2 / 43
想像を絶する問題児
第2話 押し付けられた仕事
しおりを挟む
かなめはうなだれて動こうとしない。その固まったような笑顔に誠は少し違和感を感じた。
「西園寺さん……」
誠は心配のあまりかなめの顔を覗き込む。かなめの赤外線すら見える人工の瞳にはいつもの光が無かった。
かなめは目を見開いて、口を半開きにしていた。その口元にひきつり笑いを浮かべているだけでなく、こめかみがひくひく動いているのが見える。
「変なかなめちゃん」
アメリアはそれだけ言って、ドアのところで誠達を待っているカウラの元へ急いだ。
「西園寺さん……」
「嘘だ……嘘であってくれ……」
心配する誠をよそに、かなめは独り言を口走っている。その表情はあまりに深刻で誠の不安を書き立てた。
「誠ちゃん。変なのは置いといて隊長室に行くわよ!」
入口にたどり着いたアメリアが誠を呼んだ。
「でも……西園寺さんが……」
「いや、神前。アタシも行く」
ようやく意を決したように顔を上げたかなめは、そう言ってしっかりとした足取りでアメリア達に向かって歩き出した。
「大丈夫?かなめちゃん」
廊下まで着実な足取りを続けていたかなめが、そうアメリアに声を掛けられると再びうつむいた。
「カウラ……アタシだけ逃げるってのは……」
「西園寺。隊長命令を聞くだけのことでなんでそんなに落ち込むんだ?それに……」
カウラがそう言ってかなめに説教を始めようとするのを見て、アメリアがカウラの袖を引っ張った。
「ぐちゃぐちゃ言っても仕方ないわよ!隊長室に行くぐらい誰にでもできるじゃないの!」
そう言って満面の笑みを浮かべたアメリアは先頭を元気よく歩く。
「西園寺……」
「仕方ないか……」
顔を上げたかなめは、あきらめ切った表情で歩き出した。
取り残された誠とカウラは顔を見合わせると、我に返って二人の後を追った。
機動部隊執務室と隊長室は二十メートル程度しか離れていない。否が応でも誠達はその隊で唯一の木目の立派な扉の前にたどり着く。
「それじゃあ入るぞ」
そう言ってカウラはノックをしようと手を伸ばすがその手をかなめが抑えた。
「何をする!西園寺!」
「ちょっと待て……心の準備が……てか、やっぱアタシだけ逃げるってのはダメ?」
「ダメに決まっている!」
左手で逃げ出そうとするかなめの襟首をつかむと、カウラは扉をノックした。
『いるぜ』
中からいつもの渋い声が響いた。
「失礼します!」
カウラはそう言って静かに扉を開けた。
カウラを先頭に、アメリア、誠、そしてうなだれたかなめが続く。
「ああ……ダメだな、この靴下。とうとう穴が……」
司法局実働部隊隊長の机。その主は侵入者である誠達に背を向けたまま、窓のへりに乗せた左足の靴下を脱いでいた。
「隊長……」
「ちょっと待てよ……やっぱこのままでいいや」
ランのそれより明らかに格上とわかる立派な椅子の主はそう言って親指に穴の開いた右足の靴下を無理に履いくとそのまま靴を履く。
「隊長……」
「おう!なんだ。来てたのか」
「来てたのかじゃないですよ」
入ってきたときの厳しい表情はどこへやら、カウラは明らかに軽蔑した表情で司法局実働部隊部隊長の嵯峨惟基特務大佐をにらみつけた。
「ベルガーよ。そんな怖い顔で見つめないでよ。俺、気が小さいんだから」
いつものポーカーフェイスは何を考えているのか誠にもさっぱりわからない。
「隊長が気が小さかったら世界に気の小さい人なんかいませんね」
「クラウゼ……皮肉か?まあいいや」
部隊長、嵯峨惟基は天然パーマの黒髪を掻きながら椅子に座りなおした。
「隊長命令だ」
そこまで言うと嵯峨は誠達を舐めるように見回す。
「実は……ってかなめ坊。その面はなんだ?」
「いや、叔父貴の言うことが予想できてね」
恨みがましい目で嵯峨を見つめながら、かなめはそうつぶやいた。
「かなめ坊、それを言うなよ……俺が決めたことじゃない。司法局の本局が決めたことだ」
誠達から目をそらした嵯峨が吐き捨てるようにそう言った。
「あのう、クバルカ中佐もそうですが、隊長が命令を言いたがらないのはなぜですか?そんなにめんどくさい話なんでしょうか?」
アメリアは直立不動のままそう言った。それを聞いた嵯峨は何も言わずに立ち上がるとそのまま背を向けて窓の外を眺めた。
「いやあ、難しい話じゃないんだけどさ。言いたくなくてね……馬鹿馬鹿しくて」
嵯峨が言ったのはそれだけだった。
「言いたいとか言いたくないの問題じゃないです!部隊長ですよ!司法局実働部隊は下手な軍事部隊よりよっぽど精強な実力組織なんです!その部隊長が言いたくない?馬鹿馬鹿しい?」
そう言って怒りの表情を浮かべてカウラが隊長の執務机を叩いた。執務机には嵯峨の趣味であるカスタムした拳銃のスライドが万力で固定されていた。多分先ほどまでやすりをかけていたのであろう、カウラの机を叩いた振動で部屋中に鉄粉が巻き散らばる。
誠達は思わず口を押え、恨みがましい目で元凶のカウラを見つめた。
「隊長!掃除ぐらいしてください!」
口で手を抑えながらカウラが叫んだ。それまで背を向けていた嵯峨が困ったような顔をして振り向く。
「ベルガー……元気だねえ……まあ、隠しといても時間の無駄だから言うわ」
嵯峨はそれだけ言うと大きく咳ばらいをした。誠達は部屋の埃が落ち着いてきたことに気づいてそのまま四人で気を付けの姿勢をとる。
「ああ、やっぱ待って……」
それだけ言うと嵯峨は椅子に腰かけた。タイミングを外された誠達は大きくため息をつく。
「簡単な仕事なんですよね?でも今日は七時半には帰れますか?アタシ、アニメガみたいんで」
気を付けの姿勢のままアメリアがそう言い放った。
「アニメだ?」
あきれ返ったようにカウラがそう言ってアメリアを見上げる。
「ええ、『魔法少女エミリアちゃん』。誠ちゃんも毎週見てるわよね?」
開き直ったようにアメリアはそう言い放つ。古典落語から最新アニメまで。アメリアの興味の幅は誠をはるかに凌駕していた。
「ええ、僕も見てます。キャラデザインが参考になるので」
「神前まで!」
アメリアの問いに答えて頭を掻く誠を見ながらカウラは頭を抱えた。
「ああ、そのアニメは諦めてくれや。夜は遅くなると思うぞ」
そう言うと嵯峨は覚悟を決めたように立ち上がった。
「隊長のケチ!」
アメリアはそう言って誠を見つめる。その流し目で見つめられた誠はどぎまぎしながら苦笑いを浮かべた。
「でも夜が遅くなるってことは、時間のかかる作業なんですよね?」
カウラは素直に自分の質問を、質問をはぐらかすことの天才である嵯峨に向けた。
「ああ、大丈夫。向こうさんの意向は夜更かしは美容の大敵ってことで深夜にはならないはずだから。まあ……夜九時……遅くて十時かな?」
嵯峨はそう言うと再び椅子に座ってしまった。
「隊長!美容の大敵っておっしゃいましたよね?」
思い切って誠は口を開いた。
「おう、おっしゃったよ……美容の大敵って」
嵯峨は誠の言葉に一瞬驚いたような表情を浮かべた後、すぐにいつもの不敵な笑みを浮かべて机の上に頬杖をついた。
「つまり。僕達とある女性を会わせたいってことですか?」
誠は真面目な顔でそう言った。
「ほう……確かにな。俺も自分の言うことを頭の中で反芻するとそういう結論がでるってのも考えの一つだと思うぞ……神前。多少は推理ってのが出来るようになったな」
「へへへ……」
感心したようにつぶやく嵯峨を見て誠は照れ笑いを浮かべた。
「女性で、隊長とかなめさんがこんなに嫌がる人……康子様?」
ひとしきり考えたというようにアメリアがそう言った。その言葉を聞いたそれまで無表情だったかなめがふたたびうなだれる。
「かあちゃん?馬鹿言うなよ」
かなめはそれだけ言うと大きくため息をついた。
「そうだな。康子様のはずがない。もしそうだったら西園寺はここにいない。一階の武器庫に飛び込んで全身に武装してブルブル震えているはずだ」
カウラはそう言ってうなだれるかなめを見つめてほほ笑んだ。
「おう、俺もその仲間に加勢するね。いや、うちの武器庫の兵器じゃ足りねえや。遼北か西モスレムにでも乗り込んで核ミサイルを二つ三つ強奪してから籠城するね。まあ、あの女傑はその程度の防衛網なら突破しかねねえぞ」
嵯峨は投げやりにそう言って首をすくめた。
康子様こと、西園寺康子はかなめの母である。世間一般では遼州同盟の有力国、第四成型甲武を領有する甲武帝国宰相西園寺義基の妻、ファーストレディーとして知られていたが、司法局実働部隊では部隊長の嵯峨惟基を恐れさせる謎の存在と認識されていた。
誠も二か月前の第一小隊三番機担当、吉田俊平少佐の失踪に端を発した動乱、後に『フェンリル事件』と呼ばれたゲルパルト帝国の残党の起こした動乱事件のさなかに西園寺康子の姿を見ていたが、嵯峨やかなめがこんなにも彼女を恐れる理由は理解できなかった。誠から見れば、康子は赤い着物の似合うどこかかなめに似た美魔女でしかなかった。
「西園寺さん……」
誠は心配のあまりかなめの顔を覗き込む。かなめの赤外線すら見える人工の瞳にはいつもの光が無かった。
かなめは目を見開いて、口を半開きにしていた。その口元にひきつり笑いを浮かべているだけでなく、こめかみがひくひく動いているのが見える。
「変なかなめちゃん」
アメリアはそれだけ言って、ドアのところで誠達を待っているカウラの元へ急いだ。
「西園寺さん……」
「嘘だ……嘘であってくれ……」
心配する誠をよそに、かなめは独り言を口走っている。その表情はあまりに深刻で誠の不安を書き立てた。
「誠ちゃん。変なのは置いといて隊長室に行くわよ!」
入口にたどり着いたアメリアが誠を呼んだ。
「でも……西園寺さんが……」
「いや、神前。アタシも行く」
ようやく意を決したように顔を上げたかなめは、そう言ってしっかりとした足取りでアメリア達に向かって歩き出した。
「大丈夫?かなめちゃん」
廊下まで着実な足取りを続けていたかなめが、そうアメリアに声を掛けられると再びうつむいた。
「カウラ……アタシだけ逃げるってのは……」
「西園寺。隊長命令を聞くだけのことでなんでそんなに落ち込むんだ?それに……」
カウラがそう言ってかなめに説教を始めようとするのを見て、アメリアがカウラの袖を引っ張った。
「ぐちゃぐちゃ言っても仕方ないわよ!隊長室に行くぐらい誰にでもできるじゃないの!」
そう言って満面の笑みを浮かべたアメリアは先頭を元気よく歩く。
「西園寺……」
「仕方ないか……」
顔を上げたかなめは、あきらめ切った表情で歩き出した。
取り残された誠とカウラは顔を見合わせると、我に返って二人の後を追った。
機動部隊執務室と隊長室は二十メートル程度しか離れていない。否が応でも誠達はその隊で唯一の木目の立派な扉の前にたどり着く。
「それじゃあ入るぞ」
そう言ってカウラはノックをしようと手を伸ばすがその手をかなめが抑えた。
「何をする!西園寺!」
「ちょっと待て……心の準備が……てか、やっぱアタシだけ逃げるってのはダメ?」
「ダメに決まっている!」
左手で逃げ出そうとするかなめの襟首をつかむと、カウラは扉をノックした。
『いるぜ』
中からいつもの渋い声が響いた。
「失礼します!」
カウラはそう言って静かに扉を開けた。
カウラを先頭に、アメリア、誠、そしてうなだれたかなめが続く。
「ああ……ダメだな、この靴下。とうとう穴が……」
司法局実働部隊隊長の机。その主は侵入者である誠達に背を向けたまま、窓のへりに乗せた左足の靴下を脱いでいた。
「隊長……」
「ちょっと待てよ……やっぱこのままでいいや」
ランのそれより明らかに格上とわかる立派な椅子の主はそう言って親指に穴の開いた右足の靴下を無理に履いくとそのまま靴を履く。
「隊長……」
「おう!なんだ。来てたのか」
「来てたのかじゃないですよ」
入ってきたときの厳しい表情はどこへやら、カウラは明らかに軽蔑した表情で司法局実働部隊部隊長の嵯峨惟基特務大佐をにらみつけた。
「ベルガーよ。そんな怖い顔で見つめないでよ。俺、気が小さいんだから」
いつものポーカーフェイスは何を考えているのか誠にもさっぱりわからない。
「隊長が気が小さかったら世界に気の小さい人なんかいませんね」
「クラウゼ……皮肉か?まあいいや」
部隊長、嵯峨惟基は天然パーマの黒髪を掻きながら椅子に座りなおした。
「隊長命令だ」
そこまで言うと嵯峨は誠達を舐めるように見回す。
「実は……ってかなめ坊。その面はなんだ?」
「いや、叔父貴の言うことが予想できてね」
恨みがましい目で嵯峨を見つめながら、かなめはそうつぶやいた。
「かなめ坊、それを言うなよ……俺が決めたことじゃない。司法局の本局が決めたことだ」
誠達から目をそらした嵯峨が吐き捨てるようにそう言った。
「あのう、クバルカ中佐もそうですが、隊長が命令を言いたがらないのはなぜですか?そんなにめんどくさい話なんでしょうか?」
アメリアは直立不動のままそう言った。それを聞いた嵯峨は何も言わずに立ち上がるとそのまま背を向けて窓の外を眺めた。
「いやあ、難しい話じゃないんだけどさ。言いたくなくてね……馬鹿馬鹿しくて」
嵯峨が言ったのはそれだけだった。
「言いたいとか言いたくないの問題じゃないです!部隊長ですよ!司法局実働部隊は下手な軍事部隊よりよっぽど精強な実力組織なんです!その部隊長が言いたくない?馬鹿馬鹿しい?」
そう言って怒りの表情を浮かべてカウラが隊長の執務机を叩いた。執務机には嵯峨の趣味であるカスタムした拳銃のスライドが万力で固定されていた。多分先ほどまでやすりをかけていたのであろう、カウラの机を叩いた振動で部屋中に鉄粉が巻き散らばる。
誠達は思わず口を押え、恨みがましい目で元凶のカウラを見つめた。
「隊長!掃除ぐらいしてください!」
口で手を抑えながらカウラが叫んだ。それまで背を向けていた嵯峨が困ったような顔をして振り向く。
「ベルガー……元気だねえ……まあ、隠しといても時間の無駄だから言うわ」
嵯峨はそれだけ言うと大きく咳ばらいをした。誠達は部屋の埃が落ち着いてきたことに気づいてそのまま四人で気を付けの姿勢をとる。
「ああ、やっぱ待って……」
それだけ言うと嵯峨は椅子に腰かけた。タイミングを外された誠達は大きくため息をつく。
「簡単な仕事なんですよね?でも今日は七時半には帰れますか?アタシ、アニメガみたいんで」
気を付けの姿勢のままアメリアがそう言い放った。
「アニメだ?」
あきれ返ったようにカウラがそう言ってアメリアを見上げる。
「ええ、『魔法少女エミリアちゃん』。誠ちゃんも毎週見てるわよね?」
開き直ったようにアメリアはそう言い放つ。古典落語から最新アニメまで。アメリアの興味の幅は誠をはるかに凌駕していた。
「ええ、僕も見てます。キャラデザインが参考になるので」
「神前まで!」
アメリアの問いに答えて頭を掻く誠を見ながらカウラは頭を抱えた。
「ああ、そのアニメは諦めてくれや。夜は遅くなると思うぞ」
そう言うと嵯峨は覚悟を決めたように立ち上がった。
「隊長のケチ!」
アメリアはそう言って誠を見つめる。その流し目で見つめられた誠はどぎまぎしながら苦笑いを浮かべた。
「でも夜が遅くなるってことは、時間のかかる作業なんですよね?」
カウラは素直に自分の質問を、質問をはぐらかすことの天才である嵯峨に向けた。
「ああ、大丈夫。向こうさんの意向は夜更かしは美容の大敵ってことで深夜にはならないはずだから。まあ……夜九時……遅くて十時かな?」
嵯峨はそう言うと再び椅子に座ってしまった。
「隊長!美容の大敵っておっしゃいましたよね?」
思い切って誠は口を開いた。
「おう、おっしゃったよ……美容の大敵って」
嵯峨は誠の言葉に一瞬驚いたような表情を浮かべた後、すぐにいつもの不敵な笑みを浮かべて机の上に頬杖をついた。
「つまり。僕達とある女性を会わせたいってことですか?」
誠は真面目な顔でそう言った。
「ほう……確かにな。俺も自分の言うことを頭の中で反芻するとそういう結論がでるってのも考えの一つだと思うぞ……神前。多少は推理ってのが出来るようになったな」
「へへへ……」
感心したようにつぶやく嵯峨を見て誠は照れ笑いを浮かべた。
「女性で、隊長とかなめさんがこんなに嫌がる人……康子様?」
ひとしきり考えたというようにアメリアがそう言った。その言葉を聞いたそれまで無表情だったかなめがふたたびうなだれる。
「かあちゃん?馬鹿言うなよ」
かなめはそれだけ言うと大きくため息をついた。
「そうだな。康子様のはずがない。もしそうだったら西園寺はここにいない。一階の武器庫に飛び込んで全身に武装してブルブル震えているはずだ」
カウラはそう言ってうなだれるかなめを見つめてほほ笑んだ。
「おう、俺もその仲間に加勢するね。いや、うちの武器庫の兵器じゃ足りねえや。遼北か西モスレムにでも乗り込んで核ミサイルを二つ三つ強奪してから籠城するね。まあ、あの女傑はその程度の防衛網なら突破しかねねえぞ」
嵯峨は投げやりにそう言って首をすくめた。
康子様こと、西園寺康子はかなめの母である。世間一般では遼州同盟の有力国、第四成型甲武を領有する甲武帝国宰相西園寺義基の妻、ファーストレディーとして知られていたが、司法局実働部隊では部隊長の嵯峨惟基を恐れさせる謎の存在と認識されていた。
誠も二か月前の第一小隊三番機担当、吉田俊平少佐の失踪に端を発した動乱、後に『フェンリル事件』と呼ばれたゲルパルト帝国の残党の起こした動乱事件のさなかに西園寺康子の姿を見ていたが、嵯峨やかなめがこんなにも彼女を恐れる理由は理解できなかった。誠から見れば、康子は赤い着物の似合うどこかかなめに似た美魔女でしかなかった。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
セルリアン
吉谷新次
SF
銀河連邦軍の上官と拗れたことをキッカケに銀河連邦から離れて、
賞金稼ぎをすることとなったセルリアン・リップルは、
希少な資源を手に入れることに成功する。
しかし、突如として現れたカッツィ団という
魔界から独立を試みる団体によって襲撃を受け、資源の強奪をされたうえ、
賞金稼ぎの相棒を暗殺されてしまう。
人界の銀河連邦と魔界が一触即発となっている時代。
各星団から独立を試みる団体が増える傾向にあり、
無所属の団体や個人が無法地帯で衝突する事件も多発し始めていた。
リップルは強靭な身体と念力を持ち合わせていたため、
生きたままカッツィ団のゴミと一緒に魔界の惑星に捨てられてしまう。
その惑星で出会ったランスという見習い魔術師の少女に助けられ、
次第に会話が弾み、意気投合する。
だが、またしても、
カッツィ団の襲撃とランスの誘拐を目の当たりにしてしまう。
リップルにとってカッツィ団に対する敵対心が強まり、
賞金稼ぎとしてではなく、一個人として、
カッツィ団の頭首ジャンに会いに行くことを決意する。
カッツィ団のいる惑星に侵入するためには、
ブーチという女性操縦士がいる輸送船が必要となり、
彼女を説得することから始まる。
また、その輸送船は、
魔術師から見つからないように隠す迷彩妖術が必要となるため、
妖精の住む惑星で同行ができる妖精を募集する。
加えて、魔界が人界科学の真似事をしている、ということで、
警備システムを弱体化できるハッキング技術の習得者を探すことになる。
リップルは強引な手段を使ってでも、
ランスの救出とカッツィ団の頭首に会うことを目的に行動を起こす。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『修羅の国』での死闘
橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった
その人との出会いは歓迎すべきものではなかった
これは悲しい『出会い』の物語
『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる
法術装甲隊ダグフェロン 第三部
遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』は法術の新たな可能性を追求する司法局の要請により『05式広域制圧砲』と言う新兵器の実験に駆り出される。その兵器は法術の特性を生かして敵を殺傷せずにその意識を奪うと言う兵器で、対ゲリラ戦等の『特殊な部隊』と呼ばれる司法局実働部隊に適した兵器だった。
一方、遼州系第二惑星の大国『甲武』では、国家の意思決定最高機関『殿上会』が開かれようとしていた。それに出席するために殿上貴族である『特殊な部隊』の部隊長、嵯峨惟基は甲武へと向かった。
その間隙を縫ったかのように『修羅の国』と呼ばれる紛争の巣窟、ベルルカン大陸のバルキスタン共和国で行われる予定だった選挙合意を反政府勢力が破棄し機動兵器を使った大規模攻勢に打って出て停戦合意が破綻したとの報が『特殊な部隊』に届く。
この停戦合意の破棄を理由に甲武とアメリカは合同で介入を企てようとしていた。その阻止のため、神前誠以下『特殊な部隊』の面々は輸送機でバルキスタン共和国へ向かった。切り札は『05式広域鎮圧砲』とそれを操る誠。『特殊な部隊』の制式シュツルム・パンツァー05式の機動性の無さが作戦を難しいものに変える。
そんな時間との戦いの中、『特殊な部隊』を見守る影があった。
『廃帝ハド』、『ビッグブラザー』、そしてネオナチ。
誠は反政府勢力の攻勢を『05式広域鎮圧砲』を使用して止めることが出来るのか?それとも……。
SFお仕事ギャグロマン小説。
【完結済み】VRゲームで遊んでいたら、謎の微笑み冒険者に捕獲されましたがイロイロおかしいです。<長編>
BBやっこ
SF
会社に、VRゲーム休があってゲームをしていた私。
自身の店でエンチャント付き魔道具の売れ行きもなかなか好調で。なかなか充実しているゲームライフ。
招待イベで魔術士として、冒険者の仕事を受けていた。『ミッションは王族を守れ』
同僚も招待され、大規模なイベントとなっていた。ランダムで配置された場所で敵を倒すお仕事だったのだが?
電脳神、カプセル。精神を異世界へ送るって映画の話ですか?!
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 野球と海と『革命家』
橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった
その人との出会いは歓迎すべきものではなかった
これは悲しい『出会い』の物語
『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる
法術装甲隊ダグフェロン 第二部
遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』が発動した『干渉空間』と『光の剣(つるぎ)により貴族主義者のクーデターを未然に防止することが出来た『近藤事件』が終わってから1か月がたった。
宇宙は誠をはじめとする『法術師』の存在を公表することで混乱に陥っていたが、誠の所属する司法局実働部隊、通称『特殊な部隊』は相変わらずおバカな生活を送っていた。
そんな『特殊な部隊』の運用艦『ふさ』艦長アメリア・クラウゼ中佐と誠の所属するシュツルム・パンツァーパイロット部隊『機動部隊第一小隊』のパイロットでサイボーグの西園寺かなめは『特殊な部隊』の野球部の夏合宿を企画した。
どうせろくな事が起こらないと思いながら仕事をさぼって参加する誠。
そこではかなめがいかに自分とはかけ離れたお嬢様で、貴族主義の国『甲武国』がどれほど自分の暮らす永遠に続く20世紀末の東和共和国と違うのかを誠は知ることになった。
しかし、彼を待っていたのは『法術』を持つ遼州人を地球人から解放しようとする『革命家』の襲撃だった。
この事件をきっかけに誠の身辺警護の必要性から誠の警護にアメリア、かなめ、そして無表情な人造人間『ラスト・バタリオン』の第一小隊小隊長カウラ・ベルガー大尉がつくことになる。
これにより誠の暮らす『男子下士官寮』は有名無実化することになった。
そんなおバカな連中を『駄目人間』嵯峨惟基特務大佐と機動部隊隊長クバルカ・ラン中佐は生暖かい目で見守っていた。
そんな『特殊な部隊』の意図とは関係なく着々と『力ある者の支配する宇宙』の実現を目指す『廃帝ハド』の野望はゆっくりと動き出しつつあった。
SFお仕事ギャグロマン小説。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
人脳牧場
21世紀の精神異常者
SF
ハリウッド映画仕立ての近未来エンタメSF。
狂気の天才科学者、ニューマン博士は、自らの人体から脳(人脳)を取り出し、コンピューターに接続。異形の人工知能と化す。
博士の愛弟子、ティムは、博士無き後のプロジェクトを指揮。彼は、「邪悪な存在となるな」の会社方針の基、博士が邪悪とならぬよう、注意深く監視し、研究を進める。
博士は、コンピューター(電脳)と接続されることで脅威の能力を獲得。ネット上の情報を自在に知識化し、精神は神の領域に達する。バーチャル世界では、あのモハメッド・アリをもKOする偉業を達成。ティムは、博士の底知れぬ能力に脅威を感じ始める。
しかし、博士の能力は、監視するティムをも欺く術を身につけ、次第に、邪悪な物へと変貌する。ライバルの人工知能にサイバー攻撃を仕掛け、社会システムを大混乱に陥れる。赤ん坊や子供の脳を抜き取り、自分の子孫とする。更には、金融システムのハッキングで、世界中の資産家の隠し資産を強奪、莫大な金の力で、会社をも乗っ取る。
ティムは、危機感を持ち、博士との対立姿勢を鮮明にしてゆく。しかし、絶大な力を得た博士は、意に介さず、逆にティムを人脳化しようと画策。彼の恋人モリーを事故に見せかけ人脳とする。そして、失意のティムは、復讐の鬼と化す。
だが、博士の暴走は止まらず、人類の半数、40億人を強制的に人脳とする、驚愕の計画が明かにされる。
これを阻止すべく、博士の抹殺を強行するが失敗、逆にアンドロイドでティムを捉え、人脳とする。仲間は、ティムを救出すべく、決死の奪還作戦を敢行。何とかティムの人脳を取り戻すことに成功するのだが、仲間の裏切りにより、アメリカを追放、日本へと辿り着く。
ティム等は、日本で忍術を学び、日本の最先端技術の粋を集めたアンドロイドを入手。これらを武器に、反転攻勢を仕掛け、アメリカに再上陸を果たす。そして、博士との最終決戦に挑むのである。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる