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湧き出る性への興味

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 それから丸一日、私はすっかり上の空で過ごした。

 何をしていても、早朝に見た光景が頭に焼き付いて離れないのだ。お手洗いに行って排泄する度に思い出しては、何度秘所が切なく疼いたかも分からない。知らぬ間に、ウェンデの放尿姿で頭がいっぱいになってしまっていた。

 幸い、今日は何も予定の無い休日であった。元々一日家で過ごす気だったので、誰かの迷惑にならなかったのは良かった。けれども、一つだけ問題があった。

 帰宅したウェンデと、いつも通り顔を合わせられる気がしなかったのだ。

 夫がやや遠慮のある存在から、突然性の対象となってしまったのである。当たり前だが、内心私は酷く困惑していた。

 ウェンデは遠慮のある存在と言えど、概ね善良な夫であった。逞しい身体付きではあるものの粗暴ではなく、言動も常に落ち着いており、色んな場面で私のことを気遣ってくれる。そんな彼の迷惑になるのは何がなんでも避けたかった。つまりは、こんな悪い意味での心境の変化は決して知られてはならない。

 どうすれば良いか考えたが、良い案は思い浮かばず。そんなこんなで、夜になってしまったのだ。

「ただいま、遅くなって悪かったな」

「いいえ、遅くまでお仕事お疲れ様で御座いました」

 ウェンデは多忙な人だ。夜遅くに帰ってくることもままあり、私達の生活時間は殆ど合わないくらいだ。実際今日も朝食や夕食を共にすることは無く、ようやく寝室で顔を合わせたのだから。

 なるべく平静を装い、私はいつも通りたわいの無い会話を彼とベッドの上で続けた。朝散歩に出たこと自体、彼には黙っておくことにした。

「……そうか。問題無く過ごせたなら良かった」

 会話が一段落したところで、ウェンデは私をそっと胸に抱き寄せた。距離が詰まり、鍛えられた厚い胸板がこつりと額に当たる。そして、すぐ近くに彼の鼓動が感じられた。

「ルイーセ。今晩も少しだけ、付き合ってくれないか?」

 それは、情事の誘いであった。

 変なことを口走る前に寝てしまいたいのが本音だが、生理や体調不良の時以外誘いに乗るのが常なので、断ったら逆に不審がられるに違いない。

「ふふっ、勿論です」

 いつも通り、私は彼の誘いに乗った。

「ん、ありがとう」

 そう言って、ウェンデは自らのシャツのボタンを外し始めた。

 いつも彼は自らの全てを晒してから、私の服に手をかけるのだ。私は寒い冬の日などはナイトドレスを着たままことに及ぶ場合もあるが、彼は必ず全裸となる。

 暑がりなのかと以前聞いたことがあるが、それは違った。布が擦れると痛いだろう、柔らかく美しい肌を傷つけたくないからそうするのだとウェンデは言った。

 ベッドの上で彼は、ひたすらに私を大事に扱ってくれているのである。

 やがて、ウェンデは一糸まとわぬ姿となった。早朝のこともあり、ダメとは思ってもつい下腹部に目がいってしまう。

 理性を働かせて、ナイトドレスを脱がされている間は必死に目を瞑った。そして全てが取り払われた後、ようやく私は目を開いた。

「ん……ルイーセ」

「あっ、ん、」

 優しく名前を呼びながら、ウェンデは私の素肌にキスを落としていった。跡はつかないが、唇の触れた箇所には彼の体温が僅かに残っていく。目に見えぬ温もりの跡は、首筋から胸、腹へと降りていき、とうとう足の裏にまで来た。

「ん……っ、ふ、っ」

 私の片脚を持ち上げ、ウェンデは爪先に至るまでくまなくキスをしていく。彼が唇での愛撫に夢中なのを良いことに、私は気になる箇所を舐めるように見つめた。

 割れた頑強な腹筋の下に見えるのは、まだ硬さの無い男性器。ぶらりと垂れ下がったそれは、綱のようにも見える。彼が口付けのため首を動かす度に竿も玉袋もゆさゆさと揺れ動くのが、何ともいやらしい。

 ウェンデのぺニスは燻した銅のように、肌より一段濃ゆい色をしている。そしてまだ勃ち上がっていないのに、私の手首の幅よりも太い。その奥には重たげな陰嚢が鎮座している。彼の雄の部分の存在感に、私は生唾を飲み込んだ。

「ん、どうした?」

「い、いえ……」

 目を凝らすように細めたところで、ウェンデは私に声をかけた。慌てて愛撫の快楽を楽しんでいた振りをするが、後の祭りであった。

「ああ、もしかして、''これ''が気になるか?」

 そう言って、ウェンデは陰茎を私に見せるように大きな右手に乗せた。彼は右利きであり、その動作でぺニスがやや右に傾いている理由が分かってしまって、私は顔が熱くなるのを感じた。

 どうやら、彼は恥部を私に見られるのに抵抗は無いらしい。

「綺麗なものでなくて、済まないが」

「……そんなこと」

 彼が担いだ片脚を下ろしてくれたので、私は上体を起こした。そして吸い寄せられるようにぺニスに顔を近付け、至近距離で見つめる。まだ段差が包皮で隠れているそれは、放尿の場面を想起させるいやらしい存在であった。

「触ってみるか?」

 何を思ったのか、ウェンデは私にそう持ち掛けた。そして考えるより先に、私は頷いてしまったのである。

「その……どう触れたら良いんですか?」

「そうだな、じゃあまずは……」

 彼に手を引かれ、手のひらにぺニスを乗せる。重量感に驚きつつもウェンデに教えられるがまま、指を折りたたむように肉棒を握りこんだ。

「い、痛くありませんか?」

「ああ、大丈夫だ。そのまま先端に向けて手を引いてみてくれ」

「こうですか?」

「っ……、そうだ。じゃあ今度は、根元に向けて……」

「ん……」

「ああ、……っ、上手いぞ。これが''扱く''って言うんだ」

 ウェンデに手解きされながら、私は恐る恐る手を押したり引いたりを繰り返す。柔らかなぺニスは引いた時に伸び、押した時に縮む柔軟性があった。

 やがて括れを隠していた包皮がめくれ上がり、完全に亀頭が露出した。

「先が……出てきてしまいました」

「……っ、ん、硬くなっていくと、そうなるんだ。捲れないと、中で邪魔になってしまうだろ?」

 硬く膨れ上がった男の部分を皮で隠しきれなくなり、括れから裏筋に至るまで顕となっている光景は、この上無く淫靡に感じられる。尿道口━━穴と言うより線に見える箇所からは、透明な水が滲んでいた。

 蜜花に誘われた蜜蜂のように、知らぬ間に私はウェンデの下腹部に顔を埋めていた。入浴後で清潔な状態なので、感じられるのは石鹸の香りだけだ。

「ぐ……っ、は、っ、……ぁ」

 荒い呼吸に気付きウェンデの顔を見ると、彼は切なげに眉を寄せていた。森で用を足していた時と同じく、その表情は何かしらの欲を解放したがっているようにも見える。

「ん……っ、ルイーセ、それはお前のものだ。……っ、だから、好きにしてくれて構わない」

 その言葉を聞き、私は手に握ったものに軽くキスをした。

「ふ、……ん、ぅ」

 リップ音を鳴らしながら、労うように竿全体に口付けを落としていく。陰嚢は男性の急所で扱いが難しいと聞いたことがあるため、そこには敢えて触れない。キスしている間に、透明な液体は浮き出た血管に沿うように根元まで流れ落ちていたのだった。

「……ん、っ」

 勃起したそれを目の前にして、胎内が疼くの感じる。私はそのまま、亀頭を口に含んだ。

「は……ん、っ、ぅ、」

 穴をこじ開けるように舌先で尿道口を刺激すると、無味の液体が舌の上に落ちてきた。それは精液でも尿でも無い。不思議に思いながらも、私は手を動かしながら唇で扱くようにひたすら先端を刺激した。

「ルイーセ……っ、もう、っ、出……!!」

「んぅ……っ!?」

 丁度口から出したところで、ウェンデは射精した。白濁は射抜くように先端から吐き出され、私の首から胸元までを汚したのである。

 その光景を見た瞬間、胎内の熱が爆ぜて、淫道が収縮したのだった。

 まだ彼を、迎え入れていないのに。

「悪い……っ、ルイーセ……?」

 ウェンデの声を聞き、はっと我にかえる。すると一気に後悔と恥ずかしさが込み上げてきたのだった。
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