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第63話 魔境包囲網
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魔境の外に展開する謎の軍勢。
その存在を教えてくれたエクルド王国の騎士から、さらに詳しい情報をもらい、総合的に判断した結果――やはり、グローム王国の兵力である可能性が極めて高いと見るのが自然なのかな。
……思い出せ。
俺はこの世界の生みの親のひとり。
グローム王国に関する資料だって目を通していたはずだし、企画会議の議題にもあげられていた。
このままグロームの軍勢と魔境組が正面衝突したら……こちらに勝ち目はあるだろうか。
アルは協力してくれるだろうが、パーディやゾウィルは微妙なところだ。
となると、今の魔境組の戦力では太刀打ちできそうにない。竜玉の指輪があったとしても難しいか。
「エ、エルカ様……」
「エルカ……」
リリアンやアルからも不安げな声が漏れる。
まあ、この状況で焦らない方がどうかしているか。
ただ、こちらにはリドウィン王国の貴族であるイベーラも滞在している。あちらが不用意に手を出せば、エクルドだけでなくリドウィンとの関係も悪化するのは間違いない。
可能性としては、情報を集めきれていない状態で攻めてきたって言うものがあるけど……そんな迂闊な行動をとるだろうか。
ただ、よほど焦っているという状況の裏返しとも取れるな。
――っと、今はそんな細かいことを考えている場合じゃない。
「ヤツらがこちら側に敵対行動をとるのは間違いなさそうだな……そうなったら、こちらも迎撃態勢を取るしかない」
「そうですね……それしかないですよね」
リリアンは覚悟を決めたように、静かなんだけど力がこもった声で言う。
あれだけの軍勢を相手にどこまで戦えるのか分からないが、このまま黙って侵攻を許すわけにもいかない。
「すぐに対策を練ろう。あなたも来てください」
「わ、分かりました。――あっ! 申し遅れました! 私はエクルドの騎士でロットンといいます」
軽く自己紹介を済ませてから、俺たちは一度魔境村へ戻ることにした。
――が、さすがにこのまま放っておくと敵の動きが分からなくなるため、アルにはこの場に残ってもらうことに。相手に何か動きがあれば、すぐに村へ知らせにきてもらう手筈を整えてから帰還した。
村へ戻ると、早速みんなを集めて話し合いを始める。
グローム王国であると確定したわけではないが、実際にグロームから移住してきた者たちは皆口を揃えて「グロームで間違いないだろう」と断言する。
「タイラス王子が裏で糸を引いているに違いない」
「パジル枢機卿も絡んでいるだろうな」
「恐らく、国王には内密にしたまま進めているのだろう」
次々と浮上する疑惑の数々。
やはり、聖女カタリナの神託がことごとく外れ、大きく信頼を損ねていることがよく分かるな。
しかし、そうなってくると相手は容赦しないだろう。
大国であるという利点を最大限に生かし、物量で押し切られることも十分に想定できた。
もちろん、戦争となったらそう単純に事が運ぶとも思えない。
あちらの計画は随分と杜撰なようだし、付け入る隙は必ず存在するだろう。
「頼む……みんなの知恵を貸してくれ」
俺は魔境村を守るため、みんなに頭を下げて案を募った。
すると、続々と作戦立案に加わる者が。
どうやら、みんなも俺と同じ――この魔境村を守ろうという強い気持ちを持ってくれているらしい。
これなら、きっとこの戦力差を跳ね返すことができるだろう。
その存在を教えてくれたエクルド王国の騎士から、さらに詳しい情報をもらい、総合的に判断した結果――やはり、グローム王国の兵力である可能性が極めて高いと見るのが自然なのかな。
……思い出せ。
俺はこの世界の生みの親のひとり。
グローム王国に関する資料だって目を通していたはずだし、企画会議の議題にもあげられていた。
このままグロームの軍勢と魔境組が正面衝突したら……こちらに勝ち目はあるだろうか。
アルは協力してくれるだろうが、パーディやゾウィルは微妙なところだ。
となると、今の魔境組の戦力では太刀打ちできそうにない。竜玉の指輪があったとしても難しいか。
「エ、エルカ様……」
「エルカ……」
リリアンやアルからも不安げな声が漏れる。
まあ、この状況で焦らない方がどうかしているか。
ただ、こちらにはリドウィン王国の貴族であるイベーラも滞在している。あちらが不用意に手を出せば、エクルドだけでなくリドウィンとの関係も悪化するのは間違いない。
可能性としては、情報を集めきれていない状態で攻めてきたって言うものがあるけど……そんな迂闊な行動をとるだろうか。
ただ、よほど焦っているという状況の裏返しとも取れるな。
――っと、今はそんな細かいことを考えている場合じゃない。
「ヤツらがこちら側に敵対行動をとるのは間違いなさそうだな……そうなったら、こちらも迎撃態勢を取るしかない」
「そうですね……それしかないですよね」
リリアンは覚悟を決めたように、静かなんだけど力がこもった声で言う。
あれだけの軍勢を相手にどこまで戦えるのか分からないが、このまま黙って侵攻を許すわけにもいかない。
「すぐに対策を練ろう。あなたも来てください」
「わ、分かりました。――あっ! 申し遅れました! 私はエクルドの騎士でロットンといいます」
軽く自己紹介を済ませてから、俺たちは一度魔境村へ戻ることにした。
――が、さすがにこのまま放っておくと敵の動きが分からなくなるため、アルにはこの場に残ってもらうことに。相手に何か動きがあれば、すぐに村へ知らせにきてもらう手筈を整えてから帰還した。
村へ戻ると、早速みんなを集めて話し合いを始める。
グローム王国であると確定したわけではないが、実際にグロームから移住してきた者たちは皆口を揃えて「グロームで間違いないだろう」と断言する。
「タイラス王子が裏で糸を引いているに違いない」
「パジル枢機卿も絡んでいるだろうな」
「恐らく、国王には内密にしたまま進めているのだろう」
次々と浮上する疑惑の数々。
やはり、聖女カタリナの神託がことごとく外れ、大きく信頼を損ねていることがよく分かるな。
しかし、そうなってくると相手は容赦しないだろう。
大国であるという利点を最大限に生かし、物量で押し切られることも十分に想定できた。
もちろん、戦争となったらそう単純に事が運ぶとも思えない。
あちらの計画は随分と杜撰なようだし、付け入る隙は必ず存在するだろう。
「頼む……みんなの知恵を貸してくれ」
俺は魔境村を守るため、みんなに頭を下げて案を募った。
すると、続々と作戦立案に加わる者が。
どうやら、みんなも俺と同じ――この魔境村を守ろうという強い気持ちを持ってくれているらしい。
これなら、きっとこの戦力差を跳ね返すことができるだろう。
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