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夫婦と家族
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「テルクスタでは、パンにはバターの他に、オリーブオイルをつけて食べることもありますの。パンの温かさでオリーブの香りが引き立てられて、とっても風味豊かになるんです」
「なるほどな、それは初耳だ。となると、やはりパン自体も、リュドミラとは違うのか?」
「はい。テルクスタでは生地に食材を練り込まないシンプルなものが一般的です。でも、リュドミラのお野菜やフルーツが入ったパンも、大好きですわ」
初夜の翌朝とは異なり、寝室には私とヴィルヘルムの話し声が響いていた。
本来であれば、寝室で朝食をとるのは初夜の翌朝一度きりである。しかし、ヴィルヘルムは私を気遣って、朝食を寝室に用意するよう使用人に命じたのだった。
和気あいあいとした雰囲気もあってか、朝食がいつにも増して美味しい。そして夫婦の会話の話題は、まったく尽きることがなかった。
しかし、楽しい時間というものはあっという間に過ぎてしまうものだ。気がつけば朝食を終えて、テーブルの上には食後の紅茶が用意されていたのだった。
「前から思っていたが……ミルクティーが好きなのか?」
紅茶に牛乳をたっぷり注いでいると、ヴィルヘルムは私に問いかけた。
「好きというのもありますが……子供の時から、牛乳を毎日飲みなさいと母に言われて育ったので、もはや癖ですわ」
父上は昔、落馬により首の骨を折ったことで、意識を失ってしまった。その一件で骨折の恐ろしさを目の当たりにした母は、骨を強くするため毎日牛乳を飲むように、と口酸っぱく言っていたのだった。
「ヴィルヘルム様は、あまり牛乳は飲まれないのですか?」
ミルクも砂糖も入っていない彼のティーカップの紅茶に目を向けながら、私は言った。
「そうだな。乳製品は食べるが、昔から牛乳は……気が進まなくて、あまり飲まないな」
「牛乳をたくさんお飲みにならないのに、ご立派に成長されたのですか? ……身長が」
私は世間一般の女性と比べて、やや身長が低い。背が高いのは、かなりうらやましいことである。それもあって嫌味を言いたい訳ではないが、そんな言葉が口を突いていたのだった。
ちなみに‘‘身長が’’と付け足したのは、アソコの大きさのことを言ってるのではないという、念のためのアピールである。
「……久しぶりに、入れてみるか」
私の一言とジトっとした視線が効いたのか、ヴィルヘルムも紅茶に牛乳を入れた。
「久しぶりに飲むと、悪くないな」
「ふふっ、それは良かったですわ」
身体が繋がったからといって、心まで結ばれるとは限らない。しかし身体の繋がりは、男女の仲を深めるきっかけになりうる。そんな一文を本で読んだことがあるが、今起きていることは、まさにそれであった。今まで以上に、私は夫のことをもっと知りたいと自然と思えていたのである。
「ところで、レイチェル。今日の予定は?」
朝食のあと、ヴィルヘルムは公務に出かける予定だ。しかし私は、まだ公務が一日おきであるため、丸一日休みなのである。
「いくつか読みたい本があるので、読書時間に当てようかと思います。あと、シェフが松の実を使ったお菓子を試しに作ってくれる予定なので……」
そこまで言って、私は後悔した。ヴィルヘルムは公務に行くというのに、自分は遊び呆けているだけだと思えたのだ。これでは、王妃の自覚が無いと言われても、仕方のないことである。
「そうか。気に入ったのがあれば、また教えてくれ。……? どうした、レイチェル」
「いえ。遊ぶだけではなくて、王妃としての責務をまっとうできるように、努力しなければ、と思っただけですわ。こんなに立派な指輪をいただいたのですから」
食事を終えてから着けた結婚指輪が、ずしりと重く感じられたのだった。
「……もしかして、その指輪の仕掛けに気づいてないのか?」
「……え?」
「貸してみろ」
ヴィルヘルムに指輪を渡すと、彼はそれを瓶の蓋を開けるように軽く回した。すると指輪は横に割れて、三つの細いリングに様変わりしたのである。
「え、えええっ!?」
「こうすれば、三つに分解できる。重いならば、リングを一つか二つに減らせばいい」
私の指に三分割された真ん中の指輪をはめながら、ヴィルヘルムは言った。
「触ってればそのうち気づくかと思ってたが、悪かったな」
「い、いえ……」
ふと手元を見ると、私は指輪に隠されたもうひとつの‘‘仕掛け’’に気づいた。指輪の自分側に向いている断面に、細かなダイヤモンドが隙間なく埋め込まれていたのである。それは、自分にしか見えない密かな輝きであった。
「……綺麗」
他人からは見えないようなほんの少しの煌めき。けれども私の目には、それがどんな宝石よりも魅力的に見えたのだった。
「ダイヤが側面に付いてるものも迷ったが、選んだウエディングドレスからして、少し変わったものの方が好きかと思って……これにしたんだ」
どうやら、私が波の音がするドレスを選んだことも、彼は気づいていたようだった。
「気に入ってくれたなら嬉しい。だがな、レイチェル」
私の左手を包み込むように握りながら、ヴィルヘルムは続けた。
「たしかに、これから私と公務に参加する機会は増えていくだろう。しかし、あまり深刻に考えなくていい」
「……ヴィルヘルム様」
「仲良くできる家族ができただけで、私は十分だ」
「え?」
「いや、何でもない」
そう言ったヴィルヘルムの表情は、どことなく寂しげなものであった。
+
「私の実家は山が近かったので、松の実もよくおやつに食べました。あとは母がよく、松の実をソースに入れたパスタを作ってくれましたの」
「あら、松の実はパスタソースにも使えるのね。私も今度食べてみたいわ。じゃあ貴女は、どんなおやつを食べてたの?」
「はい。私は子供の頃、椎の実をよく食べておりました。栗は高価なのでなかなか食べられませんでしたが……椎の実は裏山にたくさん生えていたので」
「椎の実、食べたことがないわ。どんな味なの?」
「ほっくりとしていて、サツマイモのような味です。自然な甘みがあって、味付けしなくてもとっても美味しいんです」
「ふふっ、そうなのね。教えてくれてありがとう」
庭園のガゼボで、私は側仕えのメイドたちと雑談をしていた。
ヴィルヘルムには無理をしなくて良いと言われたものの、やはり彼のために何かしたいと私は考えた。そこでまずは、使用人たちと仲良くなろうと思ったのである。
基本的に私の一番近くにいるのはエマだが、彼女以外にも、私の世話をしてくれるメイドは十人ほどいる。エマに加えて十人のうちの二、三人が、入れ替わりで私の周りに控えているのだ。
今も、エマを含む四人のメイドが私の傍に立っている状況だ。お茶菓子を待つあいだ、私は彼女らと「子供の頃、おやつに何を食べていたか」について話していたのだった。
「いろんなお話が聞けて嬉しいわ。エマは、子供の頃、どんなおやつを食べてたの?」
「そうですね……私は母の実家が海沿いの漁師町だったので、炒った小エビや小魚とかを食べておりました」
そこまで話していたところで、使用人二人がお茶菓子を運んできたのだった。
「まあ、どれも美味しそうだわ」
テーブルに並んだのは、シェフに頼んで作ってもらった松の実のお菓子の数々。マフィンからクッキーに至るまで、どれも食欲をそそるものばかりであった。
「このお菓子、実はちょっと多めに作ってもらったの。シェフには言ってあるから、またあとで、みんなで食べてちょうだい」
「そんな、私たちまでよろしいのですか?」
「もちろんよ」
「ありがとうございます!」
「あら、とっても賑やかね」
不意に、メイドたちの声に紛れてそんな一言が聞こえてきたのだった。聞き覚えのある声に、私は反射的に背筋が伸びるのを感じた。
「小鳥の囀りみたいで、可愛らしいお話し声ですこと」
「え……?」
声のした方向に目を向けると、そこに立っていたのは、上品な装いをした一人の貴婦人であった。
「お久しぶりね、レイチェル」
そう言って、前王妃ーーーヴィルヘルムの母上は、私に笑いかけたのだった。
「なるほどな、それは初耳だ。となると、やはりパン自体も、リュドミラとは違うのか?」
「はい。テルクスタでは生地に食材を練り込まないシンプルなものが一般的です。でも、リュドミラのお野菜やフルーツが入ったパンも、大好きですわ」
初夜の翌朝とは異なり、寝室には私とヴィルヘルムの話し声が響いていた。
本来であれば、寝室で朝食をとるのは初夜の翌朝一度きりである。しかし、ヴィルヘルムは私を気遣って、朝食を寝室に用意するよう使用人に命じたのだった。
和気あいあいとした雰囲気もあってか、朝食がいつにも増して美味しい。そして夫婦の会話の話題は、まったく尽きることがなかった。
しかし、楽しい時間というものはあっという間に過ぎてしまうものだ。気がつけば朝食を終えて、テーブルの上には食後の紅茶が用意されていたのだった。
「前から思っていたが……ミルクティーが好きなのか?」
紅茶に牛乳をたっぷり注いでいると、ヴィルヘルムは私に問いかけた。
「好きというのもありますが……子供の時から、牛乳を毎日飲みなさいと母に言われて育ったので、もはや癖ですわ」
父上は昔、落馬により首の骨を折ったことで、意識を失ってしまった。その一件で骨折の恐ろしさを目の当たりにした母は、骨を強くするため毎日牛乳を飲むように、と口酸っぱく言っていたのだった。
「ヴィルヘルム様は、あまり牛乳は飲まれないのですか?」
ミルクも砂糖も入っていない彼のティーカップの紅茶に目を向けながら、私は言った。
「そうだな。乳製品は食べるが、昔から牛乳は……気が進まなくて、あまり飲まないな」
「牛乳をたくさんお飲みにならないのに、ご立派に成長されたのですか? ……身長が」
私は世間一般の女性と比べて、やや身長が低い。背が高いのは、かなりうらやましいことである。それもあって嫌味を言いたい訳ではないが、そんな言葉が口を突いていたのだった。
ちなみに‘‘身長が’’と付け足したのは、アソコの大きさのことを言ってるのではないという、念のためのアピールである。
「……久しぶりに、入れてみるか」
私の一言とジトっとした視線が効いたのか、ヴィルヘルムも紅茶に牛乳を入れた。
「久しぶりに飲むと、悪くないな」
「ふふっ、それは良かったですわ」
身体が繋がったからといって、心まで結ばれるとは限らない。しかし身体の繋がりは、男女の仲を深めるきっかけになりうる。そんな一文を本で読んだことがあるが、今起きていることは、まさにそれであった。今まで以上に、私は夫のことをもっと知りたいと自然と思えていたのである。
「ところで、レイチェル。今日の予定は?」
朝食のあと、ヴィルヘルムは公務に出かける予定だ。しかし私は、まだ公務が一日おきであるため、丸一日休みなのである。
「いくつか読みたい本があるので、読書時間に当てようかと思います。あと、シェフが松の実を使ったお菓子を試しに作ってくれる予定なので……」
そこまで言って、私は後悔した。ヴィルヘルムは公務に行くというのに、自分は遊び呆けているだけだと思えたのだ。これでは、王妃の自覚が無いと言われても、仕方のないことである。
「そうか。気に入ったのがあれば、また教えてくれ。……? どうした、レイチェル」
「いえ。遊ぶだけではなくて、王妃としての責務をまっとうできるように、努力しなければ、と思っただけですわ。こんなに立派な指輪をいただいたのですから」
食事を終えてから着けた結婚指輪が、ずしりと重く感じられたのだった。
「……もしかして、その指輪の仕掛けに気づいてないのか?」
「……え?」
「貸してみろ」
ヴィルヘルムに指輪を渡すと、彼はそれを瓶の蓋を開けるように軽く回した。すると指輪は横に割れて、三つの細いリングに様変わりしたのである。
「え、えええっ!?」
「こうすれば、三つに分解できる。重いならば、リングを一つか二つに減らせばいい」
私の指に三分割された真ん中の指輪をはめながら、ヴィルヘルムは言った。
「触ってればそのうち気づくかと思ってたが、悪かったな」
「い、いえ……」
ふと手元を見ると、私は指輪に隠されたもうひとつの‘‘仕掛け’’に気づいた。指輪の自分側に向いている断面に、細かなダイヤモンドが隙間なく埋め込まれていたのである。それは、自分にしか見えない密かな輝きであった。
「……綺麗」
他人からは見えないようなほんの少しの煌めき。けれども私の目には、それがどんな宝石よりも魅力的に見えたのだった。
「ダイヤが側面に付いてるものも迷ったが、選んだウエディングドレスからして、少し変わったものの方が好きかと思って……これにしたんだ」
どうやら、私が波の音がするドレスを選んだことも、彼は気づいていたようだった。
「気に入ってくれたなら嬉しい。だがな、レイチェル」
私の左手を包み込むように握りながら、ヴィルヘルムは続けた。
「たしかに、これから私と公務に参加する機会は増えていくだろう。しかし、あまり深刻に考えなくていい」
「……ヴィルヘルム様」
「仲良くできる家族ができただけで、私は十分だ」
「え?」
「いや、何でもない」
そう言ったヴィルヘルムの表情は、どことなく寂しげなものであった。
+
「私の実家は山が近かったので、松の実もよくおやつに食べました。あとは母がよく、松の実をソースに入れたパスタを作ってくれましたの」
「あら、松の実はパスタソースにも使えるのね。私も今度食べてみたいわ。じゃあ貴女は、どんなおやつを食べてたの?」
「はい。私は子供の頃、椎の実をよく食べておりました。栗は高価なのでなかなか食べられませんでしたが……椎の実は裏山にたくさん生えていたので」
「椎の実、食べたことがないわ。どんな味なの?」
「ほっくりとしていて、サツマイモのような味です。自然な甘みがあって、味付けしなくてもとっても美味しいんです」
「ふふっ、そうなのね。教えてくれてありがとう」
庭園のガゼボで、私は側仕えのメイドたちと雑談をしていた。
ヴィルヘルムには無理をしなくて良いと言われたものの、やはり彼のために何かしたいと私は考えた。そこでまずは、使用人たちと仲良くなろうと思ったのである。
基本的に私の一番近くにいるのはエマだが、彼女以外にも、私の世話をしてくれるメイドは十人ほどいる。エマに加えて十人のうちの二、三人が、入れ替わりで私の周りに控えているのだ。
今も、エマを含む四人のメイドが私の傍に立っている状況だ。お茶菓子を待つあいだ、私は彼女らと「子供の頃、おやつに何を食べていたか」について話していたのだった。
「いろんなお話が聞けて嬉しいわ。エマは、子供の頃、どんなおやつを食べてたの?」
「そうですね……私は母の実家が海沿いの漁師町だったので、炒った小エビや小魚とかを食べておりました」
そこまで話していたところで、使用人二人がお茶菓子を運んできたのだった。
「まあ、どれも美味しそうだわ」
テーブルに並んだのは、シェフに頼んで作ってもらった松の実のお菓子の数々。マフィンからクッキーに至るまで、どれも食欲をそそるものばかりであった。
「このお菓子、実はちょっと多めに作ってもらったの。シェフには言ってあるから、またあとで、みんなで食べてちょうだい」
「そんな、私たちまでよろしいのですか?」
「もちろんよ」
「ありがとうございます!」
「あら、とっても賑やかね」
不意に、メイドたちの声に紛れてそんな一言が聞こえてきたのだった。聞き覚えのある声に、私は反射的に背筋が伸びるのを感じた。
「小鳥の囀りみたいで、可愛らしいお話し声ですこと」
「え……?」
声のした方向に目を向けると、そこに立っていたのは、上品な装いをした一人の貴婦人であった。
「お久しぶりね、レイチェル」
そう言って、前王妃ーーーヴィルヘルムの母上は、私に笑いかけたのだった。
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