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第254話 深夜の戦い
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すっかり雨も上がり、夜空には月や星まで見えるまで天候は回復していた。
そんな夜の荒野に姿を現した地属性魔法使い。
こちらの作戦を読んでいたというのか……馬車の外へ出ると、合流予定だった自警団の兵士たちが倒れていた。みんな死んではいないようだが、これ以上の戦闘続行は不可能な状態となっている。
「フィーネを渡してもらおう」
地属性魔法使いの男は低い声で俺とダイールさんにそう告げた。
「嫌だと言ったら?」
「分かりきった質問をするな」
殺してでも奪い取る――そんな凶悪性がにじみ出る声色だった。それほど、彼らにとってフィーネの存在とは大きいものなのだろう。
「さっさと寄越せ」
こちらからの返答がないことに苛立ちを覚えたのか、男の全身を覆う魔力に変化が見られた。
まるで湯気のように立ち上る魔力。
対して、こちらも魔法で応戦しようと構える。
「ほぉ……噂の無属性魔法使いが、勇敢にも立ち向かうか」
余裕がうかがえる表情でこちらを見つめる男。
次の瞬間――男の表情が突然曇った。
「えっ?」
何が起きたのかと動揺していたら、どこからともなく矢が飛んできて男の足元に突き刺さる。まるで、ヤツの動きを牽制しているような攻撃だ。
ということは……あの矢を放ったのは俺たちの味方?
しかし、自警団は全滅のようなのに――
「ロイス! 助けに来たよ!」
さらに俺を困惑させたのは、よく聞いた女性の声だった。
こ、この声って……
「オ、オティエノさん!?」
「なんだか嫌な予感がして心配だったから迎えに来たんだけど……正解だったみたいだね!」
ムデル族のオティエノさんだった。
さらに、この場へ駆けつけてくれたのは彼女だけじゃない。
「おらぁ!」
地属性魔法使いの男へ格闘戦を挑んだのは、山猫の獣人族の新しいリーダーであるディランさんだった。
「ディ、ディランさんまで!」
「ムデル族の娘に無理やり連れ出されて来てみれば……随分と厄介なトラブルに巻き込まれているようだな、領主殿よぉ」
オティエノさんが何かを感じ取って?
それって――いや、今はそれより、この窮地を脱することを先決する!
「ちっ……増援か」
「っ! 逃がすか!」
俺は咄嗟に重力魔法で男の身動きを封じる。
「しまっ――」
言い終えるよりも先に、今度は拘束魔法で畳みかける。男が突然の乱入者で平静を乱した隙を逃さず、あっという間に体と魔力の自由を奪い取った。
「やりましたな!」
「うん……これでひと安心だ」
俺たちは動ける兵士数人にバーロンへと向かい、地属性魔法の男を捕えた一報をテレイザさんや自警団に知らせるよう伝える。
これでさらに増援が来れば問題ない。
とりあえず、大事に至らなかったことでホッと胸をなで下ろすが……まだ黒幕のブラックが残っている。
ヤツを捕まえられるかが、最大のキーポイントとなりそうだ。
そんな夜の荒野に姿を現した地属性魔法使い。
こちらの作戦を読んでいたというのか……馬車の外へ出ると、合流予定だった自警団の兵士たちが倒れていた。みんな死んではいないようだが、これ以上の戦闘続行は不可能な状態となっている。
「フィーネを渡してもらおう」
地属性魔法使いの男は低い声で俺とダイールさんにそう告げた。
「嫌だと言ったら?」
「分かりきった質問をするな」
殺してでも奪い取る――そんな凶悪性がにじみ出る声色だった。それほど、彼らにとってフィーネの存在とは大きいものなのだろう。
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まるで湯気のように立ち上る魔力。
対して、こちらも魔法で応戦しようと構える。
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次の瞬間――男の表情が突然曇った。
「えっ?」
何が起きたのかと動揺していたら、どこからともなく矢が飛んできて男の足元に突き刺さる。まるで、ヤツの動きを牽制しているような攻撃だ。
ということは……あの矢を放ったのは俺たちの味方?
しかし、自警団は全滅のようなのに――
「ロイス! 助けに来たよ!」
さらに俺を困惑させたのは、よく聞いた女性の声だった。
こ、この声って……
「オ、オティエノさん!?」
「なんだか嫌な予感がして心配だったから迎えに来たんだけど……正解だったみたいだね!」
ムデル族のオティエノさんだった。
さらに、この場へ駆けつけてくれたのは彼女だけじゃない。
「おらぁ!」
地属性魔法使いの男へ格闘戦を挑んだのは、山猫の獣人族の新しいリーダーであるディランさんだった。
「ディ、ディランさんまで!」
「ムデル族の娘に無理やり連れ出されて来てみれば……随分と厄介なトラブルに巻き込まれているようだな、領主殿よぉ」
オティエノさんが何かを感じ取って?
それって――いや、今はそれより、この窮地を脱することを先決する!
「ちっ……増援か」
「っ! 逃がすか!」
俺は咄嗟に重力魔法で男の身動きを封じる。
「しまっ――」
言い終えるよりも先に、今度は拘束魔法で畳みかける。男が突然の乱入者で平静を乱した隙を逃さず、あっという間に体と魔力の自由を奪い取った。
「やりましたな!」
「うん……これでひと安心だ」
俺たちは動ける兵士数人にバーロンへと向かい、地属性魔法の男を捕えた一報をテレイザさんや自警団に知らせるよう伝える。
これでさらに増援が来れば問題ない。
とりあえず、大事に至らなかったことでホッと胸をなで下ろすが……まだ黒幕のブラックが残っている。
ヤツを捕まえられるかが、最大のキーポイントとなりそうだ。
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