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第69話 ワイバーン討伐開始
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「グガアアアアアアアアアッ!」
咆哮をあげて迫りくるワイバーン。
それを迎え撃つこちらは少数精鋭。
本来であれば、この数で挑むなど自殺行為に等しいのだが、不思議とそんな不安は湧いてこなかった。
リチャードさんをはじめとする騎士団の面々が強いというのはよく分かっている。それ以上に、この場へ集結している生徒たちの実力を高く評価していた。
「せっかく手の届く距離まで降りてきてくれたのだから、相応の魔法で出迎えて差し上げないと」
先制攻撃とばかりに、ミアンが強大な魔力を一瞬にして練り上げる。ここまでの領域へ達するには、かなりの修行を積まなければならない。恐らく、現役の魔法兵団の中でも片手で数えられるくらいの人数しかいないんじゃないかな。
生まれ持った才能というのはもちろん関係しているのだろうが、サラ曰く、ミアンはたゆまぬ努力を重ねてここまでたどり着いたのだ。
そんなミアンは、挨拶代わりと言わんばかりに強烈な雷魔法をワイバーンへと放つ。そこへさらに、フィナが炎魔法で追撃。
「っ!?」
予想外の攻撃を食らったワイバーンの体が大きく傾く――が、これでもまだ致命傷には至らない。すぐに体勢を立て直して反撃に移ろうとするが、突然羽をばたつかせて動きが鈍くなった。
理由は簡単。
アデレートの従霊たちがしがみつき、ワイバーンの動きを封じ込めていたのだ。
「よし! いくぞ!」
「声をあげないでもらえるかな? それではまるで君の指示に従ってワイバーンへ攻撃を仕掛けるみたいじゃないか」
「うるせぇ! 黙ってさっさと攻撃するぞ!」
「こんな時にやめなって!」
リゲル、レオン、ニコールの三人がとどめを刺そうとそれぞれの得意なスタイルでワイバーンへと攻撃を加える。
「ゲギャッ!?」
変な声をあげながら、三人の攻撃を正面から受けたワイバーンは地面へと叩きつけられ、それからまったく動かなくなった。
「や、やったのか?」
生徒たちの華麗な連携攻撃に魅了されていたリチャードは、ワイバーンが落ちてくる途中でハッと我に返り、生死を確認するため近づいていく。一方、リゲルたちは手応えを感じているようで、すでにひと息ついていた。
「おいおい、落ち着くにはまだ早いぞ。ヤツが本当に死んだとは限らないからな」
俺がそう注意を促すと、他の生徒たちも合わせてすぐに気持ちを切り替える。素直なところも上達するコツのひとつだからな。良い心がけだ。
さて、全員が見守る中、リチャードをはじめとする騎士たちの生死確認がとられているのだが……
「どうやら本当に死んでいるみたいだ」
リチャードさんがそう口にすると、全員から一斉に雄叫びがあがる。
恐れていた事態ではあったが、生徒たちの確かな実力と息のあった連係プレーの前にワイバーンは沈黙。
凄い。
そんな感想しか浮かんでこない。
彼らが力を合わせれば……もしかしたら世界最強になれるかもしれないな。
咆哮をあげて迫りくるワイバーン。
それを迎え撃つこちらは少数精鋭。
本来であれば、この数で挑むなど自殺行為に等しいのだが、不思議とそんな不安は湧いてこなかった。
リチャードさんをはじめとする騎士団の面々が強いというのはよく分かっている。それ以上に、この場へ集結している生徒たちの実力を高く評価していた。
「せっかく手の届く距離まで降りてきてくれたのだから、相応の魔法で出迎えて差し上げないと」
先制攻撃とばかりに、ミアンが強大な魔力を一瞬にして練り上げる。ここまでの領域へ達するには、かなりの修行を積まなければならない。恐らく、現役の魔法兵団の中でも片手で数えられるくらいの人数しかいないんじゃないかな。
生まれ持った才能というのはもちろん関係しているのだろうが、サラ曰く、ミアンはたゆまぬ努力を重ねてここまでたどり着いたのだ。
そんなミアンは、挨拶代わりと言わんばかりに強烈な雷魔法をワイバーンへと放つ。そこへさらに、フィナが炎魔法で追撃。
「っ!?」
予想外の攻撃を食らったワイバーンの体が大きく傾く――が、これでもまだ致命傷には至らない。すぐに体勢を立て直して反撃に移ろうとするが、突然羽をばたつかせて動きが鈍くなった。
理由は簡単。
アデレートの従霊たちがしがみつき、ワイバーンの動きを封じ込めていたのだ。
「よし! いくぞ!」
「声をあげないでもらえるかな? それではまるで君の指示に従ってワイバーンへ攻撃を仕掛けるみたいじゃないか」
「うるせぇ! 黙ってさっさと攻撃するぞ!」
「こんな時にやめなって!」
リゲル、レオン、ニコールの三人がとどめを刺そうとそれぞれの得意なスタイルでワイバーンへと攻撃を加える。
「ゲギャッ!?」
変な声をあげながら、三人の攻撃を正面から受けたワイバーンは地面へと叩きつけられ、それからまったく動かなくなった。
「や、やったのか?」
生徒たちの華麗な連携攻撃に魅了されていたリチャードは、ワイバーンが落ちてくる途中でハッと我に返り、生死を確認するため近づいていく。一方、リゲルたちは手応えを感じているようで、すでにひと息ついていた。
「おいおい、落ち着くにはまだ早いぞ。ヤツが本当に死んだとは限らないからな」
俺がそう注意を促すと、他の生徒たちも合わせてすぐに気持ちを切り替える。素直なところも上達するコツのひとつだからな。良い心がけだ。
さて、全員が見守る中、リチャードをはじめとする騎士たちの生死確認がとられているのだが……
「どうやら本当に死んでいるみたいだ」
リチャードさんがそう口にすると、全員から一斉に雄叫びがあがる。
恐れていた事態ではあったが、生徒たちの確かな実力と息のあった連係プレーの前にワイバーンは沈黙。
凄い。
そんな感想しか浮かんでこない。
彼らが力を合わせれば……もしかしたら世界最強になれるかもしれないな。
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