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ちっちゃくてかわいい子に与えられた『勤務地』と『任務』
第16話 ちっちゃい中佐殿の常備する『文化財』
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「インテリなんですね……ちっちゃいけど」
本当に感心してうなづきながら誠はランに話しかけた。
「インテリじゃねー、常識だ。知らねー奴は、全員勉強が足りねーんだ」
ランはそう言って運転席の左隣の木製の木刀のようなものを指さす。
誠はそれまで気が付かなかった運転席の隣に立てかけてある木刀に目をやった。誠の実家は剣術道場をしている。当然、その木刀がただの木刀ではないことくらいの目星はついた。
「木刀?……真剣!これ!本物ですか!これ!」
驚きの表情を浮かべて誠は叫んだ。
「これはアタシの『相棒』だ。いいもんだろ?ちょっとした『文化財』なんだぜ。そう言うことで、当局の許可を得て『普段から』持ち歩いてる」
ランは当たり前のようにそう言った。誠はまたランの言葉に違和感を感じた。
「『文化財』……ですか?でも『真剣』ですよね」
ランはそのまま笑顔で誠に目を向ける。
「なあに、こいつは。江戸時代には存在した『伝統工芸品』だから気にすることはねーんだ。江戸時代には『切腹した偉い人の首を斬り落とす』用途に使用されていた『古美術品』だ。明治以降は、『畳の上では死ねない』定めを負った『漢』達の手に渡って、『白を黒だと言う外道退治』に使用された『文化財』だ。安心しろ『武器』とは見なされねーから」
彼女の自慢げな説明から、その『日本刀』がかなりの名の知れた業物であることを誠は確信した。
「でも……そんな貴重品。よく手に入りましたね」
呆れつつ誠はそう言うのが精いっぱいだった。
ランは自慢げに『文化財』の鞘をなでながらほほ笑んだ。
「アタシぐらい『最強』の『渡世人』ともなるとな……当然、モノの方から寄ってくるんだ……。オメーにもいずれ分かるさ……」
小さなランは余裕のある微笑みで自分の『強さ』をさりげなくアピールするが、誠にはあまりに珍奇な光景に見えるばかりだった。
本当に感心してうなづきながら誠はランに話しかけた。
「インテリじゃねー、常識だ。知らねー奴は、全員勉強が足りねーんだ」
ランはそう言って運転席の左隣の木製の木刀のようなものを指さす。
誠はそれまで気が付かなかった運転席の隣に立てかけてある木刀に目をやった。誠の実家は剣術道場をしている。当然、その木刀がただの木刀ではないことくらいの目星はついた。
「木刀?……真剣!これ!本物ですか!これ!」
驚きの表情を浮かべて誠は叫んだ。
「これはアタシの『相棒』だ。いいもんだろ?ちょっとした『文化財』なんだぜ。そう言うことで、当局の許可を得て『普段から』持ち歩いてる」
ランは当たり前のようにそう言った。誠はまたランの言葉に違和感を感じた。
「『文化財』……ですか?でも『真剣』ですよね」
ランはそのまま笑顔で誠に目を向ける。
「なあに、こいつは。江戸時代には存在した『伝統工芸品』だから気にすることはねーんだ。江戸時代には『切腹した偉い人の首を斬り落とす』用途に使用されていた『古美術品』だ。明治以降は、『畳の上では死ねない』定めを負った『漢』達の手に渡って、『白を黒だと言う外道退治』に使用された『文化財』だ。安心しろ『武器』とは見なされねーから」
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「でも……そんな貴重品。よく手に入りましたね」
呆れつつ誠はそう言うのが精いっぱいだった。
ランは自慢げに『文化財』の鞘をなでながらほほ笑んだ。
「アタシぐらい『最強』の『渡世人』ともなるとな……当然、モノの方から寄ってくるんだ……。オメーにもいずれ分かるさ……」
小さなランは余裕のある微笑みで自分の『強さ』をさりげなくアピールするが、誠にはあまりに珍奇な光景に見えるばかりだった。
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