいいるの?」
「霊峰ガンティアって教科書の挿絵でしか見たことないんだけど、やっぱり大きいの?」
休み時間に入ると、俺たちはすぐさま質問攻めにあった。
対応は大変だけど……誰にも声をかけられないよりかはずっとマシだ。ジェロム地方のいいPRにもなるしね。
――ただ、
「ふたりは婚約者同士って聞いたんだけど……どうなの?」
この手の質問だけは答えづらい。
いや、堂々と「はい。結婚を前提としています」って言っちゃえばいいんだけどさ。シルヴィアはその辺をどう思っているのか。
「た、確かに、私とロイスは婚約者同士だ」
お?
ハッキリと宣言したか。
「っ! じゃ、じゃあ、将来は結婚するのね!」
「あ、あぁ、そのつもりでいる」
シルヴィアがそう口にすると、女子たちから「キャー!」と歓声があがった。やっぱり、この年頃の女の子っていうのは、その手の話題が大好物だよねぇ。当のシルヴィアは周りの反応に困惑しているみたいだったけど。
一方、俺は俺で男子学生から質問を受ける。
そのほとんどがジェロム地方に関することであったが、時折、それとなくビシェル兄さんやキャロライン姉さんについても尋ねてきた。
ふたりとも、この学園ではレジェンド学生って扱いだから、家での様子とか気になるところもあるのだろう。
しかし、俺がアインレット家から半ば勘当に近い形で追いだされたと聞いているのか、みんなどこか遠慮がちだった。俺としてはビシェル兄さんはともかく、少なくともキャロライン姉さんとは和解を果たしているため、あまり気にしないんだけどな。
ともかく、俺もシルヴィアもクラスメイトたちに歓迎されているようで何よりだ。
これから一週間、ここでしっかり学ばせてもらうとしよう。
アンジェラ先生曰く、すでに学生たちへは連絡済みであり、みんな楽しみにしているとのことだが……それでも、なんだか緊張するな。
気持ちを落ち着けている間に、アンジェラ先生が教室へと入り、体験入学の件を話して俺たちに教室へ入るよう呼びかける。
それに応じる形で、俺とシルヴィアは室内へ。
さすがにワッと歓声があがるようなことはなかったが、明らかに学生たちはソワソワしている。楽しみにしていたというのは本当らしいな。
クラスの人数は大体三十人前後といった感じか。
ちなみに、俺たちは年齢から一年生クラスに割り当てられており、ここの他にあとふたつクラスが存在しているらしい。
「それでは、ふたりに自己紹介をしてもらいましょう」
アンジェラ先生に促されて、まずは俺から。
「ロ、ロイス・アインレットです。よろしくお願いします」
「シ、シルヴィア・フォン・ラクロワです。よろしくお願いします」
ガチガチに緊張している俺たちは無難な自己紹介で終わる。
な、何か、もっとインパクトがあった方がよかっただろうか。
あまりに何もないと、それはそれで周りも反応に困ってしまうのではないか。
そんなよく分からない心配をしていたのだが――
「ねぇねぇ、ジェロム地方ってどんなところ?」
「人は何人くらいいるの?」
「霊峰ガンティアって教科書の挿絵でしか見たことないんだけど、やっぱり大きいの?」
休み時間に入ると、俺たちはすぐさま質問攻めにあった。
対応は大変だけど……誰にも声をかけられないよりかはずっとマシだ。ジェロム地方のいいPRにもなるしね。
――ただ、
「ふたりは婚約者同士って聞いたんだけど……どうなの?」
この手の質問だけは答えづらい。
いや、堂々と「はい。結婚を前提としています」って言っちゃえばいいんだけどさ。シルヴィアはその辺をどう思っているのか。
「た、確かに、私とロイスは婚約者同士だ」
お?
ハッキリと宣言したか。
「っ! じゃ、じゃあ、将来は結婚するのね!」
「あ、あぁ、そのつもりでいる」
シルヴィアがそう口にすると、女子たちから「キャー!」と歓声があがった。やっぱり、この年頃の女の子っていうのは、その手の話題が大好物だよねぇ。当のシルヴィアは周りの反応に困惑しているみたいだったけど。
一方、俺は俺で男子学生から質問を受ける。
そのほとんどがジェロム地方に関することであったが、時折、それとなくビシェル兄さんやキャロライン姉さんについても尋ねてきた。
ふたりとも、この学園ではレジェンド学生って扱いだから、家での様子とか気になるところもあるのだろう。
しかし、俺がアインレット家から半ば勘当に近い形で追いだされたと聞いているのか、みんなどこか遠慮がちだった。俺としてはビシェル兄さんはともかく、少なくともキャロライン姉さんとは和解を果たしているため、あまり気にしないんだけどな。
ともかく、俺もシルヴィアもクラスメイトたちに歓迎されているようで何よりだ。
これから一週間、ここでしっかり学ばせてもらうとしよう。
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