無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす～でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます～

連載

第１４５話 クウタからの知らせ

「バーツさん！」

　俺を発見すると、大慌てでこちらの肩まで飛んでくるクウタ。
　その様子は取り乱しているようにも見える。
　シロン、クロスと契約する前に連れていた三体の魔獣の中でもっとも冷静かつ頭のキレるクウタがここまで取り乱すなんて……どうやら、相当な事態が発生していると見て間違いなさそうだ。

「どうしたんだ、クウタ。そんなに慌てて」
「実はみなさんが旅立たれた後で状況が大きく変わりまして……ラングトン騎士団長から緊急のメッセージを預かってきたんです」
「ラ、ラングトンから？」

　まさか騎士団のトップからメッセージが届くなんて。
　ただ、さっきクウタが口にした「状況が大きく変わりまして」という言葉が気になる。おまけにそれが起きたのは俺たちがセラノスを発ってからだという。

「それで、ラングトン騎士団長はなんて言っていたの？」
「詳しく聞きたいですわね」

　気がつけば、ノエリーやミネットたちも前のめりになってクウタの話を聞こうと耳を澄ませていた。

「な、何かあったんですか？」
「まあな。……非常事態だよ」

　とりあえず、ここで起きた召喚術が使用できないという事態をクウタへと報告。
　すると、彼は驚きの声をあげた。

「も、もうここまで影響が出ているなんて」
「影響？　もしかして、ラングトンの伝えたいというメッセージというのは――」
「まさにこの状況の元凶と思われる事態です」

　クウタの言葉に、全員が顔を見合わせて続きを待った。

「今現在……このセラノスを中心に魔力が大きく乱れている現象が確認されています」
「魔力が乱れている？」
「はい。魔法兵団の魔法使いたちが今朝から騒がしくしていて、話を聞く限りどうもうまく魔法を制御できなくなっているようなんです」
「なるほど。それで調子が悪かったんですね」
「っ！　メイ！」
　
　現れたのは召喚術が使えない理由を調査しているメイだった。

「魔力が乱れている影響でうまく召喚できなったみたいです」
「なんてことだ……じゃあ、パートナー魔獣を呼び出せないのか」

　顔を強張らせながら呟いたのはティオグだった。

　しかし、これからどうすべきか。
　とりあえず魔力が乱れている原因を探るとしようか。