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第135話 合流
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ミミューの魔法によってアキノたちが近くにいると発覚。
周辺を調べていたら、
「あっ! ウィルム!」
こちらに気づいて声をあげたのはアキノやリディアたちと一緒に先行しているソニルであった。
「ソニル、無事だったか」
「もちろん! あっ、でも、ちょっと厄介な事態かも?」
「えっ?」
ソニルの口から語られる、何やら不穏な言葉。よく見ると、最初にダンジョンへ入っていったメンバーよりも数が少ないし、何よりアキノとリディアがいない。これは何が起きたのか聞かなくては。
「な、なあ、ソニル、アキノ――」
「アキノはどこにいるの?」
俺を押しのける形で前に出たのはエリさんだった。
普段は娘のアキノに対して厳しい態度をとっているのだが、そこはやはり家族。娘に危機が迫っていると察して大人しくはしていられなかったようだ。
そのあまりのド迫力に、あのいつも元気なソニルが固まってしまっている。武装した兵士たちが百人揃っていても平常心を保てる彼女がここまで動揺するとは。さすがは《月光》のリーダーだな。
――けど、今のままではソニルから情報を聞くのは難しいか。
エリさんの気持ちは痛いほど分かるけど、ここは抑えてもらおう。
とりあえず、エリさんを落ち着かせてから改めて話を聞くことに。
「実は、ダンジョンを探索中に別れてしまって」
「そんなに難しいダンジョンだったのか?」
ソニルを怯えさせないよう静かに笑顔で尋ねるエリさん――だけど、無理をしているのは明らかだった。ただ、ソニルはエリさんがアキノの母親だと知った途端に恐怖心が薄れたのか、今度は普通に状況を語り始めた。
「このダンジョン……ちょっとおかしいの」
「おかしい?」
「おかしくないダンジョンの方が少ない。それに、アキノはさまざまなダンジョンで修行を積んできた。あの子が対応できないとは思えないが……」
エリさんも首を傾げる異常事態。
このダンジョン――想像以上に厄介なのかも。
周辺を調べていたら、
「あっ! ウィルム!」
こちらに気づいて声をあげたのはアキノやリディアたちと一緒に先行しているソニルであった。
「ソニル、無事だったか」
「もちろん! あっ、でも、ちょっと厄介な事態かも?」
「えっ?」
ソニルの口から語られる、何やら不穏な言葉。よく見ると、最初にダンジョンへ入っていったメンバーよりも数が少ないし、何よりアキノとリディアがいない。これは何が起きたのか聞かなくては。
「な、なあ、ソニル、アキノ――」
「アキノはどこにいるの?」
俺を押しのける形で前に出たのはエリさんだった。
普段は娘のアキノに対して厳しい態度をとっているのだが、そこはやはり家族。娘に危機が迫っていると察して大人しくはしていられなかったようだ。
そのあまりのド迫力に、あのいつも元気なソニルが固まってしまっている。武装した兵士たちが百人揃っていても平常心を保てる彼女がここまで動揺するとは。さすがは《月光》のリーダーだな。
――けど、今のままではソニルから情報を聞くのは難しいか。
エリさんの気持ちは痛いほど分かるけど、ここは抑えてもらおう。
とりあえず、エリさんを落ち着かせてから改めて話を聞くことに。
「実は、ダンジョンを探索中に別れてしまって」
「そんなに難しいダンジョンだったのか?」
ソニルを怯えさせないよう静かに笑顔で尋ねるエリさん――だけど、無理をしているのは明らかだった。ただ、ソニルはエリさんがアキノの母親だと知った途端に恐怖心が薄れたのか、今度は普通に状況を語り始めた。
「このダンジョン……ちょっとおかしいの」
「おかしい?」
「おかしくないダンジョンの方が少ない。それに、アキノはさまざまなダンジョンで修行を積んできた。あの子が対応できないとは思えないが……」
エリさんも首を傾げる異常事態。
このダンジョン――想像以上に厄介なのかも。
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