143 / 246
【最終章①】廃界突入編
第163話 燃え盛る炎の中で
しおりを挟む
「竜人族の定めは覆せぬ。それを忘れ、人間と仲良くなろうとした段階で竜人族としての銀竜は死んでいたのじゃ」
「勝手なことを!」
憤慨する颯太。
しかし、この場を切り抜けるだけの閃きもなければ突破口をこじ開けるほどの力も持っていない。ドラゴンと会話ができるという能力を差し引けば、至って普通のおっさんだ。
だとしても、
「くっ!」
颯太は駆け出す。
メアを助けるために。
しかし、
「いい加減にあきらめてはくれぬか」
またも先回りをされて逃げ道を塞がれる。
「お主までは殺さん。妾の目的は竜王選戦の覇者になることなのじゃ」
「だから、メアは渡せないって!」
「ならば仕方がない――不本意ではあるが、お主を黙らせて無理矢理にでも銀竜を奪わなければならないようじゃな」
エルメルガの両手に稲妻が走る。
燃え盛る炎はその勢いを増し、颯太の逃げ道をさらに狭めていったため、もう退路は完全に断たれてしまった。
「消し炭となれ」
エルメルガの手から放たれた雷撃は瞬きをする暇さえ与えぬほどの速度で颯太の全身を貫いた――はずだった。
「む?」
エルメルガは違和感を覚えた。
自分の手から離れた雷撃は、間違いなく銀竜メアンガルドを抱く高峰颯太を捉えたはずであった。しかし、先ほどまでそこにいたはずの颯太は影も形もなく消え去っていた。最初は自分の雷撃によって銀竜共々消し飛んだのかと思ったが、どうも違うようだ。
その答えはすぐに発覚した――と、同時に、
「っ!?」
足元へ迫ってきた怪しい「影」に驚いてその場から飛び退いた。
「さっきいた銀竜の仲間か」
影の正体――影竜トリストンの能力は、発動の直前で見破られてしまった。
「あの人間をその影の中へ一旦吸い込み、妾を呑み込んだあとで吐き出すつもりだったのじゃろうが、惜しかったな」
「…………」
颯太とメアの救出には成功したものの、エルメルガを捕らえるという奇襲自体は不発に終わってしまった。
こうなると、トリストンにも危機が迫る。
以前相手にした獣人族とはケタが違う強さのエルメルガを前に、自分の勝利するビジョンが想像できない。戦闘経験の浅いトリストンには荷が重すぎる相手だ。
マイナスの思考に支配されるトリストンであったが、
「……いいじゃろう」
エルメルガは戦闘を放棄した。
「正直言って、メアンガルドには失望した。――が、あやつの力はこの程度はない。今度戦う時は、人間などという足かせを捨てて本気で殺り合おうと伝えておけ」
「……あなたは間違っている」
「む?」
立ち去ろうとするエルメルガの背中に、トリストンが語りかける。
このままやり過ごしておけばいいのものを――それはトリストン自身もわかっていたことであったが、「メアにとって颯太たちが足かせになっている」と言い放ったエルメルガを放っておくことはできなかった。
「メアお姉様はあなたなんかよりずっと強い」
「ほう……では、今回負けたのは何かの間違いだと?」
「その通り」
「かっかっかっ! ならば尚更再戦したくなった! 次に会う時が楽しみじゃ!」
そう言い残して、エルメルガは紅蓮の炎の中へと姿を消した。
トリストンもすぐさまその場を離れてジェイクたちと合流。周囲に敵の気配がないことを確認すると、影から颯太とメアを吐き出した。
「ソータ! メア!」
気を失ったままの颯太とメア。
リンスウッド・ファームにとって初めてとなる竜王選戦はぐうの音も出ないほど完璧な敗北からのスタートだった。
◇◇◇
ダステニア王都――アークス学園内ドラゴン専用診療室にて。
「あとちょっと遅かったからメアちゃんの命はなかったわ」
王都帰還後、重傷を負ったメアの治療に当たったブリギッテはそう告げる。
「本当ね。むしろ、よくここまでもったと言いたいわ」
「まったくだ。竜人族の生命力が強いというのは知られていたが、あそこまでの怪我を負って生きていられたとはな」
同じく治療に参加したペルゼミネのマシューとダステニアのオーバも似たような感想を持ったようだった。
王都へ戻った際、重傷を負ったメアと意識不明の颯太の治療を行うための場所を借りたいと訴えたブリギッテの願いを聞き入れて、ダステニアはこのアークス学園の一室を貸し出すことをその場で決定したのだった。
ここにも、ハルヴァとダステニアの深い友好的関係性が垣間見える。
「とりあえず、今は絶対安静が必要です」
「ありがとう、ブリギッテ」
治療を終えた3人の竜医を出迎えたのはジェイクだった。
本来ならばこの場に颯太もいるはずなのだが、
「そっちはどうでした?」
「全身の数ヵ所に軽度の火傷があるそうだが、それ以外は特に問題はないようだ。ただ、あと数分でもあの炎の海の中にいたら、どうなっていかはわからないと医者が言っていたよ。今はベッドで寝ている」
メアを助けることに必死となっていた颯太。その時は特になんとも思わなかったのだが、ダメージは着実に肉体を蝕み、こちらも危険な状態であった。
エルメルガの雷撃によって発生した火災により、王都近くの森はその面積の3分の1を失うこととなってしまった。不幸中の幸いと言うべきなのか、火災発生の直後に雨が降り出したため、火災が王都へと進行してくることはなく、その手前で自然鎮火したのだった。
その雨は今も降り続け、診療室の窓を濡らしている。
「まさに救いの雨だったわね」
「まったくだな」
マシューとオーバが窓を眺めながら言う。そこへ、
「失礼します!」
入室してきたのはカレンだった。走ってきたのか、息は荒々しく額には大粒の汗が光っていた。
「ソータさんとメアちゃんが大怪我をしたって聞いたのですが!?」
「メアちゃんについては、とりあえず命に別状はないわ。むしろソータの方が重症かも」
「えっ!?」
「火傷の状態が思わしくないようなの。ああ、でも、命の危険があるとかそういうんじゃないから安心して」
「そ、そうでしたか……」
ホッと胸を撫で下ろすカレン。
だが、外交局の人間であるカレンがこの場にいるということは、
「終わったのね――国王会議が」
「……ええ。今後の方針が決まりました。メアちゃんたちの容態が気になっているということもありましたが、本来はこの会議の結果を報告するために参りました」
「わかった。では、ソータのいる人間用の診療室へ行こう」
ジェイクはそう言ってマシューとオーバに目配せをする。
「そうね。私たちも本来の持ち場に戻りましょうか」
「うむ」
マシューはペルゼミネ外交局のもとへ。
オーバはダステニ外交局アのもとへ。
それぞれがいるべき場所へと戻って行った。
「では行こうか」
「はい」
ハルヴァ組は颯太のいる人間用診療室に向かって歩き出した。
「勝手なことを!」
憤慨する颯太。
しかし、この場を切り抜けるだけの閃きもなければ突破口をこじ開けるほどの力も持っていない。ドラゴンと会話ができるという能力を差し引けば、至って普通のおっさんだ。
だとしても、
「くっ!」
颯太は駆け出す。
メアを助けるために。
しかし、
「いい加減にあきらめてはくれぬか」
またも先回りをされて逃げ道を塞がれる。
「お主までは殺さん。妾の目的は竜王選戦の覇者になることなのじゃ」
「だから、メアは渡せないって!」
「ならば仕方がない――不本意ではあるが、お主を黙らせて無理矢理にでも銀竜を奪わなければならないようじゃな」
エルメルガの両手に稲妻が走る。
燃え盛る炎はその勢いを増し、颯太の逃げ道をさらに狭めていったため、もう退路は完全に断たれてしまった。
「消し炭となれ」
エルメルガの手から放たれた雷撃は瞬きをする暇さえ与えぬほどの速度で颯太の全身を貫いた――はずだった。
「む?」
エルメルガは違和感を覚えた。
自分の手から離れた雷撃は、間違いなく銀竜メアンガルドを抱く高峰颯太を捉えたはずであった。しかし、先ほどまでそこにいたはずの颯太は影も形もなく消え去っていた。最初は自分の雷撃によって銀竜共々消し飛んだのかと思ったが、どうも違うようだ。
その答えはすぐに発覚した――と、同時に、
「っ!?」
足元へ迫ってきた怪しい「影」に驚いてその場から飛び退いた。
「さっきいた銀竜の仲間か」
影の正体――影竜トリストンの能力は、発動の直前で見破られてしまった。
「あの人間をその影の中へ一旦吸い込み、妾を呑み込んだあとで吐き出すつもりだったのじゃろうが、惜しかったな」
「…………」
颯太とメアの救出には成功したものの、エルメルガを捕らえるという奇襲自体は不発に終わってしまった。
こうなると、トリストンにも危機が迫る。
以前相手にした獣人族とはケタが違う強さのエルメルガを前に、自分の勝利するビジョンが想像できない。戦闘経験の浅いトリストンには荷が重すぎる相手だ。
マイナスの思考に支配されるトリストンであったが、
「……いいじゃろう」
エルメルガは戦闘を放棄した。
「正直言って、メアンガルドには失望した。――が、あやつの力はこの程度はない。今度戦う時は、人間などという足かせを捨てて本気で殺り合おうと伝えておけ」
「……あなたは間違っている」
「む?」
立ち去ろうとするエルメルガの背中に、トリストンが語りかける。
このままやり過ごしておけばいいのものを――それはトリストン自身もわかっていたことであったが、「メアにとって颯太たちが足かせになっている」と言い放ったエルメルガを放っておくことはできなかった。
「メアお姉様はあなたなんかよりずっと強い」
「ほう……では、今回負けたのは何かの間違いだと?」
「その通り」
「かっかっかっ! ならば尚更再戦したくなった! 次に会う時が楽しみじゃ!」
そう言い残して、エルメルガは紅蓮の炎の中へと姿を消した。
トリストンもすぐさまその場を離れてジェイクたちと合流。周囲に敵の気配がないことを確認すると、影から颯太とメアを吐き出した。
「ソータ! メア!」
気を失ったままの颯太とメア。
リンスウッド・ファームにとって初めてとなる竜王選戦はぐうの音も出ないほど完璧な敗北からのスタートだった。
◇◇◇
ダステニア王都――アークス学園内ドラゴン専用診療室にて。
「あとちょっと遅かったからメアちゃんの命はなかったわ」
王都帰還後、重傷を負ったメアの治療に当たったブリギッテはそう告げる。
「本当ね。むしろ、よくここまでもったと言いたいわ」
「まったくだ。竜人族の生命力が強いというのは知られていたが、あそこまでの怪我を負って生きていられたとはな」
同じく治療に参加したペルゼミネのマシューとダステニアのオーバも似たような感想を持ったようだった。
王都へ戻った際、重傷を負ったメアと意識不明の颯太の治療を行うための場所を借りたいと訴えたブリギッテの願いを聞き入れて、ダステニアはこのアークス学園の一室を貸し出すことをその場で決定したのだった。
ここにも、ハルヴァとダステニアの深い友好的関係性が垣間見える。
「とりあえず、今は絶対安静が必要です」
「ありがとう、ブリギッテ」
治療を終えた3人の竜医を出迎えたのはジェイクだった。
本来ならばこの場に颯太もいるはずなのだが、
「そっちはどうでした?」
「全身の数ヵ所に軽度の火傷があるそうだが、それ以外は特に問題はないようだ。ただ、あと数分でもあの炎の海の中にいたら、どうなっていかはわからないと医者が言っていたよ。今はベッドで寝ている」
メアを助けることに必死となっていた颯太。その時は特になんとも思わなかったのだが、ダメージは着実に肉体を蝕み、こちらも危険な状態であった。
エルメルガの雷撃によって発生した火災により、王都近くの森はその面積の3分の1を失うこととなってしまった。不幸中の幸いと言うべきなのか、火災発生の直後に雨が降り出したため、火災が王都へと進行してくることはなく、その手前で自然鎮火したのだった。
その雨は今も降り続け、診療室の窓を濡らしている。
「まさに救いの雨だったわね」
「まったくだな」
マシューとオーバが窓を眺めながら言う。そこへ、
「失礼します!」
入室してきたのはカレンだった。走ってきたのか、息は荒々しく額には大粒の汗が光っていた。
「ソータさんとメアちゃんが大怪我をしたって聞いたのですが!?」
「メアちゃんについては、とりあえず命に別状はないわ。むしろソータの方が重症かも」
「えっ!?」
「火傷の状態が思わしくないようなの。ああ、でも、命の危険があるとかそういうんじゃないから安心して」
「そ、そうでしたか……」
ホッと胸を撫で下ろすカレン。
だが、外交局の人間であるカレンがこの場にいるということは、
「終わったのね――国王会議が」
「……ええ。今後の方針が決まりました。メアちゃんたちの容態が気になっているということもありましたが、本来はこの会議の結果を報告するために参りました」
「わかった。では、ソータのいる人間用の診療室へ行こう」
ジェイクはそう言ってマシューとオーバに目配せをする。
「そうね。私たちも本来の持ち場に戻りましょうか」
「うむ」
マシューはペルゼミネ外交局のもとへ。
オーバはダステニ外交局アのもとへ。
それぞれがいるべき場所へと戻って行った。
「では行こうか」
「はい」
ハルヴァ組は颯太のいる人間用診療室に向かって歩き出した。
0
お気に入りに追加
4,471
あなたにおすすめの小説
プロミネンス~~獣人だらけの世界にいるけどやっぱり炎が最強です~~
笹原うずら
ファンタジー
獣人ばかりの世界の主人公は、炎を使う人間の姿をした少年だった。
鳥人族の国、スカイルの孤児の施設で育てられた主人公、サン。彼は陽天流という剣術の師範であるハヤブサの獣人ファルに預けられ、剣術の修行に明け暮れていた。しかしある日、ライバルであるツバメの獣人スアロと手合わせをした際、獣の力を持たないサンは、敗北してしまう。
自信の才能のなさに落ち込みながらも、様々な人の励ましを経て、立ち直るサン。しかしそんなサンが施設に戻ったとき、獣人の獣の部位を売買するパーツ商人に、サンは施設の仲間を奪われてしまう。さらに、サンの事を待ち構えていたパーツ商人の一人、ハイエナのイエナに死にかけの重傷を負わされる。
傷だらけの身体を抱えながらも、みんなを守るために立ち上がり、母の形見のペンダントを握り締めるサン。するとその時、死んだはずの母がサンの前に現れ、彼の炎の力を呼び覚ますのだった。
炎の力で獣人だらけの世界を切り開く、痛快大長編異世界ファンタジーが、今ここに開幕する!!!
とある中年男性の転生冒険記
うしのまるやき
ファンタジー
中年男性である郡元康(こおりもとやす)は、目が覚めたら見慣れない景色だったことに驚いていたところに、アマデウスと名乗る神が現れ、原因不明で死んでしまったと告げられたが、本人はあっさりと受け入れる。アマデウスの管理する世界はいわゆる定番のファンタジーあふれる世界だった。ひそかに持っていた厨二病の心をくすぐってしまい本人は転生に乗り気に。彼はその世界を楽しもうと期待に胸を膨らませていた。
無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~
鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!
詳細は近況ボードに載せていきます!
「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」
特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。
しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。
バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて――
こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。
引退賢者はのんびり開拓生活をおくりたい
鈴木竜一
ファンタジー
旧題:引退賢者はのんびり開拓生活をおくりたい ~不正がはびこる大国の賢者を辞めて離島へと移住したら、なぜか優秀な元教え子たちが集まってきました~
【書籍化決定!】
本作の書籍化がアルファポリスにて正式決定いたしました!
第1巻は10月下旬発売!
よろしくお願いします!
賢者オーリンは大陸でもっと栄えているギアディス王国の魔剣学園で教鞭をとり、これまで多くの優秀な学生を育てあげて王国の繁栄を陰から支えてきた。しかし、先代に代わって新たに就任したローズ学園長は、「次期騎士団長に相応しい優秀な私の息子を贔屓しろ」と不正を強要してきた挙句、オーリン以外の教師は息子を高く評価しており、同じようにできないなら学園を去れと告げられる。どうやら、他の教員は王家とのつながりが深いローズ学園長に逆らえず、我がままで自分勝手なうえ、あらゆる能力が最低クラスである彼女の息子に最高評価を与えていたらしい。抗議するオーリンだが、一切聞き入れてもらえず、ついに「そこまでおっしゃられるのなら、私は一線から身を引きましょう」と引退宣言をし、大国ギアディスをあとにした。
その後、オーリンは以前世話になったエストラーダという小国へ向かうが、そこへ彼を慕う教え子の少女パトリシアが追いかけてくる。かつてオーリンに命を助けられ、彼を生涯の師と仰ぐ彼女を人生最後の教え子にしようと決め、かねてより依頼をされていた離島開拓の仕事を引き受けると、パトリシアとともにそこへ移り住み、現地の人々と交流をしたり、畑を耕したり、家畜の世話をしたり、修行をしたり、時に離島の調査をしたりとのんびりした生活を始めた。
一方、立派に成長し、あらゆるジャンルで国内の重要な役職に就いていた《黄金世代》と呼ばれるオーリンの元教え子たちは、恩師であるオーリンが学園から不当解雇された可能性があると知り、激怒。さらに、他にも複数の不正が発覚し、さらに国王は近隣諸国へ侵略戦争を仕掛けると宣言。そんな危ういギアディス王国に見切りをつけた元教え子たちは、オーリンの後を追って続々と国外へ脱出していく。
こうして、小国の離島でのんびりとした開拓生活を希望するオーリンのもとに、王国きっての優秀な人材が集まりつつあった……
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
無属性魔法って地味ですか? 「派手さがない」と見捨てられた少年は最果ての領地で自由に暮らす
鈴木竜一
ファンタジー
《本作のコミカライズ企画が進行中! 詳細はもうしばらくお待ちください!》
社畜リーマンの俺は、歩道橋から転げ落ちて意識を失い、気がつくとアインレット家の末っ子でロイスという少年に転生していた。アルヴァロ王国魔法兵団の幹部を務めてきた名門アインレット家――だが、それも過去の栄光。今は爵位剥奪寸前まで落ちぶれてしまっていた。そんなアインレット家だが、兄が炎属性の、姉が水属性の優れた魔法使いになれる資質を持っていることが発覚し、両親は大喜び。これで再興できると喜ぶのだが、末っ子の俺は無属性魔法という地味で見栄えのしない属性であると診断されてしまい、その結果、父は政略結婚を画策し、俺の人生を自身の野望のために利用しようと目論む。
このまま利用され続けてたまるか、と思う俺は父のあてがった婚約者と信頼関係を築き、さらにそれまで見向きもしなかった自分の持つ無属性魔法を極め、父を言いくるめて辺境の地を領主として任命してもらうことに。そして、大陸の片隅にある辺境領地で、俺は万能な無属性魔法の力を駆使し、気ままな領地運営に挑む。――意気投合した、可愛い婚約者と一緒に。
元悪役令嬢はオンボロ修道院で余生を過ごす
こうじ
ファンタジー
両親から妹に婚約者を譲れと言われたレスナー・ティアント。彼女は勝手な両親や裏切った婚約者、寝取った妹に嫌気がさし自ら修道院に入る事にした。研修期間を経て彼女は修道院に入る事になったのだが彼女が送られたのは廃墟寸前の修道院でしかも修道女はレスナー一人のみ。しかし、彼女にとっては好都合だった。『誰にも邪魔されずに好きな事が出来る!これって恵まれているんじゃ?』公爵令嬢から修道女になったレスナーののんびり修道院ライフが始まる!
地方勤務の聖騎士 ~王都勤務から農村に飛ばされたので畑を耕したり動物の世話をしながらのんびり仕事します~
鈴木竜一
ファンタジー
王都育ちのエリート騎士は左遷先(田舎町の駐在所)での生活を満喫する!
ランドバル王国騎士団に所属するジャスティンは若くして聖騎士の称号を得た有望株。だが、同期のライバルによって運営費横領の濡れ衣を着せられ、地方へと左遷させられてしまう。
王都勤務への復帰を目指すも、左遷先の穏やかでのんびりした田舎暮らしにすっかりハマってしまい、このままでもいいかと思い始めた――その矢先、なぜか同期のハンクが狙っている名家出身の後輩女騎士エリナがジャスティンを追って同じく田舎町勤務に!?
一方、騎士団内ではジャスティンの事件が何者かに仕掛けられたものではないかと疑惑が浮上していて……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。