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第21話 可能性を求めて
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大宴会から一夜明け、今日もそれぞれの仕事へ取り組んでいく。
俺とリリアンとアル、そしてリドウィン王国調査団の面々は、わずかな可能性を信じて魔鉱石が眠っているかもしれないダンジョンを目指す。
ちなみに、今回はモンスターが出現する可能性もあるため、メイドのヴィッキーはお留守番となった。
さらに、ダンジョン探しは時間がかかるだろうと想定し、外で寝るためのテントを用意しておいた。もしかしたら、野宿をする可能性もあるからな。
「うまく魔鉱石のあるダンジョンが見つかるといいんですが」
「エルカ様がここまで自信がないというのも珍しいですね」
「まあ、こういう日もあるさ」
「そんなにエルカさんの予言というのは的確なのですか?」
「素晴らしいです。まるで未来の光景を直に見てきたかのように言い当てますから」
「あははは……」
直に見てきたというより、俺はそうなるように仕組んだ開発陣のひとりだからな。
ただ、今回はこれまでと勝手が違う。
この魔境にあるダンジョンは、俺が開発にかかわっていた頃よりも実装される予定になっていた。
記憶によれば、アイテムの配置を決めるため、試験的にさまざまなアイテムを大量に仕込んでいる――あの状態のままだとしたら、魔境に存在する唯一のダンジョンはまさに宝物庫と呼べる状態と言って過言ではなかった。
それを見つけられたら、ここでの生活も大いに変化するな。
俺たちにとってもプラスになる。
肝心のダンジョンだが……捜索は難航した。
何せ、試験的に導入したものだったから、場所も正確に覚えていない。
テストプレイが終わり次第、会議にかけて正式な場所を決定し、告知をしていくつもりだったからな。
残された記憶を頼りに、それらしい場所を探っていくが……なかなか見つからなかった。
「やはり、ここにダンジョンはないのでしょうか……」
「いや、どこかに必ずあるはずだ」
メンバーに疲労の色が見え始める。
俺としても、これまでと違って完全に場所が特定できるわけじゃないので、少し焦りが出てくる。
何か、目印がなかっただろうか。
すがるような思いで辺りを見回してみる――と、
「あれは……」
視界に飛び込んできたのは、ひと際目立つ大木だった。広大な森の中で、あの木だけが飛び抜けて大きいのだ。さっきまでは特に気にならなかったが、冷静になってみると明らかに不自然であった。
そういえば……魔境のマップ担当をしている人たちの会話の中で、しきりにツリーという言葉が出てきていた。あれはてっきりこの魔境全体のことを指していると思っていたが……ひょっとして、テストダンジョンの場所を示すワードだったんじゃないか?
「……行ってみるか」
「今度はどちらへ?」
「あの大木の下だ」
「大木? ……確かに、こうして見るとかなり怪しいですね」
リリアンの言葉に、木陰で休んでいたイベーラたちも復活する。
「では、あそこにダンジョンが!?」
「恐らくは……場所さえハッキリ分かれば、あとから増援も呼べますし、改めて攻略に乗りだすこともできます」
今日に関しては、次がラストチャンスになるだろう。
俺たちは最後の力を振り絞るようにして、大木のもとへと向かった。
遠目からでもしっかりと場所が分かるというのが強みだな。
モンスターとの遭遇もなく、たどり着いたその場所には――俺たちが探し求めていたものがあった。
「あったぞ!」
最初に叫んだのは、調査団最年長メンバーであるゴーテルさんだった。
彼の指さす先には、ダンジョンの入口がまるでこの場へやってきた俺たちを飲み込もうとするかのように存在していた。
「ここがダンジョンの入口……この辺りは頻繁に足を運ぶことのない場所だったが、まさかこのようなものがあったとは」
アルも初めて見るというダンジョンの入口。
正直、ここもただ近くを通っただけでは見つけられないだろう。周りには茂みがあって遠くからは発見しづらい。最初からダンジョンを探す気で歩き回らないとたどり着くことはできないだろうな。
ともかく、ダンジョンはここで間違いない。
あとは中身がそのままであることを祈るのみだ。
とりあえず、俺たちはテントの設営を開始。
今日は調査している時間もなさそうだし、テント設営だけで夜になりそうだ。
「夕食の準備は私にお任せください」
そう言ったのは調査団に所属する女性メンバーのディエニだった。
彼女はもともと王家に仕える料理人の補佐をしているらしく、腕には自信があるらしい。
「さあ! 食材を!」
持参した調理器具を使い、料理を仕上げていく。さらに、同じく調査団のメンバーである魔法使いのサラが炎と水を駆使して彼女をサポートしていった。
こうして、人数分の料理はあっという間に完成。
同時に、今日の寝床も人数分確保することができた。
すべての準備が整う頃にはもうすっかり暗くなっており、腹も空いて絶好の夕食時を迎えることとなった。
昨日の大宴会は最高に盛り上がったけど、こうして少人数でやるディナーもそれはそれで楽しい。
改めてそれを感じさせてくれる夜になった。
俺とリリアンとアル、そしてリドウィン王国調査団の面々は、わずかな可能性を信じて魔鉱石が眠っているかもしれないダンジョンを目指す。
ちなみに、今回はモンスターが出現する可能性もあるため、メイドのヴィッキーはお留守番となった。
さらに、ダンジョン探しは時間がかかるだろうと想定し、外で寝るためのテントを用意しておいた。もしかしたら、野宿をする可能性もあるからな。
「うまく魔鉱石のあるダンジョンが見つかるといいんですが」
「エルカ様がここまで自信がないというのも珍しいですね」
「まあ、こういう日もあるさ」
「そんなにエルカさんの予言というのは的確なのですか?」
「素晴らしいです。まるで未来の光景を直に見てきたかのように言い当てますから」
「あははは……」
直に見てきたというより、俺はそうなるように仕組んだ開発陣のひとりだからな。
ただ、今回はこれまでと勝手が違う。
この魔境にあるダンジョンは、俺が開発にかかわっていた頃よりも実装される予定になっていた。
記憶によれば、アイテムの配置を決めるため、試験的にさまざまなアイテムを大量に仕込んでいる――あの状態のままだとしたら、魔境に存在する唯一のダンジョンはまさに宝物庫と呼べる状態と言って過言ではなかった。
それを見つけられたら、ここでの生活も大いに変化するな。
俺たちにとってもプラスになる。
肝心のダンジョンだが……捜索は難航した。
何せ、試験的に導入したものだったから、場所も正確に覚えていない。
テストプレイが終わり次第、会議にかけて正式な場所を決定し、告知をしていくつもりだったからな。
残された記憶を頼りに、それらしい場所を探っていくが……なかなか見つからなかった。
「やはり、ここにダンジョンはないのでしょうか……」
「いや、どこかに必ずあるはずだ」
メンバーに疲労の色が見え始める。
俺としても、これまでと違って完全に場所が特定できるわけじゃないので、少し焦りが出てくる。
何か、目印がなかっただろうか。
すがるような思いで辺りを見回してみる――と、
「あれは……」
視界に飛び込んできたのは、ひと際目立つ大木だった。広大な森の中で、あの木だけが飛び抜けて大きいのだ。さっきまでは特に気にならなかったが、冷静になってみると明らかに不自然であった。
そういえば……魔境のマップ担当をしている人たちの会話の中で、しきりにツリーという言葉が出てきていた。あれはてっきりこの魔境全体のことを指していると思っていたが……ひょっとして、テストダンジョンの場所を示すワードだったんじゃないか?
「……行ってみるか」
「今度はどちらへ?」
「あの大木の下だ」
「大木? ……確かに、こうして見るとかなり怪しいですね」
リリアンの言葉に、木陰で休んでいたイベーラたちも復活する。
「では、あそこにダンジョンが!?」
「恐らくは……場所さえハッキリ分かれば、あとから増援も呼べますし、改めて攻略に乗りだすこともできます」
今日に関しては、次がラストチャンスになるだろう。
俺たちは最後の力を振り絞るようにして、大木のもとへと向かった。
遠目からでもしっかりと場所が分かるというのが強みだな。
モンスターとの遭遇もなく、たどり着いたその場所には――俺たちが探し求めていたものがあった。
「あったぞ!」
最初に叫んだのは、調査団最年長メンバーであるゴーテルさんだった。
彼の指さす先には、ダンジョンの入口がまるでこの場へやってきた俺たちを飲み込もうとするかのように存在していた。
「ここがダンジョンの入口……この辺りは頻繁に足を運ぶことのない場所だったが、まさかこのようなものがあったとは」
アルも初めて見るというダンジョンの入口。
正直、ここもただ近くを通っただけでは見つけられないだろう。周りには茂みがあって遠くからは発見しづらい。最初からダンジョンを探す気で歩き回らないとたどり着くことはできないだろうな。
ともかく、ダンジョンはここで間違いない。
あとは中身がそのままであることを祈るのみだ。
とりあえず、俺たちはテントの設営を開始。
今日は調査している時間もなさそうだし、テント設営だけで夜になりそうだ。
「夕食の準備は私にお任せください」
そう言ったのは調査団に所属する女性メンバーのディエニだった。
彼女はもともと王家に仕える料理人の補佐をしているらしく、腕には自信があるらしい。
「さあ! 食材を!」
持参した調理器具を使い、料理を仕上げていく。さらに、同じく調査団のメンバーである魔法使いのサラが炎と水を駆使して彼女をサポートしていった。
こうして、人数分の料理はあっという間に完成。
同時に、今日の寝床も人数分確保することができた。
すべての準備が整う頃にはもうすっかり暗くなっており、腹も空いて絶好の夕食時を迎えることとなった。
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