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第146話 嵐のあとに
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嵐が上陸した翌日。
まるで昨日までの暴風雨が嘘だったかのようにラウシュ島は穏やかな陽気に包まれていた。
「やっと晴れた~!」
「長かったね~!」
ようやく鍛錬が再開できるようになり、パトリシアとイムは朝からご機嫌だった。
――が、対照的にご機嫌じゃないのは職人たちだ。
「被害状況の確認を急いでくれ!」
忙しなく職人たちに指示を飛ばしているのはターナーだ。思えば、この島で彼らが拠点地づくりに精を出してから昨日までのような嵐は初めてだったからな。どんなところに不具合が発生しているのか、チェックを急がせているようだ。
まあ、もともとこの辺りは天候が荒れやすいって話だからな。
こういった事態は今後も想定されるだろう。
雲ひとつない快晴でも、わずか数時間で嵐のように荒れ狂うとも言われていた。
エストラーダで生まれ育ったターナーはその辺の事情がバッチリ頭に入っていたため、事前にいろいろと対処をしていたらしく、今回のチェックは単純に損害だけでなくその成果を確認するという意味も込められているという。
昼までの時間を使って確認作業をした結果は――
「損害は軽微で、特に緊急の修繕を要するものはありません」
「それは何よりだ」
調査団の詰め所にて、ターナーからの報告を受けた俺はホッと胸を撫で下ろす。
「これもすべてはターナーがさまざまなリスクを想定して拠点づくりを進めてくれたおかげだな。礼を言うよ」
「そ、そんな……恐縮です」
「今後もよろしく頼むよ」
「は、はい!」
深々と頭を下げて、退室するターナー。
すると、入れ違いにパトリシアとイムが執務室へやってきた。
「先生! 鍛錬をしましょう!」
「しましょう!」
「ははは、そうだな。じゃあ、外に行こうか」
鍛錬はもともと被害状況を確認し終えた午後からにしようと決めていたのだ。それでも待ちきれないといった感じにソワソワしていたのだが。
俺たちは詰め所を出ると、裏庭へとまわる。そこは鍛錬用に少し広めのスペースが確保してあった。これならば、実戦を想定した動きもできる。
「では、まいります!」
「よし、来い」
早速、パトリシアから鍛錬を開始。
ここのところ、彼女には魔法の精度をあげる鍛錬を繰り返している。体術に関しても非凡な才能を持っているが、やはり彼女はどちらかというと魔法の扱いがうまい。器用というか、他の魔法使いとは少し違ったセンスを持っている。
一方、イムは自然豊かな島育ちということもあってか、身体能力が図抜けている。そこで彼女には剣術を叩き込んでいた。素手での戦いに慣れていたイムは、剣の扱いに困惑していたものの、最近はようやく様になってきた。
ふたりとも、これからが楽しみだよ。
鍛錬に汗を流していると、
「オーリン先生、ただいま戻りました」
ロレッタたちと一緒にダンジョンへと行っていたブリッツが戻ってきた――って、ひとりだけ?
「何かあったのか、ブリッツ」
「えぇ……少し、気になることが」
昨日の嵐に関することか?
いずれにせよ、穏やかな話じゃなさそうだ。
まるで昨日までの暴風雨が嘘だったかのようにラウシュ島は穏やかな陽気に包まれていた。
「やっと晴れた~!」
「長かったね~!」
ようやく鍛錬が再開できるようになり、パトリシアとイムは朝からご機嫌だった。
――が、対照的にご機嫌じゃないのは職人たちだ。
「被害状況の確認を急いでくれ!」
忙しなく職人たちに指示を飛ばしているのはターナーだ。思えば、この島で彼らが拠点地づくりに精を出してから昨日までのような嵐は初めてだったからな。どんなところに不具合が発生しているのか、チェックを急がせているようだ。
まあ、もともとこの辺りは天候が荒れやすいって話だからな。
こういった事態は今後も想定されるだろう。
雲ひとつない快晴でも、わずか数時間で嵐のように荒れ狂うとも言われていた。
エストラーダで生まれ育ったターナーはその辺の事情がバッチリ頭に入っていたため、事前にいろいろと対処をしていたらしく、今回のチェックは単純に損害だけでなくその成果を確認するという意味も込められているという。
昼までの時間を使って確認作業をした結果は――
「損害は軽微で、特に緊急の修繕を要するものはありません」
「それは何よりだ」
調査団の詰め所にて、ターナーからの報告を受けた俺はホッと胸を撫で下ろす。
「これもすべてはターナーがさまざまなリスクを想定して拠点づくりを進めてくれたおかげだな。礼を言うよ」
「そ、そんな……恐縮です」
「今後もよろしく頼むよ」
「は、はい!」
深々と頭を下げて、退室するターナー。
すると、入れ違いにパトリシアとイムが執務室へやってきた。
「先生! 鍛錬をしましょう!」
「しましょう!」
「ははは、そうだな。じゃあ、外に行こうか」
鍛錬はもともと被害状況を確認し終えた午後からにしようと決めていたのだ。それでも待ちきれないといった感じにソワソワしていたのだが。
俺たちは詰め所を出ると、裏庭へとまわる。そこは鍛錬用に少し広めのスペースが確保してあった。これならば、実戦を想定した動きもできる。
「では、まいります!」
「よし、来い」
早速、パトリシアから鍛錬を開始。
ここのところ、彼女には魔法の精度をあげる鍛錬を繰り返している。体術に関しても非凡な才能を持っているが、やはり彼女はどちらかというと魔法の扱いがうまい。器用というか、他の魔法使いとは少し違ったセンスを持っている。
一方、イムは自然豊かな島育ちということもあってか、身体能力が図抜けている。そこで彼女には剣術を叩き込んでいた。素手での戦いに慣れていたイムは、剣の扱いに困惑していたものの、最近はようやく様になってきた。
ふたりとも、これからが楽しみだよ。
鍛錬に汗を流していると、
「オーリン先生、ただいま戻りました」
ロレッタたちと一緒にダンジョンへと行っていたブリッツが戻ってきた――って、ひとりだけ?
「何かあったのか、ブリッツ」
「えぇ……少し、気になることが」
昨日の嵐に関することか?
いずれにせよ、穏やかな話じゃなさそうだ。
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