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第132話 危険な町の裏事情

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 俺たちを取り囲んでいた男たちは撤退。
 こちらの正体を明かし、彼らの黒幕を捕まえる――この町の淀んだ空気を改善させるにはそれが一番だ。
 その場で待っていると、先ほどの男が戻ってきた。

「こっちだ。ついてきてくれ」

 どうやら、俺を他の仲間たちの場所へ案内してくれるらしい。もちろん、念のために同行者としてクロスとタマを指名。シロンとクウタは女の子の護衛として残しておく。
 男はジャンと名乗り、俺も自分の名前を告げる。
 だが、肝心の役職に関してはまだ伏せておいた。
 それでまた態度を変えられてしまってはよろしくないし、逆に向こうが何かを隠そうとしてしまうかもしれない。こういう名前は大きければ大きいほど、いい意味でも悪い意味でも影響を与えやすいからな。

 連れてこられた場所は路地裏にある酒場だった。
 いかにも悪党がたむろしていそうな空気が漂っているけど――ってためらったのはほんの一瞬だった。何せ、この町はどこを切り取っても悪党しかいなさそうな雰囲気なのだ。今さらこんな路地裏の酒場に連れてこられてもって感じだな。

 あとは、やっぱりクロスとタマの存在が大きかった。
 特にクロスは見た目のインパクトが絶大。
 タマは移動しやすいように小さくなっているが、体の大きさを変えられないクロスは普段通りのまま。その効果もあり、酒場に入った瞬間に周りの強面たちが一斉にこちらへと視線を送ってきたが、クロスを見た途端すぐにそれをそらした。

「さすがだな、クロス」
「誉め言葉として受け取っても大丈夫っすかね?」
「もちろんだ。頼もしいパートナーがいて俺も鼻が高いよ」
「っ! そ、そうっすか? いやぁ、旦那にそう言ってもらえると魔獣冥利に尽きるってもんすよ!」

 少し褒めただけでテンションが上がりまくるクロス。
 お調子者というかなんというか……周りの男たちも「こいつ人間の言葉が話せるのか!?」って顔つきに変わっている。それでも「かかわらないでおこう」という姿勢自体に変化はないのだろうが。

 しかし、今回はかかわってきてもらわなくちゃ困るのだ。
 彼らならばきっとこの町をこんな雰囲気にしてしまっている黒幕の正体について知っているだろうからな。

「みんな、ちょっと聞いてくれ」

 ジャンは周りの男たちへ話しかける。

「どうか大声をあげず、静かに耳を傾けてもらいたいんだが……もしかしたら長年俺たちを苦しめてきた呪縛から解放されるかもしれん」

 そう語ると、周りの目の色がガラッと変わる。
 ……これは相当根深いものがありそうだぞ。
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