特殊装甲隊 ダグフェロン『廃帝と永遠の世紀末』 遼州の闇

誠の本当の『仲間達』

第132話 『女王様』西園寺かなめの将来設計

　誠はだんだん『ファラオ』よりも『ペット』の地位の方が安全に思えてきた事実に気づきながら冷や汗を流しつつかなめの独白を聞いた。

「ああ、近藤のおっさんと叔父貴……ああ、神前は忘れてっか。嵯峨惟基……『駄目人間』の隊長だよ。二人でだべってる通信を傍受したら、近藤のおっさん『歴史を作る』とか抜かしてんの。歴史はアタシが勝手に作るから、成仏しろってところだな。ちゃんとピラミッドの神前のミイラの横に『近藤と言う馬鹿を倒して名を挙げた』ってエジプト風の文字で書いてやる。いいじゃん、あのおっさん死ぬけど歴史に残るじゃん『無能なファラオに殺された馬鹿』として」

　先ほどは自分で『処刑』するとか言ってたくせにいつの間にか誠にその仕事は押し付けられていた。『回収・補給』ロボでいったい何をすれば『処刑』ができるのかわからなかったが、口答えをすると殺されそうなので黙っていた。

「あと、カウラにさっきこのアタシの『野望』を打ち明けたら『貴様の野望は私がくじく！』とか抜かしてたから、あいつの脳改造は中途半端でいいや。とりあえず奴は『貴族主義者』を絶滅させた後、アタシの帝国の脳改造した『怪人』と戦う新たなヒロインでもやらせるわ。多少歯ごたえのある敵がいねえと面白くねえから」

　ここであの『フィクション』と『記録映像』の区別のつかないかわいそうな『人造人間』の美女の話が出てきた。

　誠は気づいた。さっきのカウラとの会話はかなめの馬鹿馬鹿しい『野望』の前振りだったということに。

　かなめもまた『特殊な部隊』の愉快な仲間達なのだと。救いようがなく『あぶない奴』であることを。

　そして、こういう特撮モノの『改造人間』を作る技術、『人間工学』が『改造魔人』を生み出す技術ではないと誠の『理系脳』がささやきかけていた。

　『人間工学』とはゆったりとした快適な椅子を作る技術なんだ、そうかなめに教えようとしたが、もうどうでもよかった。

　歴史に名を残したいと思ってしまった。そのためにこんな『馬鹿』に処刑される運命にあるかわいそうな『近藤中佐』に同情を覚えていた。