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第四十章 戦地
第175話 『法術師』と言う存在
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『敵戦力出撃!『那珂』、『阿武隈』から艦載機発進!数二十二!作戦地点に向け速度200にて進行中!』
サラからの伝言。ランは表情を曇らせる。
『火龍二十二機か。アタシの読みより多いなー……ちょっと大げさ……ってか当然かなアタシは『人類最強』だから……まあ近藤の旦那のシンパは少ねーだろーから半数以上は無人のオート操縦だろーがな』
そう言ってランは舌打ちをする。
誠から見るとそれはまるで敵がランを恐れて逃げ出すのが当然だというような態度だった。
『姐御……距離1200……ってなんだか国籍不明の観測無人機が山ほどどありますけど……撃ちます?』
かなめのその声にランは静かに首を振る。
『そっちは撃つんじゃねーぞ。観測機は外で待ってる地球諸国の艦隊の奴だ。連中にはこれから起きる楽しい出来事に付き合ってもらうからな』
小さなランの口元に自信に満ちた笑みが浮かんだ。
『ギャラリーは大切にしろってことか。分かった。とりあえず『那珂』の制圧を最優先に進行する!』
かなめの叫びで誠はここまで来てだんだん自分がもう後戻りできない状況に来たことを分かった。誠は予備戦力としてこの『特殊な部隊』に配属されたわけではない。そしてどうやら誠の予想とは全く違う『才能』をラン達から期待されていること。
そして結果として、多くの人が『死を迎える』こと。
『距離700か……丁度いーくれーだ。そんじゃーアタシは近藤の旦那とその部下達に『心理戦』を仕掛ける』
ランは突然そんなことを言った。誠は『心理戦』の意味は知っていたがなぜ今それが必要なのかわからずにいた。
『西園寺。アタシが近藤相手に『楽しいお話』をしている間に、好きなタイミングで『光学迷彩』で隠れて敵を狩れ』
『そのつもりだよ……姐御』
かなめはそう言うと一人隊から先行して加速をかけた。
『カウラはこの宙域一帯にジャマーを仕掛けて敵の制御システムを潰せ。無人のシュツルム・パンツァー相手には『指向性ECM』で完全に無力化すんのがオメーの仕事だ』
『了解です、中佐』
カウラは位置取りを変えなかったが、機体の背中に積んだ通信妨害装置のアンテナが動いているのが誠の機体からも確認できた。
『神前。オメーに良ーことを教えてやる』
「クバルカ中佐、今更何ですか?」
誠はもうなんとかこの場をしのぐという思考しかできないでいた。逃げることはできないが、何とか生き延びることばかり考えていた。
『オメーに教えた三つの大事なこと、『根性』、『気配り』、『体力』のほかに社会で生きていくには必要なことがあんだ』
諭すような口調でランはそう言った。他に頼るもののない誠はその言葉に静かにうなづいた。
『それは『気合』と『元気』だ!』
誠は小さな『脳味噌筋肉』の言うことに開いた口がふさがらなかった。
『アタシの心理戦が終わったら、アタシが合図する。そしたら『跳べ』』
ランはそう言って笑った。
「『跳べ』って……」
意味不明な言葉を聞くのはこの『特殊な部隊』ではよくあることだったが、その中でも最上級に意味不明な言葉に誠は困惑した。
『『空間跳躍』の座標設定はアタシがやる。オメーは『跳べ』。05式乙の『法術増幅システム』があれば敵の目の前まで跳べる!そして05式乙型の腰のサーベルを引き抜いて『『剣よ!』と叫んで、『那珂』のブリッジめがけて振り回せ!それで終いだ!』
「なんですか!そのいい加減な指示!そんな!できないですよ!そんなこと!それと何度も聞きますけどなんですか!『法術増幅システム』って!」
誠は本気で思った。これは『特殊』過ぎる命令で『不可能』な話だと。
ランは画面の中でほほ笑んでいた。かなめもカウラもまるで誠にはそれができて当然という笑みを浮かべている。
『言っとく。アタシが『気合』と『元気』についてオメーに教えなかったのは。そいつがオメーにもうすでに持ってるからだ。これからオメーは『気合』だけで巡洋艦を沈める。地球人にはできねー遼州人のオリジナル必殺技だ!オメーのかーちゃんからオメーならできるって聞いた。大丈夫だ!かーちゃんの見立てを信じろ』
「僕は普通の遼州人ですよ!そんなことできません!そんなの無理です!」
誠は叫ぶが三人の女性上司はできて当然という顔をしていた。
『やれねーと思ったらできねーが……オメーはできるんだ。『跳べる』し、『剣よ』と叫ぶと目の前のすべてが吹き飛ぶ。『05式特戦乙型』に積んでる『法術増幅システム』はその力を引き出すシステムだ。神前のような『法術師』の力を引き出すための機体なんだ』
「『法術師』って……なんですか?」
誠は普通に聞くしかなかった。
『遼州は400年前、地球から独立できたのはそんな力が遼州人には有ったからだ。気合と元気で超能力を引き出す『必殺技』だ。地球人には絵空事だった『力』だが、遼州人にはその『力』がある。その使い道をアタシ等はオメーのお袋さんからその『力』の使い方を教えてくれって言われたんだ。テメーならできる』
ランはそう言って満足げに笑った。
騙されていた自分を誠は再確認した。
それと同時に『空間跳躍』とやらができなければ鈍重な05式乙型ではかなめの戦うであろう戦場には届かないことがわかってきた。
サラからの伝言。ランは表情を曇らせる。
『火龍二十二機か。アタシの読みより多いなー……ちょっと大げさ……ってか当然かなアタシは『人類最強』だから……まあ近藤の旦那のシンパは少ねーだろーから半数以上は無人のオート操縦だろーがな』
そう言ってランは舌打ちをする。
誠から見るとそれはまるで敵がランを恐れて逃げ出すのが当然だというような態度だった。
『姐御……距離1200……ってなんだか国籍不明の観測無人機が山ほどどありますけど……撃ちます?』
かなめのその声にランは静かに首を振る。
『そっちは撃つんじゃねーぞ。観測機は外で待ってる地球諸国の艦隊の奴だ。連中にはこれから起きる楽しい出来事に付き合ってもらうからな』
小さなランの口元に自信に満ちた笑みが浮かんだ。
『ギャラリーは大切にしろってことか。分かった。とりあえず『那珂』の制圧を最優先に進行する!』
かなめの叫びで誠はここまで来てだんだん自分がもう後戻りできない状況に来たことを分かった。誠は予備戦力としてこの『特殊な部隊』に配属されたわけではない。そしてどうやら誠の予想とは全く違う『才能』をラン達から期待されていること。
そして結果として、多くの人が『死を迎える』こと。
『距離700か……丁度いーくれーだ。そんじゃーアタシは近藤の旦那とその部下達に『心理戦』を仕掛ける』
ランは突然そんなことを言った。誠は『心理戦』の意味は知っていたがなぜ今それが必要なのかわからずにいた。
『西園寺。アタシが近藤相手に『楽しいお話』をしている間に、好きなタイミングで『光学迷彩』で隠れて敵を狩れ』
『そのつもりだよ……姐御』
かなめはそう言うと一人隊から先行して加速をかけた。
『カウラはこの宙域一帯にジャマーを仕掛けて敵の制御システムを潰せ。無人のシュツルム・パンツァー相手には『指向性ECM』で完全に無力化すんのがオメーの仕事だ』
『了解です、中佐』
カウラは位置取りを変えなかったが、機体の背中に積んだ通信妨害装置のアンテナが動いているのが誠の機体からも確認できた。
『神前。オメーに良ーことを教えてやる』
「クバルカ中佐、今更何ですか?」
誠はもうなんとかこの場をしのぐという思考しかできないでいた。逃げることはできないが、何とか生き延びることばかり考えていた。
『オメーに教えた三つの大事なこと、『根性』、『気配り』、『体力』のほかに社会で生きていくには必要なことがあんだ』
諭すような口調でランはそう言った。他に頼るもののない誠はその言葉に静かにうなづいた。
『それは『気合』と『元気』だ!』
誠は小さな『脳味噌筋肉』の言うことに開いた口がふさがらなかった。
『アタシの心理戦が終わったら、アタシが合図する。そしたら『跳べ』』
ランはそう言って笑った。
「『跳べ』って……」
意味不明な言葉を聞くのはこの『特殊な部隊』ではよくあることだったが、その中でも最上級に意味不明な言葉に誠は困惑した。
『『空間跳躍』の座標設定はアタシがやる。オメーは『跳べ』。05式乙の『法術増幅システム』があれば敵の目の前まで跳べる!そして05式乙型の腰のサーベルを引き抜いて『『剣よ!』と叫んで、『那珂』のブリッジめがけて振り回せ!それで終いだ!』
「なんですか!そのいい加減な指示!そんな!できないですよ!そんなこと!それと何度も聞きますけどなんですか!『法術増幅システム』って!」
誠は本気で思った。これは『特殊』過ぎる命令で『不可能』な話だと。
ランは画面の中でほほ笑んでいた。かなめもカウラもまるで誠にはそれができて当然という笑みを浮かべている。
『言っとく。アタシが『気合』と『元気』についてオメーに教えなかったのは。そいつがオメーにもうすでに持ってるからだ。これからオメーは『気合』だけで巡洋艦を沈める。地球人にはできねー遼州人のオリジナル必殺技だ!オメーのかーちゃんからオメーならできるって聞いた。大丈夫だ!かーちゃんの見立てを信じろ』
「僕は普通の遼州人ですよ!そんなことできません!そんなの無理です!」
誠は叫ぶが三人の女性上司はできて当然という顔をしていた。
『やれねーと思ったらできねーが……オメーはできるんだ。『跳べる』し、『剣よ』と叫ぶと目の前のすべてが吹き飛ぶ。『05式特戦乙型』に積んでる『法術増幅システム』はその力を引き出すシステムだ。神前のような『法術師』の力を引き出すための機体なんだ』
「『法術師』って……なんですか?」
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騙されていた自分を誠は再確認した。
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